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日常
この体には熱が通い、
ときおり寒がってみたりして、
心では、生死さえも謡える。
この日常のほか、
なにを求めればいいのか。
ほら、いまも風が吹いている。
けしてそよ風ではないが、
夕日がより美しく流れてゆく。
通り雨がはげしく鳴り響くが、
私はそこで泣いていられる。
けれどときおり、硝煙より強くて
おぼろげな不穏が潜んでいる。
影遊びをしながら歩んでいくが、
頭をさげていないといけないのは、
仕方がないことだろうか。
でも安心してもいいのは、
地面をむいた、その一間に
銃から煙が、ゆらりとしないこと。
たとえばいま転んでしまっても、
靴紐をゆうゆうと結びなおせることだな。
三月投稿分。