第四十一話 マガツヒノカミ
式島はぼやいた。
式島「俺はなんで何をやっても、上手くいかないんだ。
頑張って仕事もしたし、努力もした。それなのに俺の何処がダメだったんだよ...もう辛いよ、悲しいよ、苦しいよ。誰か...助け...うわっ!?」
すると突然式島が立ち上がり喋った。
式島?「人間は実に愚かだ。人間同志で理解し合う事など不可能だと言うのに。」
翔「な、何なんだよ急に。」
式島?「人は互いに否定しないと生きていけない。なら全てを受け入れる我々こそが地上に君臨するのに相応しい。」
光里「あんた本当に式島?まるで別人のような。」
式島?「私は式島界人であり、式島界人ではない。本当の名を"マガツヒノカミ"」
翔「神だと?」
マガツヒノカミ「いかにも私は神。人間と言う者をコヤツの体を使って見ていたが、とても醜い存在だった。」
暁「式島さんに何をした!!もしかして、お前がこの事件の元凶なのか!?」
マガツヒノカミ「私は、この可哀想な子に"力"を与えただけだ。それ以降は全てコヤツの意思だ。」
衣舞「じゃあ、貴方は一体何の為に"力"を与えたの?それに目的は何!?」
マガツヒノカミ「"力"を与えた理由は、コヤツが世界を拒絶し我々と同じ考えだったからだ。それに私の目的は世界の浄化だ。人間のような醜い生き物の位置に我々が君臨する事だ。」
翔「我々?てことはテメェ一人じゃねぇのか!?」
マガツヒノカミ「お前達は、ここにいる魔物や町を騒がせたアンデッド達の事をただの”異能力”だと思っていたな。それは違う。そもそも”異能力”とは何なのかすら知らないだろう。もともと”異能力”とは私が人間共に授けた”力”なのだ。つまりお前達が使ってる能力は我々魔物の”力”なのだ。」
翔「異能力がお前らの...でもそれが何だって言うんだ!実際俺達はこの能力で人を救ってきた!」
マガツヒノカミ「確かに、お前達の行いは人々の為になっていたかも知れない。しかしそれも全て無意味な事。人は人を助けて、人は人を殺す。人を救ったとて何も変わらない。この世界は生きずらい、とても腐っている。」
暁「何訳の分からない事を!人は人と関わらないと生きていけない!人と関わるのを辞めるなんて生きずらいに決まってる!!」
マガツヒノカミ「だったら何故争いが始まる?何故地球が汚れる?それこれも全て”人間”だからだ。だがもう安心しろ、この世界は変わる。」
翔が疑問に思った。
翔「世界が変わる?どういう意味だ!」
マガツヒノカミ「言葉の通りだ。まず手始めにお前達の町から変えてやる。」
マガツヒノカミはそう言い姿を消した。
光里「皆急ごう!町が危ないかも!!」
翔が止めた。
翔「待て待て!紀彦さんは!?ここに置いてくなんて出来ない!」
翔は紀彦を背負った。
紀彦は意識がまだ無かった。
暁達は謎の空間から異能力を使い脱出した。




