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二日目朝の会議2

「オレはグレーの中では昨日の議論も考えて、少ないラインができてる数人を怪しんでるよ。」政由は、言った。「つまり、ほとんどが貞吉が真っぽいと言ってるのに、美智子さんを真っぽいと言った数人のことだ。オレの記憶じゃ、白先の明子さん、同意した源太、それに昌雄だったと思うんだけど、どうだ?」

隣りの18の浩二が言った。

「それはオレも同意だな。全部が人外とは思ってないけど、確かにそこのラインが昨日見えたもんな。ただ、美智子さんが真だったとしたら、狼が上手く村の意見に合わせて来てるとも考えられるけど。」

恵子が言った。

「難しいわよね。初日の発言の印象だけでみんな意見を出してたし、もし美智子さんが真なんだったら上手く流れに乗せて陥れようとしてるとも考えられるし。」

16は敏男なので、15の昌雄が言った。

「オレの番だから話すけど、初日は誰も真占い師が誰かなんて分かってないんだよ。それこそ狼でさえ、どっちが狐で真占い師なのか分かってなかったはずだ。そんな状態で一度発言をきいただけで、こうだと言える方がおかしいとオレは思ってる。だから、一番最初に発言して村を誘導できた俊三が怪しく見えて、俊三は敏男と貞吉の白だから必然的に美智子さんが真なんじゃないかって考えたんだ。そもそもみんながみんな貞吉真だと言うのがおかしくないか?人外も居るんだぞ。それにグレーに狼が居るなら、絶対一人は別の意見を出して生き残りを模索するはずだ。今でもオレにはわからない。何しろ呪殺が出なかったからな。」

俊三は、言った。

「別にオレは誘導しようと思ったわけじゃなくて、自分の意見を言っただけだ。そんなに長く発言してないし、オレの後の人がどう発言するかはその人達の勝手じゃないか。流れを変えようとした昌雄の方が怪しいんじゃないのか。」

昌雄は、反論した。

「オレはオレの意見を言っただけだ。お前も言うように、どう感じて発言するかはオレの勝手だろう。」

険悪なムードになった中、恵子が黙って困った顔をしていたので、14の武が口を開いた。

「じゃあオレの番だから話すよ。」と、皆の視線が自分に向かうのを見て、ため息をついた。「正直わからない。今日呪殺が出てくれていたら分かりやすかったのに、出たのは全員黒結果だった。まあ、狼は自分の首を絞めたんだと思うことにしてるけど、占い師の精査がつかないよ。ただ、昌雄が言うように美智子さんが最初から一度発言しただけで疑われ過ぎてるし、貞吉が白いと言われ過ぎててそれは不自然だなとは思う。となると俊三が黒だったから、初日から内訳が透けてたのかとも考えられるよね。でも、それなら昨日真占い師を噛めたのにそうしなかったわけだから、やっぱり昨日の時点では狼には色が見えてなかったのかとも思う。だから俊三はやっぱり白いかな。仮に美智子さんが真だとしても、俊三は発言からも白いと思ってるけどね。」

13の、富恵が言った。

「そうね。俊三さんは初日から、白結果がなくても白く見えてるわ。だから昌雄さんと意見はちょっと違うかな。でも、だからって美智子さんが黒だとは思ってない。まだ美智子さんは俊三さんを占っていないし、確かにみんなから疑われ過ぎてて不自然なのは確か。これといった理由もないしね。」

一瞬シンとなったが、ハッとしたような顔で隣りの源太が言った。

「あ、オレか!12だもんな。」と、妻の明子をチラチラ見ながら言った。「オレは…明子は白だと思ってるから、初日から美智子さんは間違った意見は言ってないから真じゃないかって。ただ、もちろん適当に白を打った狼ってこともあり得るとは思うよ。ラインとかオレにはよくわからないが、ただ印象がいいのは確かなんだ。」

俊三は、どうやら源太は明子にベタぼれで、盲目的に信じているようだと思った。

もし明子が黒で真占い師が黒結果を出したら、理由もなく偽物だと言い出しそうだなと源太のことを警戒した。

明子が、苦笑した。

「だからちゃんと考えないと。」他ならぬ明子が、源太を窘めた。「そんなんじゃ村の人達は納得しないわよ。そうね…私は初日から変わらないわ。ラインだと言われても、美智子さんが私に白を出してくれているし、それが間違っていないから真だと思いたいって思ってるだけ。ただ、それだけじゃないわ。前の人達が言うように、村の意見が偏っているなって思うの。初日なんて結果だけで誰も何もわからないじゃない?自信を持っていろいろ言える人の方が怪しいとは思うわよ。少なからず色が見えてるのは、狼だけだもんね。そう考えると、意見が強い忠司さんなんか、誘導してるって言われたらそうだと思うわ。もっともらしい事を言うからみんな流されてるんじゃない?」

9の、憲子が言った。

「流されてるって言ったらそうなのかもしれないけど…」と、8の忠司をチラチラと見た。「でも、忠司さんの意見には意味があるのよ。何て言うか、印象とかではなくてしっかりしてるっていうのかな。ただこう思う、じゃなくて、こうこうだからこう思う、って理由がきちんとあるの。みんなの意見って、なんだかふわふわしてるのよね。美智子さんが真だと思うなら、それらしい理由が欲しいかな。みんなが怪しむから、とか、真占い師なら怪しまれないようにするのが当然なんじゃないの?怪しいから怪しいと感じてしまうわけでしょ?私も偉そうには言えないけど…理由がハッキリしないから、今はこうとは言えない。私のこの気持ちにハッキリ答えをくれる意見が白いと感じるし、それを待ってる感じ。」

憲子の意見は、分かりやすかった。

俊三も、まさにそうだったからだ。

そして、その答えをくれるのが忠司なので、つい忠司の意見を飲んでしまう。

ただ、忠司が狼だったらかなりまずかった。

忠司が、そんな俊三の気持ちを知ってか知らずか、言った。

「ここまで意見を聞いて来て、まずオレもグレーだ。」みんながじっと忠司の顔を見つめている。忠司は続けた。「盲信しないようにとだけは言っておく。その上で言うが、まず昌雄や他の人達の意見に答えを出すと、美智子さんが皆から切られている事実は真証明にはならない。なぜなら、今日のこの状況だ。」

俊三は、顔をしかめた。

「今日の?」

忠司は頷いて、同じように分かっていない皆の顔を見回して、辛抱強く言った。

「黒結果を出している事実だよ。オレは、昨日からいろいろな状況に合わせて道筋を考えていたが、これは予想外だった。なぜなら占い師の中に絶対に狼が居るのに、全員が黒結果を出して来たからだ。さっき話したように、こうなると占い師の中の狼は生き残れない。なぜなら、真占い師が必ず呪殺を出し、そしてその真占い師を噛むしかない状況では、遅かれ早かれ必ず破綻するからだ。占い師の中の狼は、生き残りたければ白結果を出さねばならなかった。なので、オレは今日の結果で白が出たらそこを疑ってみるつもりだった。だが、黒結果…つまり、狼陣営は占い師に出ている狼を、切ることにしたのだと思った。分かるか?狼は占い師に出ている狼を切っている。だから、村の流れがどうの、今は関係ないと思っている。今朝の狼の戦略は、恐らく狼もろとも占い師を消し、グレーに結果を落とさせないということだろう。だから、オレはグレー吊りグレー占いを推した。どうせ占い師はこれからの噛みや占い結果でボロが出る。とにかく一つでもグレーに色をつけてもらい、グレーを狭めることに尽力するべきだ。そして村の方針がこうなった後での意見だが、敢えて言うが、方針が変わったことで、狼には占い師の狼を温存したまま次へ向かえると欲が出ているのではと考える。つまり、これからの事を考えて、占い師の中の狼が真であると思わせようと模索している者の中に狼が居るのではと思っている。つまり、オレは政由の意見の通り、初日のラインも合わせて明子さん、源太、昌雄の中に少なくとも一人は狼が居ると考えている。それ以外は意見が薄くてとても色が見えているようには思えない。但し、全員が同じ方針を取っているとも考えられないので、分からないふりをしている狼も一人は居るのではないかとは思っている。ということでグレーに2狼が居ると思うので、昭三は偽であっても狂人だと思う。以上がオレの今の意見だ。」

めちゃくちゃ分かりやすい。

俊三は、唸った。

忠司が狼だったらこの上なくまずいのだが、とにかく説得力がある。

他と比べて考えている事が多くてハッキリしていて、憲子が言うように納得してしまって信じるよりない状況なのだ。

怪しいと言われた明子や昌雄ですら、口を開く事ができずにむっつりと黙ってしまっていた。

そんな中、源太が言った。

「オレは白だ!」皆が、呆然としていたのだが、ハッと源太を見た。「他を黒塗りするってことは、忠司が黒なのか?明子が言ってたけど、確かに怪しい!もっともらしい事を言って、村を誘導しようとしてるだろ!だいたい、狼が占い師に出ている狼を切るつもりなら、ラインとか無いはずだろ?!むしろラインがあるとか勝手に言ってる、オレ達が白くなるはずじゃないか!」

忠司は、冷静に言った。

「だから敢えて言うと言ったじゃないか。狼だって占い師の狼を、最初から切ろうとは考えていなかったはずだ。初日の時点ではまだ、真だと思わせたかっただろうと考える。相互占いになった時点で、狼からは先が見えたはずなんだ。仮に美智子さんが狼だったとしたら、村の印象が悪かった時点で方針を変えることを余儀なくされたはずだ。それが今朝の黒結果だと思っている。貞吉や敏男の場合はわからない。考えはあるが、まだ形にするほどではないし、無駄に時間を食うので今は開示しない。村がグレーを詰めると言ったので、狼たちもまだどう動くべきか議論を見ながら考えているのではないかな。」

源太は、ぐ、と黙った。

理屈となると、源太はとても忠司には勝てない気がした。

恵子は、大きなため息をついて、言った。

「じゃあ…次、役職ばっかだから…飛ばして4の正成さん。」

重苦しくなった中で、正成が口を開いた。

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