6話: 育成・向き合うというコト。
俺、中野俊雄は今悩んでいる。 明日、どういう風にみんなに伝えればよりよいチームが作れるのか、そして後輩達といい関係が築けるのか。
「みんな悪かった!反省します!」じゃ流石に駄目だろう。
いや、言葉なんかより態度で示すべきかもしれない。
ミスをしたら怒鳴るんじゃなくて、「ここはこうするといいな。」みたいな感じ、常に優しさをわすれない。うん、これで行こう
「なんだ中野、一番乗りか。早いなー、もうユニフォームも着ちゃって。」チームメイトだ。
「おう、昨日遅刻しちゃったからな。これで昨日のはチャラな。」そう言って俺は練習を始めた。その後もぞろぞろとチームメイトがやってきて、本格的に練習が始まった。
うーん、やっぱり一年か、特に田中がひどい。
ーよし、早速実践といこうか。
「田中、足の爪先じゃなくて側面を使え。ちょっと見て欲しい、爪先で蹴ると、、」俺は爪先でボールをゴールに向かって蹴った。
「これトーキックって言うんだ。球速は速いんだけど正確性がない。でも、側面で蹴るとどうだろう、仮にゴールの左側を狙うとする。」次は足の側面でボールを蹴った。
「クリーンヒット。どうだ?試合で使うなら断然こっち。ボールをゴール前に運んでも、決めなきゃ意味が無いからな。」
「なるほど、ありがとうこざいます。練習してみますね先輩。」
「田中はポジショニングが上手いからそれにシュート力が備わったら光るな。FW狙えるぞ。」
あぁ、人から感謝されるってこんなに気持ちの良い事なんだな。最初っからこうしておけば、俺はよかったのかな。
「あの、先輩。僕も教えて欲しい事があって....」
後輩が質問に来た。さっきの田中とのやり取りを見ていて質問に来たのだろうか。
「どうした?何を教えて欲しいんだ。」
「攻撃の時にいつもパスをカットされちゃうんです。それでボール運びがなかなか上手くいかなくて。」
「なるほどな。パスをするときに周りを見てみろ、見るといっても見るのは主に相手がどこにいるのかだ。そして、どこに空きがあるのか、誰がフリーか、それを判断してパスを出すといいぞ。」
「はい!それを意識してやってみます。ありがとうございました!」うんうん、いいぞ俺。
その後も、俺は後輩達のプレーを見て、色んな事を教えた。
「中野、今日はいい先輩やってるじゃないか。」竹中だ。
「あぁ、一人一人に向き合う事にしたよ。チームの穴とか弱みも見えてきた。」
「本当か?じゃあ次のミーティングの時に色々挙げてくれ、頼んだぞ。」
「りょーかい。」
その日の練習はとても楽しかった。そして、今までの自分を振り返って反省した。
下手くそと吐き捨てるのでは無く、ちゃんと向き合って強みを伸ばし、弱みを無くしていく。大切な事に気づけたんだ、チームメイトには感謝だな。
「中野先輩!」ありゃ、田中だ。どうしたのだろうか
「どうした田中?何かあったのか。」
「今日はありがとうございました。なのでそのお返しじゃないですけど、協力させてください!」協力、なんの協力だろうか。さっぱりわからない
「えっと、なんの協力なのかな。さっぱり話が見えないんだけど」
「先輩、白銀さん好きでしょ。白銀さんと話す時だけ態度がまるっきり違うって、話題になってますよ。」
なんだって、俺が白銀の事好きなの、もしかしてみんなにバレてる?
「いやいや、全然そんな事無いって。だから協力も必要ないよ。」
「先輩嘘ついてるのバレバレです、顔に出てますって。」
マジ?俺結構顔に出やすいのか.....
「一人だけでは色々心ぼそいでしょう。なので!僕が先輩に協力します。白銀さん、GETしましょうよー」
「うるさい、余計なお世話だ。」俺は田中にチョップをした。
「いてて。僕は本気ですよ!協力するっていうの、前向きに検討してくださいね〜。」はぁ、、ったく。
「もういいや、どうしてもって言うなら協力させてやるよ。」
「本当ですか?いい働きをしますよ、期待していて下さい。」そう言って田中は帰って行った。
協力か、面倒だなと思ったが逆にありがたいかもしれない。俺は1年以上白銀に片思いをしているのに、何もアプローチらしい事をしていない。
.....新しい風が必要なのかもな。そう思った。
それにしても、田中。ちょっとシュート教えただけなのになんだって俺の恋に協力するなんて言い出したのだろうか。
まぁ、今はどうでもいいか。後々聞けばいい事だ。
「よし、帰るか。」
中野くんは書くの難しくて大変です