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スキル世界のゴキブリハンター兄弟

作者: 苔土

「もうそろそろ屋敷だ」

「わかったよ兄さん」


そう言いい、前を歩く兄さんの大きな筋肉質な背についていく

兄さんは、とても強そうで、僕もあんな風にいつかなりたい


「むぅ」


兄さんは、地図を持ち、自分の茶色の髪に手をあてる


「このあたりのはずなんだがな」

「迷ったの?やっぱり僕が地図を担当すれば、よかったのに」

「まあ、待て」


兄さんは、その場で座り、地図と、にらめっこ


「あっ」


一人で、ボール遊びをしている少女を見つけた


「ちょと道を聞いてくるね、兄さん」


少女の目の前まで、来るとボール遊びをやめ、こちらを見つめてきた


「お嬢ちゃん、この辺で、シャーレットさんの屋敷を知らないかな?」

「シャーレットさんの屋敷なら、よく知ってるよ、ついて来て」

「ありがとうお嬢ちゃん」


まだ地図と、にらめっこしている兄さんの近くまで行く


「兄さん、もう地図は、いいよ、この子に、案内を頼んだから」

「むぅ」


兄さんは、不機嫌そうな声を出す

まあ、負けずぎらいな兄さんのことだから、自力で、場所を探したかったんだろうけど

このままだと、夜になってしまう


「では、お願いします」

「娘よ、頼むぞ」

「うん」


少女について行き、石作りの道を歩く

町からは、少し離れている


「お兄さん達、シャーレットさんところになにしに行くの?」

「仕事に行くのだよ、娘よ」


兄さんは、親指を立てる


「へぇ~」


少女は、興味なさそうだな

ん?目の前に緑に囲まれた屋敷が、見えてきた


「ここだよ」


少女の案内のおかげで、屋敷の入口まで、着いた

なにかお礼をしないとな

おやつに買っておいた、お菓子があったな


「少女よ、お礼だ」

「わ~い、ありがとう」


少女は、笑顔で、お菓子を受け取ると来た道を戻っていった

古びた門を通り、屋敷の門まで、扉をノックした


「害虫駆除の依頼で、来ました、」


ドアがゆっくりと開くと、白い髪の20代ぐらいの女性が、顔を覗かせた


「待っていました……」


美しい顔だが、怯えた様子で、こちらを見る

まあ、駆除依頼が、くるほど、だからゴキブリにショックを受けているのだろう

中は、古びた感じで、なんとも怪しい雰囲気が、でている


「では、始めるぞ弟よ」


そう言って兄さんは、いつもの準備のため、屋敷の外に出て行った


「わかったよ兄さん」


僕は、床に、片手を付く


「サーチ開始」


これが、僕の魔法スキルだ

屋敷全体の中にいるゴキブリ頭の中に浮かんでくる


「10……20……50……」

「ひぃ……そんなにも……」


女性は、さらに怯えた様子で、一歩さがる

まあ、ゴキブリの潜伏してる数は、平均なほうだなあ


「準備が、できたぞ、弟よ」

「ありがとう兄さん」


床についたままの手が、光り出す


「消滅の光よ」


その言葉を発すると、手の光は、無数に飛び散っていった


「50……20……2」

「2体残ったか」


兄さんは、そう言い剣のように差していたハエたたきを抜く

僕のもう一つの魔法スキル、消滅の光は、魔法の4つの魔法の杭で、打ち込んだ範囲のゴキブリを光で、完全消滅させるものだが、レベルが、30以上のゴキブリには、意味がない

この魔法で、たおせないのは、兄さんが、片づける


「こっちだよ、兄さん」

「いくぞ」

「ああ……待ってください」


スキル、サーチのおかげで、ゴキブリの居場所は、部屋は、だいたいわかる

厨房に、僕たちは、向かう

真ん中の机は、食事をしているらしく

食べかけ、ケーキと紅茶が、置いてある

食事中だったとは、悪い間に来てしまったな

そしてケーキにゴキブリが引っ付いている


「兄さん、ケーキのとこに、いるよ」

「いやあああ、私のケーキいいいい」


女性が悲鳴が、鳴り響く

それと同時にゴキブリもケーキから、逃げる

だが、兄さんのほうが、早い

その一瞬を逃がさず、ハエたたきで、一発ゴキブリを叩く

だが、ゴキブリは、なにもなかったように走り出す


「なにい!?」


兄さんの声が響く

その驚きの正体を僕には、わかった

あのゴキブリは、スキルを使ったのだ

スキルの正体の名前は、硬化スキル

一瞬だが、たたきつぶされる瞬間、鋼のような堅さに自分をしたのだ


「兄さん、硬化スキル持ちのゴキブリだよ、そいつ」

「わかったぞ、弟よ」


兄さんは、紅茶の入ったティーカップを持ち、机の足を這って逃げる、ゴキブリの上にティーカップをかぶせる


「私のティーカップううう」


女性の悲鳴が、また鳴り響く


「弟よ、頼む」


兄さんの声が、聞こえると同時に、僕は、走り、兄さんの元に向かう

そしてティーカップに手をあて、スキル、毒霧をティーカップの中に使った

毒霧を使えば、どんな害虫でも、殺すことが、できるが、範囲を広く使ってしまえば、後片付けが大変なのだ


「もういいだろう」


兄さんがカップをあけると、紫色の煙と、どろどろに溶けた、ゴキブリ

の死骸が、でてきた

鞄の中から、急いで、雑巾を取り出す

女性が、見たら、ショックが、大きそうなので

速やかに、液状になった、ゴキブリを雑巾で、拭き取った

そして、袋に雑巾を入れ、消毒液を床に巻き、綺麗な雑巾で、もう一度、拭いた


「よし」


その僕の声と同時に、後ろから、シャーレットさんが、顔を覗かせた


「ゴキブリは、どうなりましたか……」

「ちゃんと殺しておきましたよ」


僕は、そう答える

シャーレットさんは、ティーカップを見つめる

ちゃんとゴキブリをティーカップに入れてるところを見られているから、言い逃れできないな


「申し訳ありません、このティーカップの弁償代は、さしていただきます」

「すまんな女よ」

「ティーカップ一つぐらいなら、別にいいです、それよりも残りのゴキブリを、お願いいたしますね」


優しいお客様で、ほんとうによかった、兄さんは、ゴキブリを倒すのに夢中になると、周りのものを壊す時が、あるから、気をつけてもらいたいものだ


「ありがとうございます」

「弟よ、残り1匹を殺しにいくぞ」

「わかったよ兄さん」


厨房を出て、2階に向かう

ゴキブリの気配は、2階からだ


「この部屋にゴキブリの気配がする」

「えっ……ここにもいるんですか……?」


女性は、なにか嫌そうな顔に見えた


「ドアを開けても、よろしいですか?」

「はい……」


ドアを開けて、女性の表情の意味が、わかった

大きいベッドがあるから、寝室みたいだ

寝てる時にゴキブリが、近くにいると恐怖だろう


「兄さん、こんどは、部屋のもの、壊さないでね」

「ああ、努力する」


兄さんが、ハエ叩きを構える

女性は、怖そうに、その様子をドアから顔を覗かせ見ている


「そこの引き棚を開けさせてもらってもいいですか?」


棚に指をさして、女性を確認を念のためにとっておく


「いいですけど……」


シャーレットさんも僕が、聞いたことで、気づいてる様子だ

「兄さんそこの棚の2番目にラストのゴキブリがいるよ」


「うむ」


兄さんは、引き棚に手をかけ、引いた

その時だった、すこし開きかけた、棚の隙間から、ゴキブリが1匹、2匹、3匹と、どんどんでていった

ゴキブリは、どんどん、うじゃうじゃ、棚から出ていく

100体を越えるゴキブリが、棚から、出て行き、壁に張り付いた


「なにいいい」


兄さんの驚き声とともに、女性もその光景に涙目になりながら、怯えている

兄さんは、驚きもしたが、すぐ戦闘態勢に戻り、ゴキブリの一匹を叩いた


「むっ」


叩いたはずのゴキブリの死骸がない

その様子を見て、ぼくもゴキブリの大量発生理由が、わかった

これは、分身のスキルだと


「兄さん、分身だよ、僕が、本体を教えるから、兄さんは、本体のゴキブリを殺して」

「ああ」


僕のゴキブリサーチアイのスキルは、ステルスで消えようとも分身しようとも、ゴキブリを見つけることができる

スキル発動と同時に危険を察知したのか、壁に張り付いていた、ゴキブリ達が、一斉に羽を広げて、飛び立った

その光景は、恐怖そのものだ

だが、兄さんは、ハエ叩きを構え、一歩も引かない

ぼくもそれは、同じだ

相手が、どんなゴキブリだろうと引かない


「今だ、左手の方向に一番高く飛んでいるやつを叩いて、兄さん!」

「おう」


兄さんは、飛んだ、そして、フルスイングで、ゴキブリを叩いた

バラバラになりながら、ゴキブリは、床に叩きつけられた

それと同時に分身も消えていった


「やったね、兄さん」

「ああ」


これで、家にいた、ゴキブリのすべてが、片づいた

だが、このグロテスクの死骸は、早めに片づけなかれば、お客さんが、怯えてしまう

僕は、急いで、バックから、掃除道具の洗剤と雑巾を取りだし、死骸を片づけた


「ゴキブリは、片づけましたよ~」


僕は、部屋の入り口のほうに向かって、そう叫んだ

怯えながら、部屋の前から、顔を覗かせている、お客さん


「あとは、ゴキブリ除けの結界を張って、終わりです」

「弟よ、行ってくる」


5つの杭をバックから取り出し、兄さんに渡す

兄さんは、ダッシュで、部屋から、出て行った

いつものように家を取り囲むようにセットしてもらうのだ


「僕たちもいきましょう」

「わかりました」


階段を降り、玄関入り口あたりに出る頃には、兄さんが、戻ってきていた

さすが、兄さん、息一つ切らしていない


「全部OKだ」

「ありがとう兄さん」

「うむ」


僕は、手を地面に当てる


「結界発動」


杭を囲むように、ゴキブリ除けの結界が発動する

その光景は、幻想的な光が、数秒だけ、あらわれる、消える


「きれいな光景ですね」

「ええ、この結界は、5年ぐらいしか、もたないので、5年ぐらいしたら

、また依頼のほうをしてもらえると、結界を張りにきますので」

「はい、その時は、またお願いします、あっそうだ」


女性から、銀貨2枚が手渡される


「報酬のほうになります」

「はい、またの依頼お待ちしています」


僕と兄さんは、依頼主さんに手を振り、屋敷をあとにした

日は、沈みかけ、夕暮れになろうとしていた帰り道

道を教えてくれた少女がいた

木の陰に座っている


「おっ、君は、道を教えてくれた少女では、ないか、ありがとう、おかげで、助かったよ」

「あっ、さっきのお兄ちゃん達だ」

「そろそろ日が沈んで危ないから、家に帰りなさい」


この道は、、町から、少し離れているから心配だ

兄さんに頼んで、いっしょに町まで、送ってあげたほうがいいかな?


「帰れないよ、住んでた家も入れないし、家族もみんな死んじゃったし」

「え……」

「お兄ちゃん達が、殺したんじゃないか、忘れやすいんだね~」


少女は、顔色一つ変えることなくしゃべり続けていた

その様子が、不気味でしかたなかった


「じゃあね~お兄ちゃん達」


少女は、道では、なく、森のほうに走っていき、姿が消えていった

どういうことだ

俺たちが、あの子の家族を殺した?

ということは、あの少女の正体は……


「スキルの中には、人間に変身することができるのもあるみたいだ」


沈黙の空気の中、兄さんの口が開いた


「あの少女は、ゴキブリだったんだね……」

「ああ、そうみたいだな」


仕事が、終わったのに、なんなんだ、このいやな気持ちは


「僕たちがやってることは、正しいことなのかな? 兄さん」

「ゴキブリ自体に罪などない、だがな、ゴキブリを恐れ、怖がる人がいる以上俺たちは、この仕事をやっていくのさ」

「兄さん……」


夕暮れの帰り道を兄さんが進む


「明日は、3mの巨大ゴキブリの退治だ、大物になるから、頼むぞ、弟よ」

「ああ、まかせてよ兄さん」


兄さんの背中について行く

僕たち兄弟は、明日も次の日もゴキブリを退治していくのだ

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 帰り道で出会った瞬間、先が読めました。 私もGは嫌いなので、Gへの嫌悪感を持ちながらも、Gメンの活躍を楽しく読ませて頂きました。3m級のGは恐怖でしかないですね。いや、通常サイズでも恐…
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