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「「「俺の天使を奪うなよ!!!」」」ー変化を望む者達の恋愛争奪戦ー  作者: オヤサイユウイチ
1章: はじまりはじまり
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3話: 期待のエースは格が違う

俺は中野(なかの) 俊雄(としお)、高校三年生。

部活はサッカー。自慢じゃないけど大学から推薦が来る位上手い。監督からも期待のエースと呼ばれてここまでやってきたけど、ガキの頃から血の滲む練習をしてきたからそれが報われて正直嬉しい。

そんな俺だが、三年生という事もあって後輩を二学年分持っている。そんで、その面倒がまぁ大変。特に一年生なんかは酷い。下手くそは多いわ、敬語使わない奴はいるわで、お前らは中学校で何をしてきたんだって言いたいよ。

「おい中野。おい、聞いてるのか」

「あ、悪りぃ。なんの話だっけ?」

「はぁ、お前人が話してる時に何思いにふけってんだよ。頼むぜ」

「ごめんって、気をつけるから」

こいつは西森(にしもり) 明典(あきのり)、中学からの友達、結構理屈っぽい奴なんだけどズバッと物事に対して自分の意見を言う所は好きだ。聞いててなるほどなと思うことが結構ある。

「それで、何話してたんだっけ?」

「中野ぉ、お前が持ちかけてきた相談だろうが。ほら、後輩の事で悩んでるんだろ?」

そうだった、俺は後輩の指導で思い悩み、西森に相談をしたんだった。

「そうそう、その話。んで、西森はどう思うよ。お前の考えを聞かせてくれ」

「そうだな....」西森は少し考えてから口を開いた。

「俺なら環境を作るかな」

「環境?」

「そう。例えばみんなが勉強している図書館に居たとするだろ?そしたら自分も勉強しないと浮いてしまって嫌な気持ちになるから自分も勉強をしだす。これを使うんだ」なるほど。西森に相談して正解だったなと思った。

「じゃあ皆んなが先輩、後輩を意識したり、練習をしっかりとする環境を作ってやればいいのか」

「そうだな、だが気を付けろよ。ある程度弱みも見せなきゃ駄目だ。完璧超人に人は付いてこないものだ」

「ありがと西森。そんじゃ、俺部活行ってくるわ。さっさと行かないとチームメイトが怒る」


「遅いぞ中野」「ちゃっちゃと練習始めるぞ」

遅れた。まぁ仕方ない、ユニフォームに着替えて俺は練習を始めた......が、やっぱり一年が目に付く。あんなボールのトラップもできないのか、今年はハズレだなこりゃ。

「おい、そこは胸使ってトラップしろ、足じゃ無理だろ。脳みそを使え、バカかお前は」

「すいません!先輩。サッカー始めたばっかりで...」

「おい中野、今のはちょっと言葉きつくないか?」

「竹中、こういうのはガツンと言ってやらないと。」

竹中、チームメイトの一人。補欠なのによく意見してきて腹が立つ時がある。口の前に足を動かしてチームに貢献して欲しいものだ。

そんなこんなで部活も終わり、ゴールなんかを片付けている時、「三年全員集まれ!片付けは二年と一年やっとけ!!」監督にお呼ばれした。

「お前らは三年になった。後輩の面倒を一番に見てやらないといけない。そこで、どう後輩に接していくかを決めたい。意見挙げてけ」

色んな意見が出てきた。初心者も多いし基本から教えていくべきとか、まずは練習に来る事とか。勿論、俺の環境を作るという意見も出した。

「中野の意見いいな、俺はそれで行きたい」結果、俺の意見でまとまった。西森にはジュースを奢ろう。

ミーティングも終わったし帰ろうと支度をしている時、後輩達の声が聞こえた。

「中野先輩キツいよな〜。お前も気を落とすなって、俺も散々怒鳴られてるからさ」

「あいつ大学から推薦もらって調子乗ってるんだよ。ウザいよな。それに比べて竹中先輩よ」

「優しく教えてくれるよね」

おいおい、なんだよ。俺が何したって言うんだ。俺の努力も知らないでグチグチ言うな!俺は後輩達に怒鳴りたい気持ちを抑えて足早に帰ろうとした。

「あ、先輩。ちょっと待って。これ落とし物です」

「ん?あぁ、白銀か、ありがとう」

白銀結衣、サッカー部のマネージャー。正直言うと俺は白銀が好きだ。俺が二年の時に入ってきてそこからずっと片思いをしている。辛い練習を陰で支えてくれ、辛い時は応援をしてくれる、俺の天使のような存在。

「それじゃあ私は帰ります。練習頑張ってくださいね」白銀は自分の帰り支度を始めた。

「なぁ白銀、聞きたい事があるんだけど」

「はい、なんですか?」

「俺の後輩に対する態度とかさ、大丈夫かなって。正直に聞かせてよ」さっきの後輩の言葉が胸に刺さって抜けないのだろう。

「うーん、もうちょっと優しくしてあげて欲しいかなって。少し後輩さんが可哀想です....」お前もか白銀。正直とは言ったがまさかストレートが飛んでくるなんて....

「今の先輩はトゲトゲしててちょっと怖い。そんな感じです」胸にナイフを刺された様な気分だ。白銀にそんな風に思われてたのか、俺。


ー今のままじゃ駄目だー


「そうだな、だが気を付けろよ。ある程度弱みも見せなきゃ駄目だ。完璧超人に人は付いてこないものだ」

西森の言葉を思い出した。期待のエースと呼ばれ、変なプライドがあったのだろうか。それが人を惹きつけなくなってしまっていた。


ー変わりたい。いや、変わるんだー


決めた。俺はみんなのエースになる。チームメイトを引っ張っていく、上手い下手も関係ない。

「白銀! 俺、変わるよ。」そう言うと白銀は笑ってこう言った。

「これは期待のエースですね、先輩」

これは貶されてるのか、どっちだ。

まぁ、そんな事はいいか。



期待エース中野君!!

3人の導入が終わったのでやっと本編に移れます。

ふぅ

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