表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/33

富山マルシェ

 岩瀬浜駅に着いた。予定より1時間早いが、もう富山駅へ戻ろうと思う。時刻は午後3時過ぎ。それからライトレールに乗って、3時半過ぎに富山駅へ戻ってきた。これは上り電車のようで、けっこう電車内は混み合っていた。富山駅に到着する頃には、かなりぎゅうぎゅうだった。私は始発から乗ったので、座席に座っていたけれど。

 富山駅でライトレールを降りた。私にはまだ一つ、買わなければならないお土産が残っていた。それは、義母に頼まれた「とろろ昆布」である。

 頼まれたのとは、ちょっと違う。近くに住む義母は、私が一人旅に出ると知って、お餞別をくれた。そのお金を渡される時に、

「とろろ昆布でも買ってきて。」

と言われたのだ。

「とろろ昆布を買ってきて」ではなく「とろろ昆布でも」と「でも」が付いていた。日本語の難しい所。子供には分からない機微。この「でも」は何ですか?はい、私には分かります。「とろろ昆布でもいいし、無ければ他のものでもいい」という「でも」であり、高価な物ではなく、その程度の物でいい、というニュアンスも含むもの。はあ、難しい。

 それでも、やっぱり「とろろ昆布」がいいと大方思っている事は確かである。お菓子や、使わないような物(置物とかアクセサリーとか)ではなく、普段使いできる物で、重くも高くもない物。そういう物が他にあればいいが、よく分からない。だから「とろろ昆布でも買ってきて」と言われた私は、愚直にとろろ昆布購入を必須事項として認識しているのである。

 金沢では見かけなかったので、富山まで来てしまってもまだ買っていなかった。富山湾の方が、何となくそういう海産物がありそうだが、ガイドブックでも見かけなかったし、本当に富山がとろろ昆布の産地なのかどうか、分からない。とにかく、探してもなかったら仕方ないとしても、一応探さなければならない。嫁の勤めとして。いや、お餞別をもらった義理として。

 富山駅には「きときと市場とやマルシェ」という、お土産がたくさん売っている場所がある。金沢の「百番街あんと」のような所だ。3年前、乗り換えに富山駅を使った時にも寄って、お昼を買ったからよく知っていた。そこへ、とろろ昆布を探しに行った。

 前に来た時には、かまぼこやます寿司を買った。だから、今回それらは買わない事にした。海産物がたくさん売っている場所を見ていたら、とろろ昆布があった。良かった。これでミッションクリアーだ。

 お店の人に、

「これをください。」

と、とろろ昆布を一袋手に取って渡そうとしたら、

「白いのもありますよ。」

と言われた。確かに「ととろ昆布・白とろろ昆布」と書いてある。だが、一種類しかなさそうだ。そうしたらお店の人が、

「日に当たると変色しちゃうから、後ろに置いてあるんですよ。」

と言って、一番後ろの方から一袋取り出して見せてくれた。せっかくなので、白い方のとろろ昆布を買ってみた。

 それから、「ホタルイカの沖漬け干し」もついでに買った。何となく、日本酒のおつまみに良さそうだから。これは、後で食べたらすごく美味しかったのだ。噛み切りやすいし。もっとたくさん買えば良かったと、後で後悔するのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ