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僕と花

何時もの通学路を

独りで歩いて帰る

そんな日常


何も変わらず

ただ生きる世界は

僕の目には

色褪せて見えた


そんな僕は

ただ求めたのだ

この世界を彩るモノを



何百通った道で

遂に僕は見付けたのだ



誰も見ない

そんな夏の日陰に咲く

名も知らぬ白い花


それが僕の色褪せた世界で

唯一つ鮮明に映ったのだ


誰も見ないところで

健気に咲く

そして誰にも知られぬまま

枯れて逝くであろう君が

僕の心に宿ったんだ


どうしようもなく

僕に似ていたのさ

仲間が出来たように思えたんだ



それから世界が変わった

行き、帰りに

人目を憚らずに

君へと一直線

「何時か枯れてしまうんだね」

そう言いながら

細く伸びた茎を撫でる

日陰に沈む純白を

壊れぬ様にそっと愛でる

「暑いだろう」

そう声かけながら

水筒に入った水をやる



そんな日々が永遠に続けばいいのに

世界は色褪せないのに

そう思っていたのだ



秋の長い影の中

色付く紅葉を横目に

僕の世界を彩る君は

散って逝った


世界は再び

色褪せたモノになった




けれど、たった一つ

君は残していったんだ



春になって

そこに一つの芽があった





再び僕の世界は彩りを放った





これは繰り返されるのだろう

君が枯れて、咲いて

僕の色が消え、戻って



これは僕と君の繋がり

死ぬまでずっと続く移ろいさ

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