第三十九話 犯人の動機と過去
式島は犯行の動機を詳しく説明した。
式島「僕は元々ね、人の役に立つ仕事をしたかったんだよ、だからその為に努力したし、人の手助けをよくしていた。でも現実はそう甘くはなかった。努力は簡単に人を裏切り、家族や周りの人間全てが俺を認めてはくれなかった。俺がどんだけ努力しても元のスペックが雑魚だったから、その上位互換が全てを弱者から奪い取る。考えてみれば当たり前の話だった。世の中、人の心ではなく数字を見て決める。もうゲームの世界と同じだ。数字が高い奴が全てで低い奴は見向きもされない、これが世の中なのだと悟った。どこへ行っても綺麗事を並べている連中や己の快楽の為だけに動いてる奴しかいない、このせいで誹謗中傷をする奴やクズな大人が量産される負のループの完成だ。人間なんて生きてるだけで矛盾する生き物だ。何が善で何が悪かなんて人の感性しだい。だったら俺が神様かなんだかに与えられたこの"力"で悪人を始末する。これが俺の正義、使命だ。悪人が世の中から減れば世界は平和になる、僕が殺してきたのは世界のクズとゴミだけなんだよ。それでお前らみたいなクソガキも俺の計画の邪魔をするから殺す、それだけだ。」
光里が怒鳴った。
光里「私の大切な人はそんなくだらい動機で殺したって言うの!!!」
式島「君の大切な人ってのは誰か知らないけどさ、僕が殺したって事なら僕が世界のゴミと判定したって事になるから仕方ないね。」
翔「仕方ないだと...テメェ!人の命を何だと思ってる!?例えお前が言う悪人がどうこう言ってっけど、人を殺すのは世界共通認識で"悪"なんだよ!!」
式島「人の命をどう思ってるかって?そりゃあゲームの敵キャラぐらいにしか思ってないよ。じゃあ考えてみなよ、目の前に敵モンスターが現れました。会話はできないし、かと言って逃げたら追いかけてくる。だったら倒す以外の選択肢ないでしょ?それで倒したら経験値が入る。簡単な話さ、世の中ゲームで出来てんのさ。」
翔「じゃあ、今教えてやるよ。ここは現実でゲームの世界じゃない。さっき自分で現実を教えるとか言っときながら自分が現実を見れてねぇじゃねぇかよ。」
すると式島がすかさず答えた。
式島「これだからガキは無知で嫌いなんだよ。いいかい?誰もこんな現実認めてないんだよ。真面目な奴は負け、ズル賢い奴は勝つ。これなんだよね。それに君達は探偵ごっこをしてる高校生、つまりガキなんだよ、学校の奴らは就職したらどうのこうの言ってるけどさ、あんなもの全部噓。全ては内面じゃなくて外面だけ、社会をろくに知らない奴が口出ししていい問題じゃないんだよ、それでも幸せに生きていける人間は持ってる人間なんだよ。所詮人生なんてギャンブルと一緒、運ゲーさ。どれだけ環境に恵まれたか才能を持って産まれてくるか、それだけで差が生まれる、産まれた瞬間からね。もちろん"夢"を見るなとは言ってない。けど"夢"を見て生きていても"分からない"と言う問題に直面するさ。」
衣舞「コイツの思想...狂ってるし、無茶苦茶すぎる。」
式島「なんとでも言えばいいさ、でもお前らだっていずれ分かるさ、どこまで行っても"つまんねー現実"ってやつをさ。
さっ、どうする話はもう済んだよ戦うかい?。それともまだ質問したい事でもある?」
式島は余裕の表情だ。
暁「いいえ、もう戦いましょう。
皆!気合い入れろよ!!!!!」
暁がそう言うと皆が声を合わせた。
「おう!!!」