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テレサの家はすぐわかった。なんと言っても本人が玄関先で嫁に指図をして山菜のあく抜きをさせていたからだが…
テレサの案内で町の中を歩きだした。
「ここが防具屋。たいした物は扱ってやしないよ。あー、ここは薬屋さ。傷薬とか毒消し草とか色々あるから、町を出る前に買っておくといい」
「ありがとうございます」
その後、2人は市場へと向かった。赤や黄色のフルーツ、靴や帽子、洋服に本。
市場を抜けると町のはずれに出た。
教会の前には神父と町の人が3~4人程いた。
「あれ、テレサ山菜は採ってきたのかい?」
「ああ、いっぱい採れたよ。ところで軍がホープ村に入ったって?」
「昨日らしいねえ。あのチビの大臣と怪しい黒いマント着た奴らが行ったらしいね」
「それでどうなった?」
「山の中の村だからねえ。大臣が来たって大騒ぎになったらしいよ」
「泊まるとこもないだろうしね」
「長老がぼけちゃって、話が通じないらしいよ」
「わしが聞いた話じゃ、耳が遠いとか」
「埒があかないんで一旦近くの町に戻って商人が来るのを待つみたいだね」
クリアは可笑しくなって笑いをこらえた。おじいちゃん耳はすごくいいのよ。
呆けたふりをするなんて凄いなあ。村の人たちも…
教会でお祈りを済ませ、裏の墓場に出ると石碑が立っていた。
「これはねえ何百年も昔、魔王が現れた時この世界を救ってくれた勇者様のお墓だって話だよ」
「そうなんですか…」
石碑に刻まれた文字は風化してしまって読み取ることはできなかった。