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夕食は茹でたじゃがいもにバター。かぼちゃのスープに鶏肉のグリル。それに山盛りのサラダ。
他にも4~5人の旅人が泊まっていた。
行商をしているおじさん、旅芸人の二人連れ、城へ帰るという二人。
彼らは酒を飲んで陽気に話している。
クリアは耳を澄まして会話を聞いた。
「あんた達はどこまで行きなさる?」
「俺たちはソレスタンまでさ。カーニバルに参加するんでね」
「へー、そりゃあ大したもんだね、王様の前でかい?」
「いや、いや、俺たちは広場でやるだけさ」
「今年は王様は見ないと思うよ」
これは城へ戻る二人の声だ。
「最近、姿を見ないんだ。大臣の話じゃ病に伏せっているらしい」
「大臣と言えば、最近何か探しているらしいな」
「ああ、世界樹だろ」
「見つかったってな」
「ホープ村だったかな?」
「枯れたって話だ」
「いやいや、あのごうつくばりの大臣の事だ。残ってる葉がないかって村中探し回ったらしいが、長老が毛生え薬に全部使ったって話だ」
「大臣もハゲだからな」
「長老もボケちまって話にならないらしいしな」
「一緒に行った魔導師達が本を探してたらしい」
男たちの話はまだ続く
「大臣は何を企んでいるんだ?」
「さあな、ここの町長なら何か知ってるかもな」
「大臣は城に戻ったのか?」
「いや、商人がやっと追いついて来たらしい」
「カーニバルは今年もいつも通りか?」
「やるみたいだな。来年はわからんがな」
「だんだん物騒になって来たからな。海の向こうじゃ戦争も始まってるしな」
その後、男たちの話は酒場の女の子の話題へと移っていった。
「ごちそうさまでした」
クリアは席を立って部屋へと戻った。
(少し疲れたな)
クリアはベッドに横たわると、すぐ眠りについた。