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ふゆのひ
暴きたてられて気怠げな冬の
鋭角というには脆い空に
切り取られた かなしさ がある
大気をけずりとる白波でも
氷室に横たわる銀鱗でもないそれ
は、地平で赫く ひ だ
この かなしげな 瞳は
春風をうそぶく木漏れ日に
細められている
煙のなかの家々は
小さな希望、
そこにくすぶる凍えた火
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