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頭蓋の光
頭蓋。冴えたる結晶が
世界を満たす海となり
無明を吹きすさぶ風、
あてどなき不具の
なまぬるい風。
数多の鎌を水面に擡げ
水草の髪をからめて死神が、
眼底にたたえた沈殿から
わたしへ手招きする
なんという悪夢。
美しい落日に誘われ、
藍の衣をたなびかせ女神が
わたしの瞼を撫ぜる。
淋しき亡霊たちの幻影が
波濤のあわいに揺れている。
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