表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/7

えっ?お城って。生きてるんですか?

『私の愛しの子よ…。よくぞ私を甦らせてくれた、礼を言うぞ。』

俺のしまらない顔を横目にその人?は半透明の体を浮遊させてライモンさんの方へ。

な、何?この人?

いや、人やないやろ。

「やぁ、久しいね、」

『そなたが、眠りについたりするからわらわの体はボロボロになってしもうたのだぞ?』

ライモンさんは変わらずニコニコだ。

「俺がいないと……は、防御力が、著しく下がるからな。」

あれ?今度は俺?

『己のことを俺などと…我が愛し子には似合わん。』

プイっと横を向く。

「主、彼女はこの城の精霊。彼女の名前は俺の心の中でしか言葉に出来ない契約となっている。ついでに、一人称が変わるのは、彼女と出逢ったのが、」

半透明の彼女がライモンさんを抱き締める。

『ライモンが物心ついた頃じゃ、ほんに愛らしき吾子でのう、あの頃から比べるとどの世にも存在せぬ唯一無二の男となった。と言うのも、』

長い語りが始まりそうな予感だったのをライモンさんが遮る。

「彼女を目覚めさせた時の一人称が僕だったからな。あの一言がないと彼女は喋られない。」

ライモンさんの口を透明な手が塞ぐ。

『で、この者か、我を崩れた姿で留めようとした愚か者は……。』

建物から冷気が来てるみたいな?

「俺の主だ。」

言葉を詰まらせる城さん。

『我が子に古びた姿を晒すなど、』

ふるふると震える城さん。

ど、ど、どうしよう。

「どんな姿でも…は、美しいよ。」

ま、ライモンさんの言葉で彼女の機嫌はV字回復しましたが。

呑気に話をしていると咳払いが。

俺の後にいる紅蓮さんがイライラしていた。

「紅蓮、人ならざる者になったのに感情の抑揚が生前と変わらないな。」

ライモンさんの苦笑した顔。 

「お前が望んだから、性格は残ったんだろ。」

顔を背ける。

「とにかく、伽凛の行方だ、早くしてくれ。」


「こっちの彼女のも。」


どこからともなくかけられた声に飛び退く。

少し目線を上げたところにプカプカ浮かぶイケメン。

頬杖ついた慈音さんがいた。

漂ってくるオーラが怖い((( ;゜Д゜)))

「白妙も?」

不機嫌そうに頷く慈音さんが降りてきてライモンさんにしなだれかかる。

「いつもの場所にいなかった…。ダメだ…彼女の顔を見ないと落ち着かない。」

「えーと。…、と言うわけだ。城に残った記憶の再生を。」

ライモンさんの言葉に城さんがいった。

『言っておくが、これから流す記憶の映像は、ライモンが寝てしまってからのことじゃ。少々画質は悪いぞ。』

城の妖精(仮名:城さん)が目を閉じてなにやら手を動かしている。

円を描いた腕の軌道内に鏡が現れた。


鏡が映したものは、意外な結果だった。

イケメン2号、3号ともに落ち込む結果となった。

「なるほどね、神々の戯れと言うやつか。」

「感心してる場合か。」

吐き出すように言う紅蓮。

城が映し出した記憶は色鮮やかなフルカラーで、音声もバッチリで驚いてしまった。

城さんが言っていた画質の悪さは感じない。

映像の中身はこうだ。

ライモンさんは、自分が眠りに入る時、一人で眠る予定だった。それを聞いた慈音さんは、水くさいなぁとからかい半分にライモンさんに一緒に寝てやろうか?と言ったらしい。

しかし、あくまでも冗談で言っただけで、実行するつもりはなかった。それは、愛しの彼女が関係してるらしいから。

また、ライモンさんのことだから、神々からのちょっかいもあってゆっくり眠るなんて出来ないと。

ライモンさんもそれを分かっていたんだけど、ライモンさんを我が子のように考えていた神々の中の1人が、変な気を利かせた。

友でもある慈音さん、生前からライモンさんを側で守っていた紅蓮さん、そして、ライモンさんのペット?…であるドラゴンも眠らせてしまおうと実行したんだと。

残されたのは、慈音さんの彼女と、伽凛さんだった。

彼女達は、突然姿を消した恋人に戸惑いながらも神々に言った。

暫く女だけでゆっくり過ごしたいのだと。

彼女達は、イケメン達のことを好いてはいるが、過干渉、過保護すぎるきらいがあると。って、"過"ってついてるのに"過ぎる"ってどんだけだと思う。

二人の美少女は、これでもかとイケメン達の鬱陶しさを語っていく。

あー、慈音さんも紅蓮さんも落ち込んでるよ。

とにかく、二人で世界を旅しながら、人間世界における一般常識を身に付けようと話に花を咲かせている。

慈音さんの彼女である美女は、一方的に話している伽凛さんと思われる女の子の言葉に頷くばかりだけど。

暫く膝を付き合わせていた二人は、立ち上がるとイケメン達の眠る霊廟を後にしようと一歩を踏み出す。

ここまでのやり取りがイケメン達を落ち込ませた理由。

『お主らの束縛は、私が見ていても引くほどだったからのう、幾度、娘達を隠してやったことか。』

城さんが言った直後のことだった。


思わぬ事態になったのは。

映像を見ていたライモンさんや慈音さん、紅蓮さんが身を乗り出したのだ。

「どうしたんですか?」

彼等と映像、二つに視線を送った俺は、二人の美少女に近付くこれまた美少女っていうか子供を見た。

ふわふわの不思議な金髪?ピンクが混ざっているみたいな色のなっが~い髪を揺らしながら来た美少女は、大きな青い瞳をしていて微笑みを浮かべていた。

印象は庇護欲をそそる幼い子供。

「なんで、あいつが!」

驚きの声を上げているのは慈音さん。

ライモンさんのいつも穏やかだった表情も消えている。

「ど、どうしたんですか?」

子供の存在に気付いた伽凛さんが近付く。

紅蓮さんが彼女の名を呼ぶ。

「伽凛、近付くな!」

叫んだところでこれは、過去の映像だ。届くはずがない。

笑顔だった伽凛さんの様子がおかしいと気付いた慈音さんの彼女が手をかざすが間に合わず伽凛さんが倒れた。

「お前は何者だ!」

厳しい口調で尋ねる美女。

少女は微笑みながら答える。

「私は、神に愛された世界のヒロイン。」

ん?

電波?

「私の世界にお前達はいらない。私を不愉快にした罪を購え!」

高笑いと共にかざした手から放たれた光。

眩しー( ̄□ ̄;)!!

光と共に映像は消え、言葉を放つこともなく紅蓮さんと慈音さんがしゃがみこんだ。

立っているのは俺とライモンさん。

映像は、砂嵐から真っ黒に変化して消えた。

子供の高笑いと共に。


長い沈黙の後、口火を切ったのは俺だった。

「あの子供は?」

大きなため息と共にライモンさんが教えてくれた。

「あれの名は、ユリダリア。我が儘が過ぎて堕天した元女神だ。」

電波の次は、ファンタジー?

『ライモン、どうじゃった?』

城さんがドヤ顔で姿を表した。

空気読んで下さい城さん。彼女は、自分の映したものの内容が分からなかったらしい。

「………。」

無言で城さんを見つめるライモンさん。

無表情の後の笑顔…なんか。((( ;゜Д゜)))怖いですよ?

城さんもライモンさんの怒りに気付いて、えっ、ちょっと俺の後に隠れないでよ!

「主は、ライモンの主じゃからな、ここが一番安全じゃ。」

んな、アホな。

「まだ、あの女を生かしていたのですね、神よ。」

静かだけど、めっちゃ怖い((( ;゜Д゜)))オーラがライモンさんだけでなく慈音さんや紅蓮さんからもただよってくる。

平然としているのは、浮かんでいるドラゴン。

すげぇ神経だ。

天井からキラキラと光が降ってきてバレーボールほどの大きさの光の玉が浮かんでいた。

『ライモン…。』

うげっ、喋った!

「いい加減、甘くないですか?彼女に。神々の世界でも散々だったでしょう?あの女のせいで、我母の作りし世界が崩壊し、人々と俺を救うために命を投げ出したこと、忘れたんですかね。」

ライモンさんの笑顔の中にブリザードが吹き荒れていた。

にしても、城さん…。

俺を前に出すのはやめてくれ。

自分が死んでしまったことにショックを受ける間もなく、小説やゲームのような世界に巻き込まれている現状。

こんなに図太い神経だったっけ?


続く。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ