表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

No.2

「酷い臭いだ…」

「みっともない顔…」

「こら! 近寄っちゃだめ!」


道行く人は、いつだって俺を蔑む。

臭い? みっともない?

百も承知だ。

死んだドラゴンや人間の目。

窓ガラス、水溜りを見れば一目瞭然。

俺のような人の背景を考えたことがあるのか?

記憶があるかないかの幼い頃、人攫いの被害者になった。

出身なんて、家の形なんて、親の顔なんて覚えてない。

攫われては、雑用として売り出され、それを繰り返し、不要になれば捨てられ、夜寝ていたら、また攫われる。

ロープで縛られ、口を開けば腹を蹴られ、余計に動くと骨を折られた。

仮に逃げても、逃げる先にロクな場所なんてない。

村の外に出れば、腹を空かせたドラゴンが腐るほどいる。それでも、なんとか脱走を繰り返した。

ドラゴンを殺しては、血を浴びながら切り裂いて、焼いて食べる。

村の外で人の死体を漁っては、売るための金品を漁った。

なんて恨み言も、最近はブツブツ呟くこともなくなってきた。

慣れというものだろう。

青年と呼ばれる頃には、自分を守る体も、知識も増えた。人攫いには数年あってない。

とはいえ、生活水準というものは中々上がらないもので、普通の生活というのは、いつまで経っても手に入らなかった。

これまでを振り返って、ふと思う。

そこらの金持ちでも脅かして金をもらえば、住む場所くらい買えたんじゃないか?

いくらするかはわからないけど、小屋くらいならいけるのか?

これまで刃を向けてきた人を殺したことはあっても、決して私利私欲で殺したことはなかった。

俺の根は真面目なんだと、1秒くらい自分を褒めてみた。

でも、たとえどれだけ性根が良くても、今日も、これからも、変わらない底辺の生活。

今日は、清々しいくらいの快晴だけど、太陽を浴びると暑いし、無駄に体力を使う。

村のゴミ捨て場の影で涼んでいた。

この辺りは、服や装備の店が密集していて、人も交差しているから落とし物が多い。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ