メタファー-Metaphor-気付きの物語
メタファー:神話や伝説、民話、比喩、寓話などを通じて、そこで語られているメッセージ・教訓を聞き手に伝えるもの。
言語学的なメタファーとは別物です。
昔々あるところに、ひとりの女の子が住んでいました。
その女の子はお花が大好きで
中でも、女の子が住む街の近くの山にだけ生える
とても綺麗なお花が1番のお気に入りでした。
そのお花は一年中花を咲かせていて、いつから咲いているのか誰にも分からない不思議なお花でした。
ある時、女の子がそのお気に入りのお花を見ようと山に登ると、いつもは花を咲かせている部分にいくつもの種がついていました。
初めて見る光景に女の子が驚いていると、女の子の足元に種がポロンと転がってきました。
「自分のお家でこのお花を育てたい」
そう思った女の子は、その種を大事にポケットにしまい、急いで山を降りていきました。
急いで山から降りて、慌ただしく種を植える準備をする女の子を見て、街の大人たちが何事かと集まってきました。
「この花は山でしか咲かないんだ」
「お前がやっても無駄さ」
「諦めるんだ」
土を掘り返し、さっそく種を育てようとした女の子に対して、その様子を見ていた周りの大人たちが口々にそう言いました。
それでも、女の子は諦めずにせっせと種のお世話を続けました。
それから月日が経ちました。
女の子がどれだけ頑張っても土から全く芽がでません。
大人が言ったように無理なのかなと諦めかけていました。
そんなある日、一匹の黒猫が女の子の家にやって来ました。
黒猫は、種が植っている場所をぐるりと回ると女の子にこう言いました。
「どうして山で咲くのか、山と庭では何が違うのか。考えた事はあるかい?」
そう言うと黒猫は女の子に背を向けて歩いて行ってしまいました。
それから、女の子は毎日毎日、黒猫に言われた事を考えました。
あげるお水の量や肥料を変え
時には、この花がもともと生えていた山へ行き土を持ち帰ったりと、色々なことを試しました。
雨の日も風の日もそうやって一生懸命お世話をして何度目かの朝がやってきました。
女の子が目を覚ますと、家の外から沢山の人の声が聞こえてきます。
何かあったのかと急いで外に出ると
「あんた、良くやったよ!」と声をかけられ、それを火切りに沢山の「ありがとう」「すごく綺麗」という声が女の子を包みました。
驚いて辺りを見回すと、小さな子どもを連れた女性や年老いた街の住人といった、街から出たり遠出することが難しい人たちが口々に女の子にお礼を言いっています。
「もしかして!」
女の子が振り返えると、そこには山でしか咲かないと言われていた綺麗なお花が、庭いっぱいに咲き誇っていました。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
今後は、短編集としてお話を一つに纏めようと思います。
これからも短編として話を投稿していきますので、今後はこちらからお楽しみください↓↓↓
https://ncode.syosetu.com/n6417gc/
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