精製の傀儡
途中で眼を覚ましたサーヴェと共に、この岩肌ばかりの土地を歩いていると、地下へ続く階段を見つけた。
階段を降ると、地上とは全く違った光景が広がっている。そこは広い室内になっていて、いくつもの長い椅子が綺麗に並べられ、一番奥には大きな十字架が掲げられている。
サーヴェ
『綺麗な所だね』
ガイアルー
『確かに、綺麗だ』
この場所は、トルヴェザ様の力を感じる。ここであればトルヴェザ様に交信できるかも知れない。とはいえ、下手に話しかけて迷惑をかける訳にいかない。使う機会はそうそう無いだろう
調和と封印の神トルヴェザ。合わせ鏡サビアンの力を使い、このミラーワールドを創造した本人。調和の力を使い、この不安定な世界を安定させている。
サーヴェ
『そういえば。私にも能力があるよ』
ガイアルー
『どんな能力だい?』
サーヴェ
『世界を創造する能力』
ガイアルー
『うん?』
世界を創造する能力だって?どうしてそんな能力を?自身の人間を創造する能力も大概だとは思うが、世界を創造する能力なんて信じられない
サーヴェ
『ルドーも私と同じ能力持ってる』
ガイアルー
『ルドー?』
サーヴェ
『バグ・ドールが創った。私の反存在』
そうか、バグ・ドールも人間を創造する能力を持っているのか。おかしな話ではない。
ガイアルー
『なるほどな』
サーヴェ
『それじゃあ、使ってみるよ』
ガイアルー
『うん?』
使ってみるって。例の世界を創造する能力?本当にそんなことできるわけが
サーヴェ
『超越[世界創造]』
サーヴェが能力を発動させると、目の前に全身を楽に見れる程の大きな鏡が創造された。四角く縦長で木枠の鏡。だが、その鏡は自身の姿どころか、周りの風景も映さず。見覚えの無い景色を映していた。
ガイアルー
『これが、新しい世界?』
サーヴェ
『そう。すごいでしょ』
胸を張り、とても満足そうなサーヴェ。飾りにはいいかも知れないが、世界を創造する能力なんて、完全に名前負けしている。そういえば、これを鏡だと思っていたが、どう考えても鏡では無いな。・・・まあ、今更だし、これからこれの事を[世界の鏡]と呼ぶことにする。
ガイアルー
『さて、何処に置いておくか』
サーヴェ
『あ。戻るための鏡を作ってないから。あまり下手に触らないで』
ガイアルー
『戻る?』
鏡を別の場所に置いておこうとしたら、サーヴェに止められた。一体何なのだろう
サーヴェ
『鏡の面に触れてしまうと、その世界に飛ばされてしまう。この世界に繋がる鏡を創らないと、戻れなくなる』
試しに、石を鏡に向かって投げてみると、石は鏡の面に吸い込まれるように消えていった。どうやら・・・本当に世界を創造してしまったらしい
バグドル・サーヴェ
神族 女性
能力
超越能力。世界を創造する能力。
ガイアルーと同じく大人しそうな雰囲気だが、意外と自由人な一面も。黒髪で少し細目。能力によって世界を創造する
ガルド・ルドー
虚族 男性
能力
超越能力。世界を創造する能力。
サーヴェの反存在。黒髪で無口無表情、よく周りを観察するように見渡している。何故か能力を使いたがらない




