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R/W  作者: Maki
Chapter 1 : Repeated/World
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漆黒の五芒星

『くそっ・・・どうすればいい』

 なおも急降下し海面へ向かっていくレイズ、それを追うようにして、ロックも機体のブーストをかける。高度計の数値がみるみる下がっていく。海面が迫り、いつ奴らに撃たれるかわからない恐怖心。コックピットのアラートは、既に敵のミサイルが発射されたと警告している。おそらく、すぐ後ろに迫ってきていることだろう。だが、後ろは振り返れない、レイズを追うことで精一杯だ。

 と、その時


 ドドォン!!


 と、何かの爆発音が聞こえた。一瞬機体に当たったのかと思ったがそうではない。もし当たっていればこの程度では済まない、とっくに機体がバラバラになっているだろう。

 

 なら、一体何があった。思い切って一瞬振り返ると、すぐ後ろ、上空では、けたたましい爆発とともに迫り来るミサイルがことごとく撃ち落とされていた。何故だ、ミサイルを多く放ちすぎて機体に接触するよりも先にミサイル同士が接触したのだろうか。いや、それは考えにくい。見たところ相手はエース級。そんなヘマをするとは思えない。なら残る可能性は――――――


 ザバァン!!


 と今度は海面の方で大きな水しぶきが聞こえた。目の前の景色がみるみる一変していく。水しぶきの原因は海面から何かが浮上してきたためだとわかった。


《副隊長!ミサイル消失、さらに新たな敵の反応!!》


 通信からも、この状況は敵さんの思う壺ではないらしい。なら手段は――――――

『レイズ!脱出しろ!』

 だが応答はない。本当に気を失っているようだ。このままじゃ海面の前に浮上物にぶつかってどのみち死ぬ。このままでは――――――


 すると突如、レイズのコックピットからシートが飛び出した。よかった、脱出できたようだ。


 ピッ。

 入電?いったい誰から――――――

 

『ロックさん!レイズはこちらで回収します!急いで着陸を!』

 それは普段から聞き覚えのある声だった。

『蓮衣ちゃん!?い・・・いったいどこから』

『目の前の潜水艦です!滑走路見えますか!?そこに着陸を!』

『あ・・・ああ、でも上に敵がいる、狙い撃ちされたら――――――』

『大丈夫です!うちの大佐が守ってくれます!』

 大佐?――――――そういえばさっきからミサイルが降ってこない。上を見上げると――――――



《ダミーに気づいたようです、副隊長》

《予想より早いわね、それに――――――》

 真下に突如現れた巨大潜水艦に目をやる。全体が灰色に覆われ、全長は三百mはあろうか。

《あんなものを隠し持っていたなんて、情報はなかったわよ》

 ますます面白くなりそうだ。今は今で楽しめそうなものが出てきたけど。迫ってくるあの真っ黒な機体、間違いないわ。

《ねぇ、クワイン》

 


 パラシュートに吊り下げられるようにして落下したレイズは巨大潜水艦の上に横だおれになる。室内から5、6人が出てきてレイズを担ぎ上げる。

『よし・・・』

『ロックさんも、はやく着陸を。急いでここを離脱します』

『離脱・・・?ルクソフィアを離れるのか?』

 一瞬音声が途切れる。返答に困ったのだろう。

『・・・社は完全に敵の手に落ちました。本部、管制塔との連絡も以前つかず。社内には多くの人質が・・・』

『・・・管制塔の人たちは・・・?』

 妹は管制塔にいたはずだ。

『・・・わかりません。最悪の事態ではないと思いますが・・・。現状の戦力では奴らに太刀打ちできません』

『濁さず言ってくれ』

『・・・彼らが抵抗しなければ、無傷で済むはずです。敵だと思われる通信もそう言ってました』

 ロックは潜水艦の上空で旋回しながら思案を巡らせる。

『通信?あいつらはどこの所属か言ってたか?』

『“我が社”とだけ・・・。名は明かしませんでした』

 ロックはすぐ目の前に広がるルクソフィアを見つめる。社の建物はここからじゃ変化はわからないが、滑走路、周辺の市街地からは所々煙が上がっている。

『いつの間に街を・・・。敵は市街地にも潜んでいたのか・・・?』

 あれじゃ何人死傷者がでていてもおかしくない。それを見捨てて自分たちだけ逃げるなんて・・・。それに何より、妹のメリアを残していくことなんて・・・。






『随分と回りくどいやり方をするものだな。最初に現れた二つのアーレウスがどちらもダミーだったとは。お前たちが来た瞬間にアーレウスの反応がぱったり消えるものだから、驚いたよ。ますます技術を進歩させたようだな』

《よくしゃべるのね、クワイン。昔のあなたはもっと無口だったわよ?》

 二機は互いに向かい合う。副隊長ラティアの部下はクワインに向けレーザー照射。そのため、ソルの室内はアラートが鳴り響く。だが、少しも動じた様子を見せないソル。

《あまりにも薄情じゃないかしら?部下が孤軍奮闘してたのに上司が助けてあげないなんて》

『勉強になると思ってな』

《死んだら元も子もないわ》

『だがもう終わりだ』 

僅かにソルの黒い機体が揺れる。コックピットの窓が月明かりを反射したのをラティアは見逃さなかった。

《――――――!撃て!!》

『お返しに、ここからは俺が相手をしてやろう、リューコスども』 


  


 

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