第五章22 【12月22日/初等部4年生活動中】22/【祈清】は告げる、「貴方の才能は【超】と【謎】に注目されている」1
【芳一】は10時間ほど寝て【部活】の8時間以外の2時間はとある夢を見た。
それは、
「【芦柄 銀侍】、妾の戦いをとくとみておれ」
と言う台詞から始まった。
もちろん、【芳一】の名前は、【唯野 芳一】であって【芦柄 銀侍】ではない。
【芦柄 銀侍】とは【芳一】のライフワークとして作っていた【フィクション・レジェンド1/フィクション・レジェンド】の主人公の名前である。
つまり、【芳一】の創作物の名前である。
そして、自分のことを【妾】と言うのは、【怨魔体】の化身である【唯野 芳寿】が身近に居るが、彼女の事ではない。
【フィクション・レジェンド1/フィクション・レジェンド】で自分の事を【妾】と呼称するのは、2名いる。
1人は、【風の惑星ウェントス編】の序盤から登場する【絶対者アブソルーター】と言う種族最強とされる、【エカテリーナ】である。
もう1人は、【エカテリーナ】と後で関わる事になる【高次元の存在】の事で【ラスボス】/【クスンタティーア】の【乳母】である。
どちらも【銀侍】の事を【芦柄 銀侍】とフルネームで呼ぶと言う特徴は一致しているが、どうやら、前者の【エカテリーナ】の方の台詞の様だ。
そして、そのシーンは【ウェントス編】の第4章で登場する【クスンタティーア】が登場する前の強者達の大会である【王杯大会エカテリーナ枠】の1シーンを再現している様だった。
【王杯大会エカテリーナ枠】とは【王杯大会】と区別されており、【エカテリーナ枠】の方は、主に、自分こそが【クスンタティーア】に継ぐナンバー2の実力者であると豪語する者達が勝敗を決める戦いとなっており、【クスンタティーア】が想像を絶する動く度にネタが垂れ流される超絶モンスターだと解らなかった時に、開かれている戦いであり、それでも通常の作品から見ればぶっ飛んだ設定の戦いが繰り広げられている。
再現されているシーンは【エカテリーナ枠】の名前を冠している【エカテリーナ】と初戦の相手の【鬼娘】が戦う前の様だ。
この後、【エカテリーナ】と【鬼娘】は、【惑星】を使って【キャッチボール】をする事になり、ボール扱いされた惑星は【ブラックホール化】するというとんでも展開になっている。
この頃は【クスンタティーア】登場前であるにも限らず、強者のレベルは惑星を遊び道具とする事が出来る程強大になっている。
それでも、【クスンタティーア】が登場する前から考えると児戯以下の表現であり鼻で笑えるレベルである。
ちなみに【クスンタティーア】は、一番弱い極限まで弱体化した状態でも大銀河の星々を使って砂遊びをするほど馬鹿げた力を持っている想像を絶する化獣である。
個人的に作っていた作品なので当然、映像化はされていないが、映像にしたらこうなると言う感じの【夢】で再現されていた。
【フィクション・レジェンド1/フィクション・レジェンド】はあくまでもライフワーク作品であり、【特別な37作の小説】には含まれていないが、この【ニュアンス】を持つ作品が【37作】の中に【7作】あるため、これと同等の【物語】と向き合わなければならないという【プレッシャー】がある。
これらはいずれ向き合わなければならない【超態至】や【謎歪虚】、【超様謎】に対する強大な戦力となり得るがそれを手懐けて、【覇者】に選ばれるまでが大変なのであるし、現時点で、【芳一】は、【超態至】や【謎歪虚】、【超様謎】を意識していない。
これは、どうやら、【5周目】の【選ばれし者】として、【逆転参戦方式】で、自分の作品を統一しなくてはならないと言う事と【シェリア】との邂逅を経て、こういう夢を見るようになっていたらしい。
そう言う夢見が悪い状況の【芳一】はある人物から逢って欲しいと言うDMを受けている。
その相手は、【帽子】を化身として顕現させる【1体目の御神体】と【眼鏡】を化身として顕現させる【1体目の怨魔体】と契約した【37作ニューモデルドール(プラモデルに代わる新素材モデル)】を作った【河池 妃鞘】享年21歳の【デザイナー・ベビー】/【河池 祈清】(ワンエイスで6重人格だったが、4つの人格を移植して現在は2重人格)/日本人である。
袂を分かった【金髪の少女/シェリア】とかち合わない日付を選んで、彼女は【芳一】にコンタクトを取るつもりの様だ。
【芳一】は、午後になり、【祈清】と逢った。
待ち合わせに指定したいつものカラオケ店で【芳一】は、
「君が【河池 祈清】さん?」
と訪ねた。
【祈清】は、
「そうよ。私が【河池 祈清】。
覚えているかしら、【河池 妃鞘】】。
漢字が違うけど私と同じ名前を持った貴方の幼なじみの事を」
と聞いてきた。
「え?あ、う、うん・・・」
と言いよどむ。
彼女に話して良い事か迷ったが、【芳一】の初恋の相手の名前なので知っていたのだ。
「貴方の幼なじみは私の母。父は不明。
私はデザイナー・ベビーなの」
「え?デザイナー・ベビー?」
「そう。人工的に作られた子供。才能のある人間を生み出すために生み出された実験動物の様なものよ」
「いや、そんなつもりでは・・・」
「良いのよ。事実だから・・・それより、貴方は私の母の初恋の相手なの。
だから、私も貴方に興味がある。そして貴方の作品をネットで拝見させていただいたけど、貴方も【超越】と【謎】に対して深い関心がある。
正直、私の研究について来れる人間は居なかった。
私の話をしてもどん引きされるだけだった。
私自身、感情表現が苦手というのもあって、研究所内では孤立していたわ。
だけど、【シェリア】と【フェアリア】から貴方に対する思いを聞くときだけが私の安らぎでもあった。
失礼ながらIQはそれほど高そうではなさそうだけど、貴方には類い希な【想像力】がある。
だから、私の話も専門用語を多用するのではなく、比較的想像しやすい言葉に変換して説明すれば、貴方も興味もって貰えると思うわ。
そう言う訳でお話をしたいと思って会いに来たわ。
貴方と話したい事はたくさんある。
自己紹介も良いけど、今日は、【超越】と【謎】について話をしたいと思っている。
貴方のゼロから生み出す力、弱者から強者になる成長の力に超と謎は注目しているわ」
と言う話をしたのだった。
話はこの後も続く。




