退屈が、あっちゃダメだな!
「俺・・・何してんだろう…さっき先生と、普通に授業受けてたはずだぜ… 何でこんな分厚い本ペラペラ捲ってなきゃいけねぇんだ? 退屈だな〜」 少年は、また1ページ捲る…
少年は、色彩 大要
という名で、『此処』によばれて 来た。 学校という『此処』によばれて来た。
無理矢理と言っても、過言では無い程強引に、連れてこられたのにも関わらず、彼は何気に『此処』の生活に満足していた。それも、生活に支障が出ないというのも有れば、何より教師を少年が気に入っている…というのも有る。
しかし『此処』に、よばれたからには普通は、無い。
どうなるかは、彼とその教師だけが気にすることだ。
「おっ、大要君。進んでる?」「いいえ。全然。」「そんな即答しなくても…」
入ってきた男は、大要の教師だった。名を 灰(カイと読む)テンジ といった。『此処』では、音楽の授業をしている。その他の教師達の中で、一番大要が好きな人物である。そして大要だけでなく、他の生徒や教師も気に入っている人物で、教え方が良いらしい。と言っても、『此処』の生徒と、教師は彼らも含めてそれぞれ、十人ずつなのであまりにも少なすぎる。人数が一致しているので教師と、生徒で一対一の授業ができる。得意教科で、分けてある授業は楽しいらしいが、教師によっては楽しく無くなることも、ある。
「君は、ちょっと我が輩に対して、失礼というか無愛想というか…まあ進んでないことは、解ったけどまずいなあ。」「……。」「我が輩も手伝うよ。」「有り難うございます。」
急ぐように、テンジもページを捲った。