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ムー大陸神々の笑い祭 - ユーモアと愛の叙事詩

作者: 108

 太古のムー大陸、その薄暮にたゆたう霧の彼方に、神々が集いし笑いの大会が、今宵も幕を開けんとしていた。


 空は深遠に高く、青ざめた色彩が広がる中、大喜利の舞台を想わせる濃密な言葉の応酬が、静寂を打ち砕いた。



「なんだね、ゼウス殿。


 その面持ちは、まるでブレイク間際の新人芸人がスベった時の如くじゃないか!」



 オーディンが、深いため息とともに宣戦布告のような冗談を飛ばす。


 ゼウスは、威厳に満ちた笑みを浮かべながらも、どこか茶目っ気のある表情を覗かせた。


 オーディンは、一見冷静沈着だが、その片目からは底知れぬユーモアのセンスが光っていた。



 ゼウスは神威かむいを轟かせて応じた。



「くくっ、オーディンよ。


 その髭は、波打つ海を思わせるが、面白味には欠ける。


 もしかして、そこのスーパーの惣菜コーナーで売っている寿司の海苔の端切れではないのか?」



 神々の競演は、時には言葉の戦い、時には心の交流。


 二柱の至高神が、今回は己のユーモアを武器にしようとしている。


 勝者には、太陽女神・天照大神の特別な笑顔が与えられるというのだから、戦いはギャグで彩られ、そして格闘技の如く緊迫する。



「おいゼウス、その瞬間移動ってのは、まるで通信障害みたいに不安定だな!」



 とオーディンが煽ると



「ははっ、お前の髭は、まるでマイクがハウリングしたみたいにうるさいな!」



 とゼウスの返しが飛び出す。



 突如、オーディンの槍とゼウスの雷雲が交わり、激突する。


 世界は笑いの渦に包まれ、神々の爆笑が天に響きわたる。



「こらゼウス、汝の一撃は、まるで子供のお遊戯のようだな!」



「フッ、お前の髭はさ、どう見てもおしゃべりクソ寿司の海苔みたいだな、オーディン!」



 と、ゼウスが雲間から顔を出し、言葉の雷を落とす。


 二柱の神は、死神すら恐れ畏る力を持ちながら、実は内心、破壊よりもシャレ合いの愛を渇望していたのだ。


 かつて、世界の危機に際し、互いの力をぶつけ合った二柱は、その果てしない破壊の連鎖に恐怖した。


 そして、真の力は破壊ではなく、創造にあると悟ったのだ。それは、世界を笑顔で満たすことだと。



「天照よ、このボケ合いにおけるオチを、俺がつけさせてくれ!」



 とオーディンは片目からでも深淵しんえんなジョークを放つ。



「静かにしろ、天の輝きに合わせてオチをつけるのは俺の役目だ!」



 とゼウスが嵐を巻き上げながらノリツッコミを返す。



 審判員のガネーシャが、その一牙で空を切り裂きながら言った。



「さあ、お二神さん、決闘よりも面白おかしく、もっと盛り上がるようにやってくれ!


 ダジャレがスベったら雷が落ちるぞ!


 ボケがつまらなかったら氷漬けだ!


 さあ、笑いの神罰を恐れず、心の底から笑わせてくれ!」



 戦いは言葉の応酬のように熱く、スレイプニルの咆哮がグングニルの轟音に対し、ゼウスのダジャレが雷鳴となって応える。


 それはまるで、バトル漫才のようだった。



 天照は優雅に微笑みながら、この神々の応酬に愛らしい声を加える。



「あら、それは私の台詞よ。


 奥の深い笑いは、私の真骨頂。


 さあ、どんな結末になるかしら?」



 そこに割って入る審判のガネーシャ。



「おやおや、我らの英勇なる神々よ。


 単なる戦いではなく、ここは一層趣向を凝らし、心の底からの笑いを全てに響かせてみせよ!」



 舞台は応酬の場と化し、オーディンの馬・スレイプニルの嘶いななきと、ゼウスの鳴り響くダジャレが、交互に場を支配する。


 それはまさに神々の漫才の様相を呈していた。


 ゼウスのダジャレの一つ一つが、実は世界のどこかに小さな幸せを届ける魔法の呪文であり、オーディンのボケには、人々の心に希望の光を灯す力があったのだ。



 そして、運命の糸が切れる音と共に、ガネーシャが深いため息と共に裁定を下す。


「勝者なし!


 両者共に、見事な笑いを見せてくれた!


 しかし、真の笑いは競争から生まれるのではなく、共に楽しむ心から生まれる。


 よって、今から新たな試練を与える!


 二柱の神よ、力を合わせ、世界を笑顔で満たすのだ!


 これが、今回の笑いの大会の真の目的だ!」



 天照はその言葉に目を輝かせた。


「素晴らしいわ、ガネーシャ!


 これこそが、私が望んでいた結末よ。


 愛は神々の笑いよりも深いもの、今日より、皆で共に世界を明るくするのね!」


 と喜びの声を上げた。


 ゼウスは、オーディンに向き直り、いたずらっぽく笑みを浮かべた。


「オーディンよ、お前のその髭、まるで絡まったイヤホンみたいだな。


 神話の終わりくらいには解けるのか?」



 オーディンは、ゼウスの言葉に一瞬たじろいだが、すぐに冷静さを取り戻し、鋭いツッコミを返した。


「ゼウスよ、お前の稲妻はいつも派手だが、蚊を退治することすらできないとは情けない!」



 ゼウスは、オーディンの予想外のボケに驚き、思わず吹き出した。


「おいおい、そのボケ、古すぎて化石になりかけてるぞ!」



 オーディンもまた、ゼウスのツッコミに思わず笑みをこぼした。


「そのダジャレ、寒すぎてオーロラが見えるぞ!」



 舞台は笑いの嵐に包まれ、ゼウスとオーディンの応酬がますますヒートアップしていく。


 ガネーシャも手を叩きながら、興奮を抑えられない。



「いいぞ、二柱!


 だが、笑いはまだ足りないぞ!


 もっと世界を揺るがす一発をくれ!」



 その瞬間、会場の空気が一変した。


 天空から一筋の光が差し込み、神々の大会に新たな登場人物が現れた。


 それは、笑いの神「ウズメ」だった。


 彼女は優雅な舞いを踊りながら、二柱の神々に語りかける。



「ゼウス、オーディン。


 笑いとは、競い合うものではないのよ。


 真の笑いは、人の心を温め、繋ぐもの。


 今宵、私がオチをつけましょう」



 ウズメが手を広げると、場内が静まり返り、彼女はこう宣言した。



「笑いの真髄、それは『共に笑い、共に生きること』。


 だから、ゼウス、オーディン、あなたたちは勝者ではない。


 皆が勝者なのです!」



 すると、天照大神が美しい笑顔を浮かべながら、そっと頷いた。


「そう、これこそが私たちが求めていたもの。


 笑いは一つの力、そしてその力は、世界を救うのです」



 ゼウスは納得し、威厳ある声で言った。


「ウズメよ、お前の言う通りだ。


 お互いを笑い合い、そして世界を笑いで満たすことが、我々の役目だな」



 オーディンも片目を細め、微笑んだ。


「ゼウス、お前の稲妻よりも強いものが見つかった。


 それは…笑顔だな」



 神々の爆笑が再び天に響き渡り、大会は笑いとともに幕を閉じた。


 全ての神々が一つとなり、世界中に笑顔を広めていく姿が、まるで夜空に輝く星のように美しく映った。



 そして、その時、天照が最後に優しく告げた。



「この世界のオチ、それは皆が笑顔でいられること。


 笑いとは、私たちが作り上げる最高の芸術です」



 こうして、笑いの大会は無事に終わり、神々は笑いによって一つに結ばれ、世界は永遠に笑顔で満たされるのであった。

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