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01


 ダンジョン。そこは夢への入口。

 一攫千金を夢見て大陸の果てからも人が経たない、夢幻の迷宮。

 この大陸には三つのダンジョンがあり、そのどれもがこの世界の経済を支える素材をたくさんと輸出している。どれもが、ひとえに冒険者という、命を担保に、お金を稼ぐ集団が存在するからである。


 ダンジョンで中の生物を殺せば、その魂が肉体に宿り、強靭な体を作る。

 よって、冒険者は一般的な人間をはるかに超えたパワーを持っている。

 

 そう、この世界には、冒険者と人間と、二つの種族が共存していた。



 目覚めたのは、広大な大地の果て。

 周りには何もない。あるのは、この身一つと、小さな腰のポーチのみ。

「困ったぞ。これから試験だってのに」


 大学では期末の試験があった。そして、去年落としてしまった単位の再履修であったために、焦っていた。

 出席、小テスト、単位に繋がることは、なんでもした。

 結局、必修科目としてこの単位を落とすことは、次の鍼灸にも関わるのだから本当に落とすことはできない。


「これも、テスト前に飲みに誘うのがいけないんだ」


 去年の落単を友人のせいにして、今年の挽回に励むが、結局昨日の深夜に好きなアイドルの特集をやっている番組を見つけ、リアルタイムで視聴し寝落ちしたのでは、今年は自分が悪い。

 そして起きたのが、テストのある三十分前。

 自転車で飛ばそうにも、20分かかるので、一つの信号も引っかかってられない。


 そんな中、


「あー、そうか。俺は事故ったのか。何かにぶつかったか、それとも、自転車から投げ出されたか」

 

 実際大学は、県の端。郊外にあるすごく広大な土地を有した私立大学。

 

 農業科もあることから、自転車から投げ出されて、大きな草原に倒れていたのかもしれない。

 と、言いつつ。地平線の彼方まで凹凸のない、山もないそんな光景に、それだけの草原に。


「どっちが学校かな」

 

 現実逃避にも、学校のある場所を探すのだ。

 なんとなく、わかってもいた。

 ここは、大学の近くではないと。

 そもそも、ここまで広い高地が自分の住んでいる市にあったかどうか。

 鳥取砂丘のような、何もない平原が、日本にあっただろうか。

 知識にはない。記憶にもない。


「あー、自転車がない」


 そして、今日が始まる。


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