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第14話 復習

朝だ。


窓の外が明るくなり始めている。

昨晩は興奮して寝付かれず、そのまま朝を迎えてしまった。


初めての迷宮、そして初めて毒攻撃を受けた……からではない。

多分、ローレンツ達との夕食でデザートとして出されたあの果実のせいだ。

ローレンツが言っていた元気になる、

いや元気になり過ぎるとはこのことだったのか。


ローレンツ達と別れた後、金がないのでスケベーなお店に寄ることもできず、

仕方なくまっすぐ宿屋に戻り横になったのだが、

部屋に入ったあたりから目がギンギンとなり、そのまま今に至る。


言うまでもなくギンギンなのは目だけではない。

まさか5回もすっきりできるとは驚きだ。

更に今もなおギンギンなのに少し引いているくらいだ。


仕方なくベッドから起き上がって、全裸で一服しているところに、

ドタドタと階段を駆け上がる音が聞こえる。

朝の恒例、カーリナの鳴り物入りでのお出ましか。

扉がノックされることなく、勢いよく開くと元気なカーリナが声を発する。


「おはようございます師匠!起きて、あっ、

 もうお目覚めでしたか。おはようございます」

「おはようカーリナ、今日も朝から元気だね」

「はい、師匠も。

 昨夜、ローレンツさんが槍をくれると言ってくれたじゃないですか。

 それがボク楽しみで昨晩は眠れませんでした」


そう言えば、酔っぱらったローレンツが槍を手配すると言っていたな。

理由は違うがカーリナも眠れなかったのか、まるで遠足前日の子供のようだな。

大抵、当日眠たくて楽しめないのが相場だ。

カーリナは14歳だが、まだまだお子ちゃまということか。


これまた恒例のカーリナによる窓開けが始まった。

今日は変な臭いがするとは言わないのかと思いながら、

ギンギンな目でカーリナを追っていると、更にギンギンになって来た。


やばい。


ややこしくなるから、カーリナに欲情するまいと心に決めていたが、

どうにもこうにも制御が効かない。

そもそも自分の好みは大人の女性だ、子供には興味はない。

実際、毎晩お世話になるのはラタさん(の思い出)だけだ。

カーリナに対してそういった気持ちをこれまで持ったことはない。

それなのに……どうして……カーリナに目が釘付だ。


確かにカーリナは美人だ、兄のユホも男前だから両親も美形なのだろう。

美人が故に大人びて見えるがまだ子供、子供相手に何を考えているのだ。

――でも、今の自分はカーリナと年が一つしか変わらない子供だぞ。

いやバカか、精神は大人なのだから倫理的にダメだ。

――でも、心の内に秘めている分には問題なかろう。

いやバカか、こんな状態なのだぞ、気持ちを行動に移すに決まっているだろ。

そういった考えを持つこと自体が悪だ。

――でも、これって思春期の異性への性欲的関心かもよ。


悶々と自問自答しつつも、ついギンギンな目でカーリナを追ってしまう。

一緒になってギンギンなアレもカーリナを追っている。

何とかせねばと思うが、一向に鎮まる気配がない。

そんな苦悩も知る由もないカーリナが話し出す。


「師匠、お湯と朝食を取ってきますね」

「ああ、頼む」


あれ?カーリナってこんな可愛かったっけ?

気が付くと部屋を出て行くカーリナの後ろ姿に見惚れている。

後ろにまとめた赤髪を揺らしながらカーリナは部屋から出て行った。

自分のために、健気に尽くすカーリナが愛しくてたまらない。

違う、正直に言おう、カーリナが欲しくてたまらないのだ。


こちらに背中を向けて隙だらけのカーリナに対し、よく我慢できたものだ。

自分で自分を褒めた。


だがこれ以上は無理だ、煩悩をかき消さねば。

自分で自分を慰めた。


ササッとすっきりした直後、カーリナが戻って来た――ギリギリセーフだ。


顔を洗っていても、朝食を食べていても、ずっとカーリナの事が気になる。

パンを食べながらカーリナをちらちら見ると、カーリナも見返してきた。

そんなカーリナに、もう悶々がギンギンで頭がおかしくなりそうだ。

カーリナには廊下で待機してもらい、もう一度すっきりした。


落ち着きを取り戻したのでカーリナを部屋に招き入れ、

装備を付けるのを手伝ってもらったが、これが間違いだった。

10代男子の性欲は化け物だ。

カーリナの手が自分の体に触れた瞬間、爆発しそうになったのだ。


「カッ、カーリナ、悪いがまた廊下で待っててくれないかな」

「師匠……ボクなら平気ですよ」

「ふぇ?」


視線を斜め下に落としたカーリナが、恥じらう感じでモジモジしている。

思ってもみなかったカーリナからの返事に、独りで大混乱だ。

どういうことだ平気とは、目の前ですっきりしてもいいと言っているのか?

カーリナは師匠がすっきりする所を見てみたいのか、

自分はやぶさかではない、むしろその方が……

混乱している自分に、上目遣いのカーリナがダメ押ししてくる。


「師匠は、ボクの師匠ですから……我慢する必要はありません

 師匠がしたいなら…………ボク……いいですよ」


カーリナが今最高に可愛く見える。

そもそも、昨晩の果実の効能を知っていたようだし、

それに師匠の奇行から状況を察したのだろう。

師弟の契りとは別に、男女の契りを交わしてもいいというのか!?

どうするヒデキ、一線越えるか!


何としてでも押し倒し、どうにかしたい気持ちを、

何とかして必死に抑え、どうにか踏みとどまった。


そんな師匠の苦労もつゆ知らず、カーリナが続けざまに言う。


「窓も開けていますし……我慢しなくても」


んーっとこれはどういうことだ?ちょっと理解できないぞ。

カーリナは嬌声を窓の外に聞かせたいのか。

興奮状態なので正常に思考できない、言葉の真意は何だ。

カーリナが口を開く。


「ほら師匠、来てください」

「あふっ……」

「タバコ吸いたいんですよね、窓を開けているのでボクなら平気です。

 ただ、こっちの窓際でお願いしますね」

「えっ!?なぬ!?」


なんだこいつ、やはりただの子供じゃねーか、お子ちゃまだ、お子ちゃま。

そりゃーカーリナは美人だが、よくよく見たらタイプじゃない。

さっきまで可愛いと思っていたが勘違いだ、自分がどうかしていたのだ。


一人ですっきりするため、再びカーリナを部屋から締め出した。

カーリナにはしばらく廊下に立ってもらって反省させよう。

腹癒せに今度はじっくり時間をかけるぞ、まずは一服だ。


タバコを吸い終えたので下着を脱ぐと、違和感に気付く。

どうやら中で暴発していたようだ。

カーリナの言葉に思わず声が出た時に、一緒に出ていたようだ。


ふてくされて下着を穿き替え、手こずりながらも装備を一人で着けていると、

様子を窺うようにゆっくり扉が開き、カーリナが部屋に入って来た。

一人では装備を付けられず、結局はカーリナの手を借りることとなった。


やはりカーリナはいい子だ。

カーリナへの熱が急に冷めたのは賢者タイムだったようだ。

先程の非礼を心の中で詫び、冒険者ギルドに二人で向かう。

二人して寝不足だ、果たして今日の迷宮は大丈夫だろうか。


***


冒険者ギルド前にローレンツとマルッティを見つける。

マルッティは槍を持っている、昨晩ローレンツが約束したカーリナの槍だろう。

昨日の今日で鍛治師ギルドから貰ってきてくれたようだ。

そのローレンツはというと相当イライラしている。

離れているここからでもわかる、だいぶ待たせてしまったようだ。

ここは秘奥義を使わせてもらおう――『ここまで走って来ました作戦』だ。

駆け寄りながらローレンツに声をかける。


「ロッ、ローレンツさーん、お待たせしました。ハァー、ハァー」

「ヒデキ!ちょっと来い。人がいない所に行くぞ」

「いやー遅くなってすみません、ハァー、ハァー」

「いいから、ちょっと来い」

「ほら、カーリナからも何か言って、ハァー、ハァー」

「ローレンツさんにマルッティ君、おはようございます」

「おう、おはようカーリナ。ヒデキ、ちょっと来い」


作戦が、秘奥義が通用しない。

恐るべしローレンツ。

それにカーリナものんきに挨拶してないで、作戦を察してくれよな。


このままローレンツに付いて行ったらどうなるのだろう。

人目を気にするということは、もしや校舎裏で焼きを入れられるのか。

だとすると何とか回避せねば、頭をフル回転して言い訳を考える。


「えーっと、そう!まずトークン、トークンを買わせてください。

 昨日買わなかったので今日の分がありません」

「そんなもん俺が出す。それよりも人がいない所へ行くぞ」


ダメだ、ローレンツは折れそうにもない、こちらが観念するしかないのか。

集合に遅れただけだというのに、一体どんな目に遭わされるのだろう。

そもそも集合時間なんて約束してなかったと思うのだが。


***


ローレンツに連れられ着いたのは冒険者ギルドの建物裏だ。

まさかおっさんから告白されるわけでもないだろう。

やはりここで折檻されるのか、カーリナとマルッティの目の前で。

師匠の情けない姿はカーリナに見て欲しくない。

情状酌量の余地があるかローレンツに聞いてみるか。


「あのー裁判長、よろしいでしょうか」

「ヒデキ!お前何をしたんだ」

「えっ、違うんです。今朝は大変だったんです。鎮めようと必死だったんです。

 それにカーリナに見せるわけにもいかないので」

「おい、さっきから何をわけのわかんねぇこと言ってんだ。

 俺が聞きたいのはお前がまた、とんでもないスキルを使ったかだ」

「えっ?」

「今朝、教会で確認したらマルッティの冒険者がLv.5になってた。

 4人パーティーで1階層の魔物倒して、Lv.2からLv.5になるわけないだろ。

 それも半日だぞ。ヒデキがスキル使ったんだろ。なにしやがった。

「えー!なんですかそれ。ボク聞いてないですよ師匠」


そりゃ当然だ、誰にも言ってないのだから。

それにステータス設定の獲得経験値UPが、

自分以外のパーティーメンバーにも適用されるなんて今知ったし。


「おい、どうなんだヒデキ!」


ローレンツがえらい剣幕でまくし立てる。


「あっ、はい。スキルを使いました。経験値を増加させることができます」

「おいおい、何でもありかお前。武器だけじゃなく経験値も変えられるのか」

「いやー自分でも驚いちゃいますよ。アハハハ」


ローレンツは頭を抱え、マルッティは驚いて口が開いたまま固まっている。

カーリナは自分に飛びついて来た。

頭を抱えたローレンツが言う。


「ヒデキ、お前ってやつは……ったくー。

 まず、マルッティ!このことは絶対誰にも言うなよ」

「はっはい、おじさん!誰にも言いません。

 言っても信じてもらえないだろうし」

「よし!それとカーリナ、ユーハンは近いうちにキュメンに来ることあるか」

「えーっと、今朝連絡がありまして、団長は6日後にキュメンに到着されます」

「ちょうどいい、俺からユーハンに話すことがあるから一席設けてくれ」

「わかりました準備します。団長は師匠に会うためにキュメンに来られますが、

 その席でもよろしいでしょうか」

「おうそうか、そっちの方が都合いいな。そうしてくれ」


団長が自分に会いにキュメンに来るのか。

そう言えば、初めて漁村で会った時にまた話しをしたいと言っていたが、

今度こそ騎士団に入れられるかもしれない。

断ってもいいか聞いてみたいが、今確認するのはまずいだろうな。

後でカーリナと二人になったら聞いてみよう。


「最後にヒデキ!」

「ひぃぃぃぃー。なんでしょうか」


ローレンツがこちらを睨んできた。

やはり折檻か、カーリナがいない所でお願いします。


「頼む、このまま俺のパーティーに入ってくれ。

 ずっとじゃねぇ、ユーハンが来るまででいい。頼む。

 マルッティを、こいつを強くしなきゃなんねぇんだ」

「ヒデキさん、よろしくおねがいします」


ローレンツとマルッティからのパーティーの勧誘だ。

先程までとは打って変わって、ローレンツは神妙な面持ちだ。

とりあえず話を聞いてみるか。


「理由を聞かせてもらってもいいですか」

「おう、そうだな。鍛冶師ギルドに今朝寄ったんだが、

 そこでギルマスのリカルドから依頼を受けてな、

 7日後にヴァルケアに戻ることになってよ」

「それにはマルッティ君も帯同させるのですか」

「おう、連れて行きたいんだが、マルッティの今の実力だとダメだ。

 向こうで欲しいのは即戦力だ。正直マルッティは足手まといにしかならねぇ。

 かと言って、鍛えてる途中のマルッティを放り出すわけにもいかねぇんだ。

 そこでだ、ヒデキのスキルを使わせてもらって、

 7日後の移動までに、マルッティが使いものになるくらい強くしたいんだ。

 そうすりゃーよー、向こうで実践交えながらまた鍛えられるからよ。

 頼むヒデキ!俺とマルッティに力を貸してくれ」


要するに、突貫でマルッティのLv.を上げたいということか。

未だ抱き付いているカーリナを離して、ローレンツに答える。


「私でよければ、これからもローレンツさんのパーティーに入れてください」

「おお、そうか助かる。礼と言っちゃなんだが、トークンは全部俺が出すからな」

「いいんですか」

「あぁ、俺はマルッティが強くなればそれでいい。

 あとアイテムもお前のもんにしてくれていい。

 マルッティ、お前も礼を言え」

「ヒデキさん、ありがとうございます」


迷宮に向かい4人で歩き出す。

マルッティがローレンツに感謝を述べている。


「おじさんもありがとう。僕、絶対に強くなります」

「あぁ、こっちからも礼を言う。これでエミーとの約束が果たせそうだ」

「叔母さんとの約束ですか、何を約束したんですか」

「それはまた今度な」


ローレンツがマルッティからの質問に答える前に迷宮入口に着いた。

近くに立っている男にトークンを渡し、認識票を見せて迷宮に入る。

昨日の無愛想な男ではなかった、カーリナ曰く、交代制らしい。


マルッティが冒険者Lv.5になったということは、移動スキルが使えるはずだ。

魔法陣の移動とはどんなものだろう、楽しみにして1階層の魔法陣中央に立つ。

そんな自分をローレンツは追い抜き、迷宮を進もうとしている。


「ちょっ、ローレンツさん!魔法陣をお忘れですか?

 マルッティ君はLv.5になったので移動スキルが使えますよ」

「いや、復習も兼ねて1階層からだ、あとマルッティにBランクを試させたい。

 ヒデキには悪いが付き合ってくれ」


魔法陣はお預けとなり、当のマルッティは心なしか悄気ているようだ。

そりゃ使ってみたいよなー移動スキル、

自分だって使えるものなら使って……そうだ自分も冒険者だった。

いや、ジョブをセットしていないから正確には準冒険者か。

危ないところだ、慌ててサブジョブに冒険者をセットする。


ヒデキ・トモナガ 15歳 戦士 Lv.9

HP回復速度  2倍  使用スキルポイント2

攻撃力    13倍 使用スキルポイント66

獲得経験値UP 5倍  使用スキルポイント17

二乗効果   25倍 使用スキルポイント17

 ┗対象:獲得経験値UP

魔玉成長率UP 3倍  使用スキルポイント7

サブジョブ数 2   使用スキルポイント7

 ┗村人 Lv.9 冒険者 Lv.1


「そうだマルッティ!リカルドから分捕ってきた槍を渡せ。

 カーリナ、約束の槍をギルドから貰ってきてやったぞ。どうだ鋼鉄製だぁ。

 銀製もあったんだがリカルドが渋ってよぉ、結局こっちになった。

 その代わりにヒデキ!お前にもあるぞ、鋼鉄の剣だ」


カーリナは槍を受け取ると目を輝かせている。

自分もローレンツにお礼を言って剣を受け取った、

銅製と比べると色の違いは分かるが……分かるのは色の違いだけだった。


ブルースライムに遭遇すると、早速貰った槍を使いたいカーリナが手を挙げた。

先制攻撃でスライムを叩きつけ、怯んだところに突きを繰り返す。

3回目の突きでスライムが煙に変わると、カーリナはクルッと体を返し、

興奮気味に喋り出した。


「師匠!師匠!師匠!みっ、見ましたか師匠!

 こんなにも早く倒せるなんて……槍が凄いです、この槍、ボクの槍です。

 師匠!ボク……こんなに……すんごいの……初めて……」


カーリナは驚きながらも喜んでいるようで何よりだ。

いやらしく聞こえてしまっているのはご愛嬌ということで。

カーリナが意識して言っているとは考え難い、

あの果実のせいで自分がどうかしているのだろう。


次のスライムはマルッティが相手取った。

気合いが入っているマルッティに、ローレンツの指導にも熱が入る。


「違う、違う、そうじゃ、そうじゃない」「昨日も言ったろ」

「そうだ、その調子」「ダメだ、さっきのだ」

「いいぞ、そこだ」「諦めるな」「横だ」「逆、上だ」

「よぉーっし、ヒデキとどめを刺せ」


マルッティとスライムの小一時間にも及ぶ格闘の末、

気を抜いてカーリナと雑談混じりで見ていた自分にいきなり白羽の矢が立った。

鞘から抜きもしていなかったので、慌てて剣を抜きスライムを一撃で葬った。


「鋼鉄なら一撃か、ヒデキお前どんだけ強いんだ?

 マルッティもまだまだだがよくやった。次はもっと上手くやれ。

 銅の剣だと絶対に倒せないが、戦術の訓練だと思って気合い入れろ」

「えっ!ローレンツさん、マルッティ君だとスライムを倒せないのですか」

「おぅ、今の実力で銅の剣使ってる限り、ダメージすら与えられねぇな」


いくら訓練だとは言え、倒すことができない相手に挑み、

最後を他人に持っていかれるのはマルッティにとって屈辱だろうに。


「なら、この鋼鉄の剣ならどうですかローレンツさん。

 ただ訓練の為に剣を振るよりも、倒せた方がやり甲斐があると思うんですよ」

「おぅ、鋼鉄の剣ならダメージは入るだろうな。

 その剣はヒデキのもんだ、お前が貸してくれるってなら俺は構わんぞ」


マルッティに鋼鉄の剣を渡し、代わりに銅の剣を受け取った。

迷宮を進みながら次の魔物を探す。

次の魔物……次の……魔物……いない。

マーフィーの法則ではないが、魔物に遭いたい時に遇えないものだ。


諦めて中間の部屋に進もうとした時、ブルースライムを通路奥に見つけた。

マルッティが鋼鉄の剣を構えスライムを襲撃する。


突然振られても対応できるようにマルッティの戦いに注視する。

そんな自分とは対照的にカーリナは貰った槍に浮かれている、呑気なもんだ。

梃子摺りながらもマルッティは攻撃15回でスライムを煙に変えた。


「おっ、おじさん!やりました。初めてスライムを一人で倒しました。」

「おぅ、よくやったマルッティ」

「マルッティ君、おめでとう」

「師匠!師匠!ボクもやりましたよ」


初の魔物討伐に興奮しているマルッティにローレンツと共に賛辞を呈したが、

カーリナだけが我関せず一人騒いでいる。


マルッティがスライム1匹に悪戦苦闘している間に、

カーリナが単独でスライム2匹を倒していたようだ。

マルッティは気にしていないようだが、カーリナには自重してもらいたいものだ。


中間の部屋で小休止中に二の鐘を聞き(自分は聞こえていないが)、

1階層奥のパープルスライムを倒しながら、ようやっと2階層に着いた。

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