32/61
霧中の月
茫洋たる銀の焔が
鬱蒼と森を呑まば、
鼓動は瞳をほうり、
闇を駆け抜ける今宵。
冷き昂りが、裸の目に
這ひよりてねぶり、
瞳孔、その充血から、
土、草、木、空を
つひに蔽ひ尽くし、
天頂に結晶す。
我といふ人称は
種々の寝息を辿り、
ふと影に鏤められし
月の欠片に惑ふ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
感想アドバイス募集中です。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――