虚空の空 第2部 四聖獣 編 プロローグ
人は一人で生きているふりをする。それは見えない世界を知らないからだ。中国大陸。かつて失われた時代があった。その歴史の中、後に四聖獣と呼ばれる者たちがいた。
彫刻家のスザク。鋼鉄のゲンブ。鳥人間のホウオウ。二刀流のビャッコ。
それは四人の出会いから始まった。
世が乱れる時、諸国の精霊は集結の時を迎える。
[ネーネー。神父さん。また聞かせてくれよ。お話をさ。四聖獣の冒険物語をさ][ウム。皆、集まりなさい。暖かいスープをご馳走しよう。サアサア。中へお入り]子供を集め、週に一回の神父さんの読んでくれた物語。それは、おそらく神話の話しに過ぎなかった。
紀元前5世紀。中国大陸はいくつもの国が争い、略奪をし、強者が統べる世界だった。人々はいつか現れる救世の騎士を求めていた。
[ヨオ。スザクさん。邪魔するぜ。今月の集金に来た。あるんだろ?金ぐらい][そりゃまあな。支配者に差し出す物は無いがソコソコの蓄え位はな。アア。そこの金づちを取ってくれ][ヘイヘイ。金づちな。全く懲りねーなー。ジイサンよ。大仏造りなんか楽しいか?ハーン?][まあな。大仏様は、それぞれ顔が違う。人間の生き写しなんじゃよ。若造にはわかるまい][タバコ、失礼するぜ。…………で、なんだ。人間の生き写しって][ご大老をバカにするな!悪党!悲しいとは思わんかね?金ならある。持っていけ][ホウオウ。これはこれは。ビャッコさんではないですか?相変わらず恰幅が良いですなー][用がなければ立ち去れ!二度と来るな!][じゃあな。ジイサンよ。ビャッコさん。アレだよ。あまり関わるとろくな事になりゃせん……]
ジャキン!
[言わなかったか?立ち去れと][ヒッギー!カッ………刀を向けるな!何もしちゃいねーだろ?]男は逃げ去った。
[ご大老。ただいま戻りました。お見苦しい所を見せてしまいすいませんでした][マア、良い。どうじゃ?町の生活は][………皆、病んでおります。今日一日、生きるのも大変な時代でして。今の奴も国王の遣いでしょう][一度、話さなくてはならぬかな?国王と][民の平和についてですか?お供致しましょう。私なら顔も効きますから][ウム。今夜はうちに泊まると良い。明日出よう。お粥を作ったがどうするね?][一杯、頂けますか。ご大老の粥は格別ですからな。今度、教えて下さい]
こうして彫刻家のスザクと二刀流のビャッコは国王の元へ出掛けるのだった。