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R/W  作者: Maki
Chapter 1 : Repeated/World
22/26

賭け

『キュークジェルエン、浮上しました!』

 艦内に操舵士の声が響き渡り、さらに緊張が増す。目の前には、上空に浮かぶ中型ガンシップが四機。その大きさはルクソフィアのそれとは少しだけ劣る。四機は、キュークジェルエンが浮上しても動きを見せず、相変わらす上空に居座り続けるだけだ。


「こちらからは絶対に打つな」

 艦長の篁がマイクを通して全部署に伝える。艦長の前方に座る神宮寺の手は震えていた。浮上した今になっても、艦長の言葉を信じきれずにいた。


 ピー。


 操舵室後方、扉が開く音がした。入ってきたのはフラムだった。一瞬あたりを見渡し、艦長が目に留まる。

「どういうつもりだ」

 自分に声がかけられたと気づいているのかいないのか、篁はその言葉を無視し、

「神宮寺、相手に呼びかけろ。どこの所属か聞き出すんだ」

「・・・了解しました」


「おい」

 神宮寺が回線を開く間、フラムはさらに艦長との距離を縮め、声を荒げる。

「いま攻撃されたら、あたしら全員海の藻屑だぞ。わかってんのか」

 それでも、篁はフラムを見ようともしない。目は真っ直ぐに相対するガンシップを見つめていた。

「ミユ大佐。私にはどうしても、あの四機が敵だとは思えない」

「証拠は」

 間髪いれず聞き返すフラムに、篁はニコッと笑みを浮かべた。

「これからお見せできるかと」

「論外だ。そんなの、ただの希望的観測にすぎない」

 一笑されたが、意にも介さない篁。その変わらない表情は、周りにとっては何を考えているのかまるでわからないだろう。


「こちら、ルクソフィア第一潜水艦、キュークジェルエン。貴艦の所属と部隊名を――――――」


 ピーッ!ピーッ!

 

 突然ミサイルの接近を知らせるアラートが鳴り響く。操舵室が警告灯で赤く染まり、あらゆる部署でサイレンが鳴り響く。

「どこからだ!」

「・・・7時の方向!距離1200!」

「続いて4時の方向!距離1500!複数!」

「ガンシップは!」

「動きがありません!別勢力からの攻撃です!」

 操舵室のあらゆるところから声が上がる。フラムはそれを見て、怒りを通り越して、呆れていた。訓練を積んだ者たちなら、少しのことで動揺などしない。実戦経験のなさが、露呈していた。


「ばかやろうが」

 ただ一言言い放ち、フラムは操舵室を出て行った。

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