第17話 団長と面談
マルッティの突貫育成は順調そのものだった。
6日間の短期集中で一人前に育てるという漠然とした当初計画に対し、
具体的な目標があった方が良いと判断したローレンツが冒険者Lv.10を設定した。
千辛万苦を覚悟したが、自分のステータス調整による獲得経験値25倍、
それに『糸の鍵』を使った二班に分かれての探索が功を奏し、
4日目の五の鐘が鳴る頃、マルッティは冒険者Lv.10となっていた。
勿論、他人のステータスがわかる自分だけが気付いたことであり、
及第点に到達したことなど、ローレンツ達が知る由もない。
夕食時、ローレンツは酒に手を付けず考え事をしていた。
残り2日で目標達成できるか、それを懸念してのことだ。
明日からはパーティー全員で4階層まで進むか、
それとも探索時間を伸ばすか、はたまたその両方か。
いずれもマルッティの実力不足が危惧され却下となった。
義甥のマルッティのため、
大好きな酒も飲まずに真剣に考えこんでいるローレンツを見ると、
それが余計な気苦労だとわかっているだけに心苦しかった。
とうに冒険者Lv.10に到達している、と口に出してしまいそうになったが、
どうしてわかるのか、まずそこから説明をせねばなるまい。
それが億劫だったので、何とか踏みとどまれた。
5日目の朝、教会で冒険者Lv.10だとわかったマルッティが、
思わず腰を抜かしてしまったと、迷宮内でローレンツから聞かされた時は、
前夜の作戦会議が杞憂に終わったことも相まって、皆で笑った。
通常は1年かかるところ、迷宮に入った数日でLv.10に到達、
驚くのは無理もないが、3日目の時点で既にLv.9だったので、
腰を抜かす程ではないと思うが、自分は冷静過ぎるのだろうか。
マルッティの急成長はLv.だけでない。
鬼教官ローレンツによる指導によって技巧面も向上し、
本人も自覚しているのだろう、初日に出会った頃とは顔つきが変わり、
自信に満ち溢れているのがマルッティの表情から見て取れ、
3階層の魔物相手なら臆することなく一人で立ち向かえている。
迷宮探索は計画通り6日目まで実施したが、
マルッティが冒険者Lv.11になることはなかった。
最終日の夕食時、ローレンツは肩の荷が下りたのかご機嫌そのもので、
たががはずれたように酒を飲み、色々な話を聞かせてもらった。
騎士団時代の話、迷宮の話、そして亡くなった奥さんの話。
一番興味深かったのは、ローレンツが考える最強の魔物についてだ。
攻撃力、防御力は決して高くないが、スライムのSランクが最強で、
とにかく、こちらから攻撃をしかけられないらしい。
物理攻撃を無効にするなどの、特殊スキルを持っているのだろうか。
詳細について聞きたかったが、酔っぱらってしまったローレンツは、
針が飛んだレコード、または高次脳機能障害の九官鳥の如く、
何をどう聞いても返事は同じで、
『スライムのSランクが最強、攻撃できない』としか言わなかった。
機会があれば、素面の時にもう一度質問してみよう。
***
窓辺で一服しながらローレンツ達とのこの6日間を思い出していた。
空が明るくなり始めているので、いつもの時間帯だろう。
ということは、今頃は一の鐘が鳴っているのかな。
自分には聞こえない鐘の音に思いを馳せながら、タバコを吸い終えた。
普段なら、カーリナが騒がしく起こしにやって来る頃だが、
本日の迷宮探索は中止になったので、今朝は起こさなくていいと断った。
迷宮へ入らないのは、予定していた6日が経ったのもあるが、
騎士団長ユーハンとの面談が午前中に設定されたからだ。
二の鐘の頃に、カーリナが自分を迎えに来る手筈になっている。
だが、鐘の音が聞こえない自分はどう待てばいいものやら。
不便なことにこの世界には時計がなく、
不憫なことに自分には精巧な体内時計が備わっていない。
しかし、一つ妙案があるので試してみたい、タバコ呑みならではの時間判断だ。
この世界の時間は、迷宮から鳴る5回の鐘の音で決まっている。
朝に一の鐘、昼に三の鐘、夕方に五の鐘が鳴り、その間に二と四の鐘が鳴る。
一度も自分は聞いたことがないが、鳴るのだ。
一の鐘は空の明るさから午前6時頃だろう。
五の鐘も空色から午後6時頃かな?――少し遅すぎるかもしれないが。
鐘の音が等間隔で鳴ると仮定すると、
3時間毎に12時間かけて鐘が5回鳴っていることになる。
当たらずとも遠からず、といったところだろう。
迷宮内では我慢しているが、自分は約1時間でヤニ切れになる。
つまり、4本目のタバコが吸いたくなった頃、カーリナがやって来るはずだ。
我ながらなかなか面白い実験ではないだろうか。
夏休みの自由研究にもってこいだ――自然と人体に関する研究。
子供の頃にやっていたら、はなまるをもらえていただろう。
タバコを吸った時点で100%ダメだ、未成年への人体実験だし。
やることもないので、ベッドに横になりステータス画面を見る。
そう言えば、自分のステータス画面について新たな発見があった。
パーティーメンバーのステータスを確認できることが分かったのだ。
これを使えば、いちいち鑑定スキルを使わずともLv.が確認でき、
何より、離れた場所からでもステータスがわかるのが便利だ。
別の階層でマルッティが冒険者Lv.10に到達したのも、
この機能によって確認できた。
勿論このステータス確認については、ローレンツ達に伝えていない。
ただでさえ、武器攻撃力や獲得経験値を上げられるという自分の能力は、
他言無用となるくらい珍しく、カーリナに至っては自分を心酔しきっている。
そこにきて、パーティーメンバーのステータスが見られるとなると、
もう人間扱いされないかもしれないという不安から、黙っているのだ。
常に発言にも気をつけ、情報漏洩防止に努めた。
めざといローレンツがことある度、カマをかけてあれこれ質問してきたが、
今のところ対処できている、ボロは出ていないはずだ。
そもそも、何を持ってパーティーメンバーと判断されているか、
パーティー構成条件が未だ不明のままである。
同時に迷宮へ入った者をパーティーメンバーだと判定していると考えたが、
そうではなかった。
迷宮に毎日通っていると、別パーティーを見かけることが多々あり、
そのパーティーと同じタイミングで迷宮へ入ることもあった。
しかしながら、彼らの情報がステータス画面に表示されることはない。
現時点、共に魔物と戦うことがパーティーメンバーとなる条件と考えているが、
一度に全員が戦うわけでもないので、複数ある条件の一つでしかないと思う。
時間があれば他の条件があるかを確認してみたいが、
今後ローレンツ達と迷宮に入ることはもう無いのだろうな。
ステータス画面のパーティーメンバー欄を見て不意に思う。
今はこうしてローレンツ、マルッティ、カーリナの名前が表示されているが、
いつかは消えてしまうのだろうか……
がらにもなく感傷に浸りながら、タバコに火を点ける。
いかんいかん、おセンチになっていたら、つい無意識に吸ってしまった、
1本目を吸い終わってから数分も経っていないぞ。
タバコを使った人体実験の最中だというのに、この1本はノーカウントだ。
こうやって気軽にタバコを吸えるのも、毎日迷宮に入っているからこそだ。
ドロップアイテムの売却でそこそこ稼がせてもらっているので、
贅沢こそはできないが、爪に火を点すような生活を送らずに済んでいる。
ただ、カーリナに言わせると、タバコを吸っている時点で贅沢らしい。
1本が100ラル(2千円相当)のタバコをばかすか吸っていると、
他人から贅沢と思われてもやむを得ないか。
それでも生計が成り立っているのは、タバコ以外の出費がないからだ。
騎士団が生活費を持ってくれているおかげで、
自分の稼ぎを全て高級嗜好品に注げている。
団長との面談の際、お礼を言うのを忘れないようにしないと、
それと、いつまで扶養してもらえるのかを明確にしておかなければならない。
本日をもって生活支援を打ち切ります、と突然言われても困るし、
何より、今日までのは騎士団で立て替えておいただけなので、
いついつまでに全額きっちり耳を揃えて支払え、
タダより怖い物はないんやでー、と催促されたら大変だからな。
可能ならば今の生活支援について延長申請を行おう。
ただ、申請が通らなかった場合も考えておく必要がある。
窮地の際は、虎の子の魔玉に手を付けるしかあるまい。
ステータス設定で魔玉成長率UPを3倍にしたまま、一切使っていない。
カーリナに色を確認してもらうと、黄色だと言っていた。
どう見ても黒色なんだが、未だに魔玉の色の見分けがつかない。
黄色ということは1千匹相当の魔物を倒したことになる。
魔玉成長率3倍効果が作用しているが、それでも実際に倒した数は300匹以上、
そして何より、貨幣価値に換算すると1万ラルになる。
元の世界の20万円相当、なかなかの大金だ。
更にタバコに換算すると100本――こう考えると大した金額ではないな。
ステータスを調整さえすれば、魔玉成長率UPを更に上げられるので、
特段、現時点で何か策を講じる必要はないだろう。
無意識とは怖いものだ。
気が付くと3本目のタバコを吸っている、これもノーカウントだ。
果たして今は何時なんだろう……
***
「師匠、師匠!起きてください」
「ん?あ、うーん。あれカーリナ?どうしたの」
「どうしたのじゃないです。これから団長との面談です。
二の鐘が鳴ったのでお迎えにあがりました」
いつの間にか寝てしまっていたようだ。
タバコを使った人体実験は、また後日としよう。
「あれ?シーツが焦げていますけど、
もしかして、タバコを吸いながら寝てしまったんですか。
危ないので絶対にやめてください。火事にでもなったら大変です。
あっ、床も焦げて……まったくもー。
新しいシーツをもらってくるので、師匠は身支度をお願いします」
ご立腹の感じでカーリナはベッドからシーツを外し、部屋から出て行った。
おー怖っ。
***
カーリナと二人で騎士団詰所に向かうと、入口前に立つユホを見つけた。
「あっ、ユホさん!お久しぶりです」
「ご無沙汰していますヒデキさん。
本日は団長との面談ですね、承っています。
ご案内しますので、私に付いて来てください」
「ちょっと待ってもらってもいいですか。
ローレンツさんも来ることになっているんですよ」
自分の訪問を記帳する手を止め、ユホが来訪記録に目を通しながら答える。
「えーっと、ローレンツさんは……
あぁ、既にお越しになっています。一の鐘の頃です」
「えっ、そんなに早く!二の鐘って約束だったのに」
「ヒデキさんのとは別件のようです。
鍛冶師ギルドの方々と一緒に、ギルドの一員として来訪となっています」
「ギルドの仕事?ですか……」
「ヴァルケアへの派遣に関して、団長と調整をされているようです。
記録では……まだ詰所内におられますね」
昨日、ローレンツはそんなこと一言も口にしていなかったが、
んー、相当酔っぱらっていたからな、勘弁してやるか。
建物内への武器持ち込みは禁止されているとのことで、
詰所入口で武器を預け引換券を受け取り、ユホの案内で待合室へ向かう。
面談までここで待つようだ。
待合室は数脚の椅子が並んでいる以外に何もなく、
応接室へ繋がる扉が唯一装飾されているだけで、
本当に待つだけの飾り気のない部屋だ。
椅子に腰かけると、目の前にユホとカーリナがこちらを向いて立つ。
なんか気まずいな、ユホはともかくカーリナぐらいは座って欲しいのだが。
そもそも座っちゃまずいのか、無作法と思われているかも。
「あのー、二人は座らないのですか」
「私は結構です」「師匠、ボクも立っておきます」
「それでしたら私も――」
一人だけ座っているのも居心地が悪いので、三連立ちんぼといこう。
椅子から腰を上げようとすると、ユホに制される。
「どうぞ、ヒデキさんはおかけになってお待ちください」
「えっ、あっ、はい。そしたら、カーリナも座ったら――」
「大丈夫です師匠。お気遣いありがとうございます」
気遣いではない、目の前に立たれているのが気になるのだ。
満員電車で座席を譲り合っているわけでもあるまいし、
席が空いているのだから二人共座れば良いのに。
気まずさに耐えきれず再び立とうとすると、今度はカーリナに制される。
自分の肩を無言で抑えて立てなくしてきた。
おいおいよしてくれ、その手を放すんだ、
これじゃまるで酔っ払いと、それを押さえつけている警官みたいじゃないか。
二人はどうしても立っていたい、そして何が何でも自分を座らせたい。
はいはい、わかりました、わかりましたよ。
と思わせておいて、隙を見て再び立ち上がろうとすると、
今度は両肩を強く抑えてきた――降参だカーリナ、好きにしてくれ。
ユホ達と雑談をして面談までの時間を潰す。
ユホは冒険者ギルド受付のクラウディアさんに会えていないとのこと。
騎士団にギルドへ入り浸っているのがバレてしまい、
こっぴどく怒られた挙句、守衛に回されたので昼間はどこにも行けないそうだ。
カーリナはローレンツにもらった鋼鉄の槍が気に入り過ぎて、
片時も手放したくないのと、ちょっぴり同僚に自慢したいのもあり、
こっそり宿舎に持ち込んだところを見つかって、減給処分を受けたそうだ。
兄も兄なら、妹も妹だな。
ガチャッ
応接間へ続く扉が開き、中から立派な髭を貯えたおっさん連中が出て来た。
ローレンツと同じオレンジブラウンの髪色、鍛冶師ギルトのドワーフ達だろう。
見知らぬドワーフが近づいて来たので席を立つ。
「アンタがヒデキか。俺は鍛冶師のギルドマスターをやってるリカルドだ」
「あっ、どうも」
「ローレンツから話は聞いてる、アンタ強いんだってな。
今度、時間がある時でも手合わせしてくれ」
「いや、強いだなんて――」
手合わせなんてまっぴらごめん、断ろうと思っているところに、
リカルドが握手を求めてきたので、つい手を出してしまった。
あれ?これって挨拶だよな、手合わせの約束じゃないよね、ん!?
うぐぉー
リカルドが強く握り締めてきた、このおっさんは加減ってものを知らないのか。
痛みで膝を付きそうになっているところに、ローレンツがやって来る。
「おぅ、ヒデキ来てたか。
リカルド!そいつが俺の言ってたヒデキだ。何だ、手合わせの約束か?
やめとけリカルド。ヒデキは俺より強いぞ」
「そうかー?ローレンツよりも強いか」
「あぁぁ……リッ、リカルドさん、手っ、手を離してもらって……もぉー」
「おっ、スマン」
おーイテテテ、このおっさん絶対にわざとだ。
痛がっているとリカルドが顔を近づけ、耳元で囁く。
「アンタ、特殊スキル持ちって本当か?」
「えっ!?どうしてそれを。ローレンツさんから聞いたのですか」
「いーやっ、カマかけてみただけだ。じゃあ手合わせ楽しみに待ってるからな」
くそー、簡単なブラフに引っかかってしまった。
苦手だわー、嫌いこの人、リカルドとは二度と関わりたくない。
***
応接間に入ると、
団長のユーハンが挨拶の握手を求めて来た――今度は大丈夫だよな。
ユーハンと対面するようにローレンツと共に3人掛けのソファーに腰を下ろす。
目の前のテーブルは書類や地図で埋め尽くされている。
ローレンツはテーブルの上を片付けるようカーリナへ指示し、
ユホには三人分のお茶を入れるよう伝えている。
酒があれば持ってきてくれと頼んでいるが、ユホは聞こえぬふりだ、
ローレンツの扱いを心得ているな。
「ヒデキ殿、ご足労に感謝します。早速ですが――」
魔力禍にあるガド地区の状況についてユーハンが説明する。
現在、ガド南部は魔物暴走の鎮圧に成功、騎士団の制御下にある。
北部と中部の戦況は厳しく、難航した末に小さな村が幾つも消滅、
村を失った者や、村からの避難者を受け入れるべく、
難民キャンプを北部と中部それぞれに設営、そこで生命と安全を確保している。
とはいえど、治安維持に人員を割かざるを得ないのが実情で、
それにより、魔物討伐の団員が不足し、戦況は悪化の一途を辿っている。
この難局を打破すべく、唯一暴走の鎮圧に成功した南部沿岸連隊より、
3つある大隊の内、2つを各キャンプそれぞれへ動かすと決断、
合わせて各ギルドへキャンプでの救援活動を要請している。
鍛冶師ギルドは事前要請を受けていた冒険者の街ヴァルケアへの支援に加え、
新たに追加要請された難民キャンプへの派遣を本日承諾した。
そうだった、迷宮探索に勤しみ忘れていたが、今は500年ぶりの魔力禍なのだ。
街の中ではそんな気配すら感じず、平和そのものなので、
ネットもないこの世界では、自分から積極的に情報収集しない限り、
外部の状況など知りようもなく、対岸の火事になってしまう。
「――というのがガドの現状でして、
これを踏まえ、ヒデキ殿に受けて頂きたい申し入れがあります」
いよいよ本題か、騎士団に勧誘されるのだろうか――何と言って断ろう。
考える時間はたっぷりあったというのに、考えようとしなかった自分を恨む。
「その前に、ヒデキ殿はヴァンナ教をご存じですか」
「えっ、ヴァンナ?教ですか……いやー聞いたことありませんね」
「やはり……ヴァンナ教の信仰は魔物への対抗手段の一つと考えられています。
従って、各地に魔物が出現するこのランタニア大陸では、
そこに住む種族や風土に適用する形で10派に分流し、広く信仰されています。
ヴァンナ教を知らぬ者はこの大陸にいないでしょう」
「あぁ、そうですか……」
「数年前、ランタニア大陸から船で60日かけ西へ向かった先に、
新しい大陸が発見されました。記録では新大陸に魔物はいなかったそうです」
「あのー、ご質問?というかお話の意図がわからないのですが」
「これは失礼……ヒデキ殿と漁村でお会いした際、
魔物を見たことがないと言っていたのを思い出しまして、
もしかしたらヒデキ殿は新大陸から転移されたのではないかと思うのです」
ユーハンの推理は、ここでない何処かから来たという視点では合っているが、
所詮知識内の推理でしかなく、異世界という答えには永遠に到達しないだろう。
そもそも世界という概念があるかも疑わしい、
あったとして自分の概念とも違うだろうし。
「んーどうでしょう、私が居たのがその新大陸かどうかはわかりませんが、
この大陸の出身ではないと思います」
「そうすると……500年前の古い文献のため、真偽の程は定かではないですが、
転移者の中には、神より特殊スキルを授かった者が稀にいたそうです。
そして、遠方より転移して来た者程、強力なスキルを得たと記録されています」
カーリナもそんなことを言っていた、500年前だろ、作り話じゃないのか。
スキルという単語を聞いて、カーリナとローレンツが口を挟む。
「師匠の強さを考えると絶対そうです。ですよねローレンツさん!」
「おぅ、そうだなカーリナ。ヒデキが新大陸から来たのは確定だな。
ユーハン驚くなよ、ヒデキは特殊スキルを幾つも持ってんだ」
「おお、やはりそうかローレンツ」
三人が新大陸で盛り上がり、ユホは一人置いてけぼりだ。
「皆さん落ち着いて下さい。新大陸から転移したかはまだわかりませんよ。
それにローレンツさん、スキルを幾つも持っているって、
ローレンツさんには2つしか伝えてないじゃないですか」
「じゃーヒデキは幾つスキル持ってんだ」
「あっ……」
気を張っていたつもりがつい口を滑らしてしまった。
皆が自分に注目している、どうしよう。
取り返しがつかない状況に困惑していると、
ユーハンが姿勢を正し口を開く。
「ヒデキ殿、部隊を編成し迷宮に向かって頂けないだろうか」
キャラクター設定
リカルド
鍛冶師ギルドマスター(冒険者の街キュメン)
種族:ドワーフ 性別:男 年齢:41歳 ジョブ:鍛冶師
家族:母、双子の兄エンリケ
幼い頃に事故で父を亡くし、母が女手一つで双子二人を育てた。
世界一尊敬するのは母、母のことをよく言わない兄を軽蔑している。
エンリケ
鍛冶師ギルドマスター(冒険者の街キリル)
種族:ドワーフ 性別:男 年齢:41歳 ジョブ:鍛冶師
家族:双子の弟リカルド
幼い頃に母が父を殺害したのを目の当たりにした。
父がいなくなった後、暫くすると母はエンリケに性交を強要し始めた。
強要はエンリケが成人し家を出るまで続いた。
母のことを世界一軽蔑しているが、弟には真実を言えないでいる。