2話: 変 身 願 望
僕の名前は石神 照、高校一年生です!!
元気に自己紹介をしましたが僕は学校では友達がほぼ居ません。いつも教室の隅っこで本を読んでいる所謂「陰キャ」というやつです。背も小さいし、メガネだし.... 悲しくなるのでここらにしましょう。
「今日も一人でぼっち飯か...」昼休み。
僕はこの時間が一番退屈。話す人も居ないし、ご飯を食べ終えてする事といえば読書。高校生になれば友達の一人や二人出来ると思ってたけど、これが現実だよね。クラスのみんなは僕に興味を示さないし関わろうともしない。まぁいじめられるとかよりはよっぽどマシだけど。
「まーたアンタ一人なの?変わらないね〜」僕の背後で声がした。
「なんだよ琴葉か。クラスも違うのに。またちょっかいかけに来たのか」
このにやけ顔の女は黛 琴葉僕の幼馴染みで昔から僕をからかったり悪戯をしたりと、まぁ面倒な人だ。
「うん。照くんが一人で悲しくご飯を食べてると聞いて来ちゃった。にしても、せっかく高校生になったのに、友達の一人も作らないなんてもったいなーい」
「うるさいな、僕だって友達つくりたかったよ。でも出来なかったんだ、仕方ないだろ」
「照くん顔も悪くないし、なんでかなぁ」
「お世辞はやめてくれよ、あとその照くんっていうのやめて。恥ずかしい」
「えぇ〜、いいじゃん照くん。なんか可愛いし」
はぁ、この人と話すのはとても疲れる。そろそろ帰ってくれないかな。
「あ、そうだ」琴葉が何かを思い出したように手を叩く。嫌な予感がする。今日は何をされるのだろうか、いつもの悪戯か、それとも僕をからかおうとしている?
「照くん、今日はね。君に友達が出来るようにイメチェン計画を遂行しに来たんだ」
は? 何を言い出すんだこの女。イメチェンとか言ったか?
「余計なお世話だよ、第一何さイメチェンって」
「言葉の通りだよ。照くん素材は悪くないし、磨けば光るよ。もしかしたら、友達だけでなく綺麗な彼女さんもできるかも〜!!」
「帰れ」僕は彼女を教室から追い出した。
今日はいつにも増して最悪だ。僕がイメチェン?まさか、ありえない。する必要もないだろう。僕は一人でも大丈夫、もうとっくのとうに慣れた。
「ピロン」 あ、PINEの通知音..... 琴葉からだ
「イメチェンしたくなったら言ってね〜☆」その下にはウィンクをしたクマのスタンプが送られていた。
最悪だ.........
授業も終わり、放課後だ。
「今日も疲れた、帰ろ」そう呟き、トボトボ歩いていると前を歩いていた女性ににぶつかった。男なのに情けない、ヒョロガリな僕は倒れてしまった。
「大丈夫ですか」女性の声がする。すいませんと言い立ち上がろうとしたその時、僕は驚いた。
ー綺麗だー
その女性はあまりにも綺麗で例えるなら「天使」という言葉が似合うだろう。
「立てますか?ぶつかってしまってすいません」その女性は僕に向かって手を差し伸ばしてくれた。
「大丈夫です、一人で立てます。ちょっと驚いちゃって....」そう聞くとその女性は微笑んでその場を立ち去ろうとした。
「待って」声が出た。なぜだろう、自分でもわからない。彼女はこちらを振り返ってこちらを見た。
「名前を教えてもらってもいいですか」おかしいと思われただろうか、それでもいい。僕はとにかく彼女の名前が知りたいのだ。
「白銀結衣、二年生です」そう言い、彼女は立ち去った。白銀結衣... 素敵な名前だ。男とはバカな生き物でひょんな事から女性を好きになる。例えば向こうにその気が無くてももしかしたら自分に気があるのでは。と勘ぐったりする。
ーあんな人と付き合えたらいいなー
そう思った。
いいや、何を考えているんだ、僕と彼女じゃ不釣り合い。陰キャの僕が、綺麗な彼女、無いでしょ。
陰キャでいい、友達なんて居なくていい。そう思ってた自分を恨んだ。自分を変えたい。
その時、琴葉からのメッセージを思い出した。
「イメチェンしたくなったら言ってね〜☆」
藁にもすがる思いで彼女に電話をかけた。さっきまでウザいと感じていた言葉が今では希望の光。何コールかした後、繋がった。
「照くん、どうしたの〜?」
「琴葉、イメチェンだ」
「.........」無言だ。
「イメチェン計画、あるんだろ?僕は変わりたい」
驚いたのだろうか、まさか僕が本気でイメチェンしたいだなんて言い出すとは思っていなかったのかもしれない。
「りょーかい、この私に任せなさい!!照くんをイケイケ男子にしてあげる!明日は休日でしょ?作戦会議よ、私の家に来て」頼もしい。ちゃんとあったのか、イメチェン計画。
「わかった」そう言い電話を切った。
白銀さんと釣り合うような男になってやる。僕は変わるんだ。
石神くんの導入です!
私自身陰キャなので石神くんはお気に入りのキャラです。次は中野くんの導入になります。
お楽しみに!