詩 鏡
掲載日:2026/05/04
鏡はもう一人の自分を映してくれる。
右手をあげれば、同じくあげるし、腰に手を当てれば、やっぱり同じ動作をする。
ピカピカ、ピカピカ。
綺麗に磨かれた鏡。
まるで宝石のよう。
その鏡の前で、髪を直したり、化粧をしたりと、忙しい。特に朝が忙しい。鏡の取り扱いになったりするのだ。
バタバタ、バタバタ。
せわしなく動く人間対して、鏡は正直に映し出す。
たまに「自分、こんな顔だっけ?」という時があるが、鏡は堂々とした彫刻のように動かない。
「ちゃんと映してますよ」と、焦っている人間に対して冷静でいる。氷みたいな冷たさかもしれない。
「よし、完璧」
用意ができたらしく、鏡から離れていく。
行ってらっしゃい、気をつけて。




