第五章40 【12月23日/初等部4年生活動中】5/これはもはや【産地】が違うとしか言い表し様がない
【芳一】と先日会って話をした、【河池 祈清】は興奮を隠せなかった。
彼女は感情表現が乏しく、よく無表情とか感情が無いとか言われるが、今の彼女は明らかに興奮しているのが解る様な顔をしている。
それだけ高揚しているのだ。
何故か?
それは、【芳一】と話してみて、彼の類い希、と言うより、唯一無二の【思考】に触れた事で、彼女自身の見えてなかった世界が見えた様な感覚を持ったからだ。
彼女は10年以上かけてある概念に新たな概念を加える事に成功した。
それは、この世のものは【答えがわかっている事と解らない事の2つで出来ている】と言うものを【答えがわかっている事と知らない事と見えているけど理解出来ない事の3つで出来ている】と言うものに変えたと言うことだ。
彼女も【芳一】と同じ前世は【全知全能界アンサワルド】と言う【異世界】に居て、少なからず前世の記憶を彼女は持っている。
そこでは、全て【答えがわかっている】と言う事から【全知全能界】と付けられている。
そこに敵対するのがよく解らない事の象徴【謎】を意味する【総謎超想果ミステアルティ】でありこの2つの情報を持って生まれた彼女は、最初は【答えのわかる事と答えのわからないことの二元論】で考えていた。
だが、10年以上の研究をかけて、良く解らない事には、もう1つ、【不知】の要素がある事を発見する。
【不知】とは【未知】とは似て非なるものであり、【未知】は【まだ知らない】事柄なのに対して、【不知】はその対象(【不知】)が現れようとしない限り他の存在は知ることが出来ない事柄と【定義】する事で、【二元論】から【三元論】に【概念】を改める事に成功した。
それは彼女にとって誇りであり、そこから、【不知】から出でた【超越】の要素を持つ【超態至】と【謎】の要素を持つ【謎歪虚】と【超越】と【謎】の両方の要素を持つ【超様謎】と言う3つの定義を導き出した。
そしてこれ以上は増えようが無い。
彼女はそう自負していた。
だが、【芳一】は、あっさりとそれを覆して見せた。
彼の思考では、【三元論】どころか【四元論】以上の発想をもっていたのだ。
彼は自身の創作物に当たり前の様に登場させていた。
湯水の様にアイディアが浮かぶ彼にとっては大したことでは無かったため、彼自身は凄い事だと自覚していなかったが、明らかに人智を越えた発想力を示していたのには驚愕した。
彼が考えていた4つ目の要素・・・それは、【明確な答えが存在しない事が解っていると言うこと】である。
言い方を変えれば、【観察者/知覚している者】の違いや、その【観察者/知覚している者】自身の成長や負傷などの状態変化などによって、答えが変わる、いや、見えるものが異なる【何か】である。
つまり見る人によって答えが全部変わってしまうので、【定義】を決められないが、あるのは解っている。
つまり、答えは存在しないというのがわかっているため、【謎】では無く、答えが出ていないから、【全知全能】にも含まれない。
また、知られていないと言う考えの【不知】にも当てはまらない。
なぜならば、知っている者も居れば知らない者もいる。
答えを導くための明確な物事が存在しないのである。
そして、それは【超態至】、【謎歪虚】、【超様謎】のどれにも該当しない。
非常に不思議な立ち位置の何だかよく解らないもの。
ふわっとした感じで答えが導き出せないもの。
それに、【祈清】の考えでは、【超態至】、【謎歪虚】、【超様謎】の様に分けるとしたら最低でも他に【4種類】存在している事までが解っている。
それらの違いは何となく違うという事は解るが、明確な区別の仕方が見つからない。
あえて違いを述べるとしたら【これはもはや【産地】が違うとしか言い表し様がない何か?】としか表現出来ないのである。
その4つに名前を付ける事が出来る喜びで、彼女は興奮していたのだ。
本来ならばそれを発見した【芳一】に命名権があるのだが、彼は、
「あ、良いよ、君が決めて」
と言ってくれた。
彼女は余りの嬉しさで泣きそうにもなっていた。
彼女はその4つを、
【理に当てはまらない問題】/【不理問】、
【答えに迷い散る】/【答迷散】、
【解の無い完全体】/【無解完】、
【唯一無二の間違えた種類】/【唯類違】、
とした。
この4つも【超態至】、【謎歪虚】、【超様謎】の様にランク分け出来るかも知れないが、人間の知識ではほぼ不可能という解を彼女は導き出している。
だが、間接的に見えなかった者が見えたと言う快感は【生粋の研究者】である彼女にとっては至上の喜びに等しかったのだ。
だから、彼女は興奮していたのだった。




