第三十六話 真犯人
紀彦が病院に着いた。しかし、狂子を搬送していた救急車はまだ到着していなかった。
紀彦は嫌な予感がした。
紀彦「おかしい...何故俺が救急車よりも遅く出発したのに救急車が来ていない...まさか事故か!?いやそれだとこちらに連絡が入る...もしかして道が混んでいるとかなのか...でもそう考えるのが妥当か。」
紀彦はそう思い、救急車を待った。
しかしいくら待っても救急車は来なかった。
紀彦も病院も不安になっていた。
紀彦は最悪な展開を想像してしまった。
紀彦「落ち着くんだ俺...冷静になれ...まさかとは思うが、例の犯人に狙われた可能性はないか...いや、この件は翌日暁君達に共有しよう。」
紀彦は狂子の事と今の状況に叫びたくなるぐらい、精神的に追い詰められていた。
紀彦「クソッ...クソッたれ!!」
紀彦は涙を流した。
そして紀彦はとぼとぼと家に帰った。
翌日
暁達は公園に集まった。
すると光里が疑問に思った事を言った。
暁「あのさー全然関係ないけどさ、暁達って学生だよね?全然学校に行ってないけど大丈夫なの?」
翔「ああ、それはなあ俺ら実は今紀彦さんのお陰で見逃してもらってるんだよ。まあその分特別指導の対象だし、就職とか将来的には正直ヤバい状況かな〜一応課題とかは貰ってやってたりはする、でも自分の将来とかよりも町の安全が先だろ!どう考えても!どんだけいい所に就職できても殺されれば全てが水の泡だ。警察が手を焼いている中、力がある俺らが何もしないでどうすんだって話。」
翔達の正義感は強かった。
翔「それよりもさ暁、昨夜の事詳しく聞かせてくれ。」
翔がそう言い暁は昨夜の事を話した。
衣舞「紀彦さん、ついに異能力手に入れたんだね!それにまさか自分の相棒がそんな事やってたなんて...。」
すると紀彦が急いで暁達の下に走ってきた。
翔「おっ!?噂をすれば。」
紀彦「ぜぇはぁぜぇはぁ、君達に知らせないといけない事がある。」
紀彦は焦っていた。
翔「どうしました?知らせないといけない事って?」
すると紀彦は昨夜の出来事を話した。
暁達は驚いた。
「え!?狂子さんを搬送した救急車が来ずに行方不明!?」
翔「行方不明って...まさかな...。」
暁がふと思い出した事を言った。
暁「確か、俺が狂子さんに行方不明事件の犯人かどうかと、アンデッドの事件の犯人なのかと聞いた時に、半分正解、半分不正解って言われた。」
翔「それってつまり、犯人はやっぱ別に居るって事だな。なら狂子さんは犯人に狙われた可能性ってのがあるんじゃないか?」
紀彦「それは俺自身も、もしかしたらと思っていたが、よりその可能性が高まってしまったな。」
翔が考察を始めた。
翔「じゃあまず、狂子さんが何故あんな事件を起こしたかなんだが、相棒の紀彦さんでも分からないとなるとお手上げだけど、一つの説は生まれた。もしかしたら狂子さんはもう既に真犯人を知っていて、その口封じの為に...みたいな可能性なくないか?理由としては、狂子さんは、半分正解、半分不正解、この意味としてはその言葉通りの意味で、アンデッドの事件は起こしたが、行方不明事件は起こしてないって事だと思う。でも狂子さんだって犯行の動機だってあるはずだ。暁の話によれば自分が"正義"で俺らが"悪"みたいな事言ってたらしいじゃねぇか。て事はつまり俺らが狂子さんから見て真犯人と思ってたとか。そう考えれば狂子さんの言葉の意味を思い返したりしたら分かる。
紀彦さん、狂子さんは何か意味深な発言とかしてないですか?」
紀彦は思い出している。
紀彦「う〜ん言ってたような気が確か...あっ、マーケットがなんとかって確か。」
翔「マーケット?一体どう言う意味だ?クラマーケットの事か?
でもそれが何だって話だが...。」
すると暁が言った。
暁「式島界人...?」
急に辺りが静まり返った。
翔「ん?式島さんがどうかしたかよ?」
暁「偶然かも知れませんが、アンデッドが最初に襲い掛かってたの式島さんだったんだよ。だから俺がそれを助けて、俺らが"悪"だって事か?」
翔「つまり式島さんが真犯人って言いたい訳か...まあ可能性はあるよな、実際そう説明された方が狂子さんの発言や言動といいしっくりくる。
よし、今からクラマーケットまで行くか。」
暁達は事件の真相に近づいている気がした。