4話: 結託・我らSZO同盟!!
音楽室で出会った少女が頭から離れない。
心地よいピアノの音、さらさらとした白髪。
ー結婚したいー
「黒岩、どうした? お前今日一日中変だったぞ。何を言っても上の空っていうか、ニヤニヤしてて正直気持ち悪い。悩みでもあるのか。」七原だ
「なぁ、七原。」
「おう、なんだ?」
「俺、恋しちゃったわ。」恋しちゃった。自分で言うのはアレだが、柄でも無い事を言ってるなと思った。七原が今までに見たことのないような表情をしている。そりゃそうだ、昨日まで色恋沙汰に興味も示さなかった男が突然「恋をした」なんて言い出すんだ。当然の反応だ。
「鏡聞いたか、今日は槍が降るぞ。」
「あぁ、聞いたよ。今日で地球は終わりだ」
バカにしてるのかこいつら。
「いいだろ別に、俺はとにかく白銀と結婚したいんだ!!鏡が特攻しに行ったのが今ではよくわかる。」
あれ、もしかして今の俺、気持ち悪い....? 結婚ってなんだ、俺高校生だぞ!
....いやいや、アレを見たら誰だってこうなってしまうだろう。白銀さんが綺麗なのが悪い、俺は正常だ。
「なるほどねぇ... でもさ、それだと鏡って恋敵になるよな。大丈夫か?ドロドロに巻き込まれるのは御免だぜ。」 確かに。よくよく考えればそうだ。鏡は一度振られたとはいえ、白銀さんに対して好意を抱いた。
「あー、そこは心配すんな。」鏡が頭をぽりぽり掻きながら言う。
「俺はもう諦めた、あれは高嶺の花よ。黒岩が白金と付き合いたいと本気で思ってるなら応援してやりたいかな。」鏡... なんかごめん。内心ホッとしたのと同時に罪悪感も込み上げてきた。
「黒岩、変な罪悪感覚えるんじゃねーぞ。そんな事でお前の邪魔したくないからな。」鏡が俺の背中を叩く。俺はいい友人に恵まれたな。
「よし」七原が手を叩く。
「そうと決まれば作戦会議だ。そして、俺たちは今日からSZO同盟の一員だ。」えすぜっとおー同盟...?なんだそれ。
「おい、そのSZOってなんだ。さっぱりわからないぞ」
「よくぞ聞いてくれた。このSZOは、、、
Sー白銀さん Zー絶対 Oー落とすぞ の略だ。」
「なるほど!なんかよくわからないけどカッコいいな!SZO同盟!」うん、いつも通りだな鏡。
「相手は学園一の美少女白銀結衣。それなりの作戦を立てなければ付き合うなんてのは無理だ。そして、俺達SZO同盟のミッションはただ一つ。白銀と黒岩が付き合う、だ。」
「ちょっと待て、さっきから当の本人そっちのけで話進んでるけどさ。七原、今日おかしくないか?」突然なんたら同盟だ!作戦だ!と言われて「わかった」なんて言える訳が無い。
「黒岩、俺と鏡は本気だ。」 圧が、圧が凄い。
結局、その圧に負けて俺はそSZO同盟の一員となった。
「さて、黒岩。お前白銀と接点あったりするか?今後会う機会があるとか、家が近いとか。」会う機会、、あるな。ピアノを聴かせてもらうって約束。
「一応あるよ。それで、どうしろっていうのさ」
「あるのか、なら話が早い。連絡先交換しろ。」連絡先、、PINE。俺って運いいのかな。
「実は白銀の連絡先持ってる。PINE....」
「やるな黒岩、俺も鼻が高いよ。」鏡がうんうんと頷いている。
「もう連絡先交換したのか、1日で。へぇ、相当運命的な出会いをしたと見るぞ俺は。それで好きになっちゃった訳ね。」七原に見透かされた気がして少し恥ずかしかったが割と条件揃ってるんじゃないか、俺。
「そしたらさ、メシだろメシ!!誘っちまえよ〜」
「いいなそれ!やったれ黒岩ぁ!!」
こいつら、ノリでなんとかしようとしてないか。本当に大丈夫かよSZO同盟。
「そう上手くいくかなぁ、、出会って間もない奴とメシなんて行きたがるか?普通行かなくね。」
「黒岩」七原が眼鏡を直して口を開く。
「女はな、押しに弱い。いくら白銀とはいえ人間、意外と上手くいくもんよ。」
「そうかなぁ....」
「よし、今日の作戦会議は終わり。黒岩、白銀に会う時は食事に誘え。俺達は応援してるぞ!」
そう言って鏡と七原は帰って行った。
「うーん」
この同盟には一つ問題がある。しかも、重大な。
そう、、、、
全員恋愛経験・知識がゼロに等しい事だ!!
大丈夫じゃなさそうだな、ヤバイかも。
「ピロン」PINEの通知音が鳴った。これはーー
「音楽室で待ってますよー」白銀さんからだ。
俺は音楽室の前に着いた。「緊張するなぁ、」
最初になんて言おう、こんにちは? いや、お待たせしてしまってすいませんかな。
そうこうしている内に音楽室のドアが空いた。
「何してるんですか?入っちゃって大丈夫ですよ。」
「あ、すいません。」そう言って俺は音楽室に入った。
「えっと、黒岩さんでいいですか?PINEの名前がそうだったから。」
「はい、黒岩です」胸のドキドキが止まらない。俺は爆発してしまいそいだ。
「それじゃあ、弾きますね... うーん、緊張するなぁ。一人の為にピアノを弾くなんて機会無いから。」
そう言って白銀さんはピアノを弾き始めた。一人の為、俺の為に彼女はピアノを弾いてくれる。
なんか嬉しいな。
「これなんて曲ですか?僕あんまり音楽詳しく無くて...」
「これはベートーベンの悲愴•第二楽章です。悲しい槍と書くのにどこか優しくて、素敵でしょう?」
ベートーベン、、ジャジャジャジャーンの人、位しかわからない。クラシック、勉強しよう。そう思った。
「なんか死ぬ時に頭の中に流れてそうですね。」
そう言うと、白銀さんは演奏を止めて笑い出した。
「あはは、死ぬ時に流れそうなんて言う人初めて見た。変なのー。」
そんなに面白いだろうか。でも白銀が笑ってくれてよかった。
「今日は楽しかったー、人に演奏してあげるのも案外面白いかもって思いました。またメッセージ送ります。それでは」何か忘れてる気がする、うーん、うーん?あ、ご飯。 マジ?本当に誘うの?白銀さんを食事に?
ーやるしかないー 勇気を出せ、俺!!!!!
「白銀さん!あの、今度の休みって空いてますか。」
言ってしまった、もう引き返せない。
「今度の休み?空いてますけど...」
「僕とご飯食べに行きませんか。ピアノ弾いてくれたお礼とかしたいし。」頼む、神様。
「うーん」悩んでいらっしゃる。さぁ、どう出る?
「ご飯とまではいきませんがお茶位なら、駅前の喫茶店でどうでしょう。詳しい時間なんかはメッセージで打ち合わせしましょう」
きた......
キタキタキタキタキタキタ!!!! ヤバイ。OK貰えた!
「はい!それじゃあまた今度!」
その日は走って帰った、明日あいつらに報告だな。
少しずつだが、俺の平凡でつまらない日常は変化している。
本編入りました。
初めて小説書くんですけど楽しいですね。
無理しない程度に更新していきます