表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
R/W  作者: Maki
Chapter 1 : Repeated/World
19/26

浮上

「気づかれたか?」

 艦長の篁が神宮寺通信兵に様子を伺う。


「わかりません。ですが・・・」

 神宮寺は顔を少し下げる。

「どうした」


「こちらの発見が遅れたためエンジンは先ほど止めました。ですので、気づかれた可能性は、ないとは言い切れません。・・・申し訳ありません」

 神宮寺が頭を下げると、しかし篁はその肩に手を置き、

「構わないさ。あのガンシップはステルス機能がついているようだ。それにしては迅速な判断だったんじゃないか?」

「・・・!・・・艦長・・・」


「艦長」

 そう呼んだのは、エフィー・カルヴァート。走ってきたためか、かなり息を切らしている。

「エフィー、発艦の準備だ。総員に知らせろ。第二種戦闘配置。だが、命令あるまで攻撃はするな」

「了解」

 エフィーは手近にあった通信機で艦内に連絡を取る。

 

 篁は再びレーダーに目をやるが、四つの黄色の点は依然として動きを見せなかった。

「あの場から動かない・・・ということは、もうこちらの存在に気づいていると見るべきか・・・」

 しばらく腕を組み考え込むようにしていたが、

「神宮寺、操舵室に連絡を」

「はい」

 マイクを篁に渡す。


群青ぐんじょう。聞こえるか」

『こちら操舵室、群青です。聞こえてますよ艦長』

「両舷、微速前進。目標に接近するぞ」

 それを聞いた周りの兵員たちは、驚きの顔で篁に振り向く。それは神宮寺も、操舵室にいる群青も同じだった。

『か・・・、え、エンジン起動させるんですか!?そんなことをしたら敵に本艦の居場所が知れてしまいますよ!?』

「目標は既にこちらの存在に気づいている。隠れていても、時間の無駄だ」

「・・・・・・」

 傍で聞いていた神宮寺はショックの色を隠せない。自分の発見が遅れたせいで見つかってしまったと思ったのだろう。それを分かっていてか、篁は神宮寺に首を振りながら、


「本当に我々を沈めるつもりなら、既に艦載機が射出されていてもおかしくないはずだ。されていないところをみると、目的は他にあると見るべき・・・」

「ですが・・・、もし本当にこの艦を狙っているとしたら・・・」

 今見えている目標は四つ。この潜水艦の戦闘力を考えると、戦えないということはない。だが無駄な戦いは避けるべきだ。弾薬も艦の燃料も無限にあるわけではない。

「他にも敵が潜んでいるかもしれません。そうなったら、どれだけ目標が増えることになるか・・・。リスクが大きすぎます。この艦は対空装備は豊富でも、艦載機の数は十分ではないんです。制空権を奪われたまま戦いを続けるのは、得策ではありません」


 黙って彼女の話を聞いていた艦長。だがその目は揺れることはなかった。、

「艦載機か・・・。今、この艦には、優秀な戦闘機乗りがいるじゃないか。不思議な力を持った、彼が」

「えっ・・・?」

 そう言って、再びマイクを手にとった。


「両舷、微速前進。バラスト放水、浮上するぞ」


『・・・!・・・了解・・・!キュークジェルエン、浮上します!!」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ