9話: メイク・フレンド 〜友達って?〜
友達というのは何なのだろうか。
僕は小、中共に友達らしい友達を作る事が出来なかったからわからない。
「いい?照くんは白銀さんとの接点は皆無。残念だけどそれだと彼女と付き合うのはほぼ無理ね。」昨日の琴葉の言葉を思い出す。
「だから、友達を作るの。白銀さんと接点を持った、出来るなら同じクラスの子が理想ね。」
友達を作れ。確かに僕と白銀さんには接点がない。
とは言ったものの....
「どうやって作るんだろう、友達。」琴葉からの情報だと白銀さんはサッカー部のマネージャーをしている。という事はうちのクラスで、尚且つサッカー部の人を探せばいい。
うちのクラスだとサッカー部は1人しかいない、田中だ。
クラスの中心人物という訳ではないが、明るい奴。
僕とは真逆の人物だ、本当に田中と友達になんてなれるのだろうか。
「よお田中!友達になろう!」なんてのは流石に無理だろう。何かいい手は無いのか、チャンスがあればいいんだけど。
「何かあったかなぁ〜」僕は田中と関われるチャンスを探した。そして、見つけた。
三週間後に控えた学年旅行、自分には関係無いと思って忘れていた。
これで田中と一緒の班になれば流れで友達とやらになれるのでは無いだろうか。
確か班決めは明後日、そこで僕は彼と一緒に班になる。
勝負は明後日だ、頑張れ僕!!
「それで、急に私を呼び出してどうしたの?」僕は琴葉を呼び出した。田中と一緒の班になると決めたはいいものの、どのように誘えばいいのかわからないのだ。
「琴葉、友達の件なんだけどピッタリな奴が居た。それで、そいつと友達になるために今度の学年旅行で一緒の班になろうと思うんだ。」
「見つかったんだ、よかったじゃん。でも、それわざわざ私を呼び出してまで伝える事?」
「いやさ、どうやって誘えばいいのかなって....」僕がそう言うと、彼女の顔が変わった。
「はぁ。照くんさ、そんな事は自分で考えなよ。確かに私は照くんをイメチェンするとは言ったけど、なんで誘い方まで教えなきゃいけないのかな。」あれ、ちょっと怒ってる? ヤバイ、どうしよう。
、、でも本当にわからないんだよ。こんな幼馴染みでごめん。
「そこをなんとかお願いしますよ琴葉さん。僕、友達居たことないから!」
「なんでちょっと自慢げなの、、本当に情けないな照くんは。そんなんでどうすんのよ。」
「はい、僕は情けない陰キャです。本当にすいません。」
「まったく、仕方ないな。誘い方ね、簡単よ。その子が貴方と同じような感じの人なら仲間感を出して一緒の班になればいい。逆ならある程度組んでる人がいるだろうから恥を忍んで入れてもらいなさい。」
あぁ、ありがたい。
田中は後者だろうから、頑張って勇気出して入れてもらおう。
「ありがとう琴葉!」
「もうこんな事で呼び出さないでね。私、照くんと違って友達居るから。予定とかもあるの。」やっぱりちょっと怒っていたのか、言葉が胸に突き刺さる。
その日は、来た。学年旅行の班決め。
たかが班決めにここまで緊張しているのは学年中探しても僕位しか居ないだろう。
「田中、、居た。」やっぱりある程度前もって組んでいたのか。よし、腹をくくれ僕。これは友達作りをサボった罰だ。そして、僕は田中に声をかけた。
「あの、、田中くん。もし空いてたらでいいんだけど、班に入れて欲しいなって... 僕余っちゃったんだよね、ハハハ...」田中は他のメンバーに確認を取る。頼む田中、僕を班に入れてくれ...!!!’
「いいよ。石神くんだよね?一緒に計画立てようか。」 やった、僕を班に入れてくれた。
「ありがとう!よろしくね、田中くん。」
「うん、よろしく。あ、一応紹介しておくと右に居るのが佐々木で左が布村。仲良くしてね。」
「わかった、佐々木くんも布村くんもよろしくね。」
僕は軽く挨拶をして、早速どこを回るか。昼ご飯はどうするかなどの計画をみんなと立て始めた。
因みに、僕たちが行くのは静岡。茶と富士山のイメージしかない。なんだってそんな所に行かなければならないのだろうか。
しかし、これは学校行事。文句を言ったところでどうにもならない。
「静岡と言えば茶だろ。茶飲もうぜ、茶。」佐々木が言う。それに布村が同調する。
「確かに、俺も茶のイメージだ。あいつらお茶っ葉食うんだろ?お茶にするだけじゃ物足りないのさ。」
おい、静岡をディスるのはやめろ。流石にお茶っ葉は食べないと思う。
「布村くん、流石にお茶っ葉は食べないよ...」僕は突っ込んだ。
「石神の言う通りだよ布村。そんな事言った暁には布村、山に埋められちゃうよ?生きて帰れると思わない方がいいね。」そう田中が言う。
「にしても、何も思い付かないな。富士山に登る訳には行かないし.... 今のプランだと茶のんで俺らの旅行は終わりだ。」確かに、何にも情報が無いとこうなっちゃうよな。
よし、こうしてみよう。
「ねぇ、みんな。今のままだと情報が少なすぎるよね。だから、今日僕がネットとかで色々調べてみるよ。コピーとってくるから明日決めない?」
どうだろうか、彼らと友達になるんだからある程度役に立つような事はしないと。情報も集められて一石二鳥だ。
「なるほどな、わかった。石神に任せるよ。」
「いい情報引っ張ってきてくれよ!頼んだ!」佐々木と布村が僕の肩を叩く。それを見て田中は無言で頷く
「うん、任せて。」
みんないい人でよかった、話も振ってくれたし。僕抜きで話が進んで、自分は蚊帳の外みたいな状態にならなかったのは本当に助かった。
よし、とりあえず第一関門は突破したな。
ふぅ、今日はネットに張り付くことになりそうだ。
静岡県民の方々。申し訳ございません、静岡は大変素晴らしい県です。
さて、田中と石神が接触。少しずつですが繋がっていきますよ。
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