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No.2 覚醒(?)

二話目をすぐに投稿しようとしたんですが、いろいろと細かく修正してたら時間がかかってしまいました。なかなか難しいものですね。

 いきなり灯りがついた。とは言え、シーリングライトが点灯したという訳ではなく、自分の周囲だけ、そう、これはスポットライトだ。もしかして、誰かが・・・父ぐらいしかいないだろうが・・・扉の中に入ってきてわたしに向けて光をあてたのかもと思ったが、光の射す範囲内に他の人の気配はない。


 わたしは、天井を見上げたが、わたしの身長のおよそ2倍、3メートルほどの高さにある天井には灯りらしきものはなく、その少し下、わたしでは背伸びをして手を伸ばしても届かないところから、わたしの方を照らす光が発生していた。どう見ても機械的なものではない。


 「これって、もしかして魔法?」


 ここ何年か、家から一歩も出ないわたしがしていたことと言えば、スマホで漫画やラノベを読むくらいだったので、異世界に行って魔法を使うなんてことに憧れたこともある。これが光魔法だと思った瞬間、自分がどうしてここにいるのか、ということなど、もうどうでも良くなった。・・・ちなみに、人見知りが酷いので、SNSですら敬遠していた為、オンラインゲームなんかもやりたいとも思わなかった。


 「魔法はイメージが大事だって、何かに書いてあったよね?」


 そう、「なんでこんなに暗いのよ」とつぶやいた時、わたしはなぜか舞台の上でスポットライトを浴びている自分をイメージしていた。


 「もっと明るくな~れ!」


 スポットライトではなく、もっと大きな光・・・そう、夜間工事なんかで使われる、あの大きな投光機をイメージしたら、それまでわたしだけを照らしていた光が大きくなり、通路の全体が見えるようになった。


 黒い。床も壁も天井も。足の裏や左手の感触通り、なめらかな金属みたいなものだ。もしかしたら、こういう素材は珍しいものではないのかもしれないが、わたしにはこれがなんなのかはわからない。また、足の裏や左手が汚れているわけではなく、意外と清潔な感じがする。


 ふと気になって、来た道を戻ってみた。分かれ道があったらどうしようかと思っていたが、入り口まで戻って来ると、やはりそれはなく一本道だった。やっぱりダンジョンではなく、ただの通路だったということか。


 歩き出した時に聞こえていた、男達の声や扉を叩く音は聞こえてはこない。扉の外側で見張っている可能性はあるが、わたしは扉を開けようとした。


 「今なら魔法が使えるし」


 しかし、扉は開かなかった。まあ、後から考えれば、それでよかったかもしれない。だって扉の外は父の部屋であり、隣はわたしの部屋だ。そんなところでヘタに魔法を使ったら、家がタダでは済まなかっただろうから。


 「待ってるしかないのかなぁ・・・?」


 明るくなったことで安心できたのか、急にお腹が空いてきた。通路の中は暑くはなかったが、今は初夏だ。水分補給もしたい。


 「光が出せたのなら、水ぐらい出せるよね?」


 そう思った次の瞬間・・・


 「きゃあっ!!」


 いきなり頭から水を浴びせられた。水そのものをイメージしてしまったことで、こうなった?


 「ジャージでよかったかもだけど・・・ どうするのよ、これ?」


 この際どうでもよいことだが、数年前から家を出なかったわたしは、ジャージを普段着にしていた。女の子としてそれはどうなの、と母が見かねて服を買ってくれたりはしたが、母がいない時に自分から着ることはなかった。


 とりあえず、もう一度、今度は右手に水の入ったコップをイメージしたら、イメージした通りに水の入ったコップが現れた。びしょぬれのままコップの水を飲み干したわたしは、服を乾かそうと考えた。


 「乾かすとなれば・・・ドライヤー?」


 次の瞬間、上から熱風がわたしに向けて吹いてきた。


 「あっ、あつっ、あつい、あついよ~!!」


 あわててその場を離れるが、熱風はわたしを追いかけてくる。そりゃそうか、乾かそうとしてるのがわたし自身なんだから。


 「イ、イメージ、み、水っ!」


 やってしまった・・・ あまりに熱かったから、水をかけて冷やすイメージ・・・ わたしはまたしても水びたしになってしまった。


 水を出したことで熱風はおさまったが、さっきよりも濡れ方が酷くなった。そのまま乾かすことをあきらめ、わたしは濡れた服を脱ぎ、タオルをイメージして出現させ体を拭くことにした。。


 「誰もいなくて助かった」


 タオルで身体を拭いた後、今度はわたしのジャージ以外の服一式をイメージして出現させた。これらは母に買ってもらったものだが、母のいない時に着るのは初めてだ。まあ、こんな状況だし、仕方がない。


 「胸がきつい・・・」


 それでも着られないことはない。なんとか着替えたわたしは、この一連のドタバタがひとまず片づいたことで、やっと落ち着きを取り戻した。


 冷静になって、あらためて通路の中を見てみる。水やら熱風やらが出てきたにもかかわらず、光はそのままだった。これでまた暗くなっていたら、パニックで着替えどころではなかっただろう。


 「あれ? もう乾いてる?」


 あれだけ水をかぶったのに、路面がまったく濡れていない。着替えてる間に乾いたにしては早すぎないか?


 「それに、脱いだ服はどこ行ったのよ?」


 タオルは身体を一通り拭いた後、わたしの長い髪をくるんで頭の上に乗せてあるが、濡れた服は脱いだまま放置していた。すぐそこにあったはずなのだが・・・?

 そう言えば、さっき水を飲んだコップもなくなっていた。


 「まさか・・・」


 わたしは、タオルを頭から外し、下に放りだした。そのまましばらく放置していたら、だんだんと霞んでいって、最後には消えてなくなった。


 なるほど、中に入った人が直接身に着けているか、持っているものなら問題ないが、そうでないものはすべてゴミとみなされ、自動的に廃棄される仕組みなのか。通路内が清潔なのは、そういった自浄作用があるからなのだろう。それはそれで便利なのだが、ジャージはともかく、下着を勝手に捨てられてしまうのは、なんか嫌だ。しかも捨てられた後、どこに行くのか? 誰かが見ても私のものだとは思いもしないのかもしれないが、女の下着ばかり集めているような変態さんの手に渡るのは勘弁してほしい。


 「イメージ・・・ わたしの脱いだ服!」


 すると、さっきまで来ていた服が手元に戻ってきた。しっかり濡れているので、複製品ではなさそうだ。わたしは、自分の部屋にあったリュックと何枚かのビニール袋をイメージして出現させ、濡れた服をビニール袋に入れてリュックにしまい、そのまま背中に担いだ。


 「おなか空いた・・・」


 そう言えば、水を飲んだだけだった。何か食べたいと思った次の瞬間・・・またやってしまった。いや、ラーメンとかうどんとかをどんぶりなしでイメージするようなヘマはしなかったよ。いやどんぶりがあっても手の中に出現させたら、やけどまでしなくても、熱くて手を放してしまう可能性があったから、そういうものは考えないようにしたんだけど、ふと考えてしまったのは、昨夜見た漫画に出てきた「カレーライスのカレー抜き」・・・

 現れたのは、福神漬けが申し訳程度にのせてあるだけの、ただの白米・・・


 「カレーはどうなったのよっ!」


 次の瞬間、頭の上にカレーのルーが・・・! 


 懲りないわたしをお許しください・・・

はっきりとは表現していませんが、マユはいわゆる「ロリ巨乳」です。これが原因で不登校になってしまったのですが、そのあたりは機会があればいずれ・・・

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