プラネタリウム/偽りの星空
暗いドームの中
天井を見上げる人々
僕も見上げてみた
天井に光は撃ち込まれ
偽りの星空が浮かんだ
広がる感嘆の息
キレイだ、と呟く群集
ねぇおかしくないかい?
僕らは本物の星空を見上げても
キレイなんて言やしないのに
どうして偽りの星空に思いを馳せるんだい?
何時からだろう
本物の星空を見なくなったのは
判り切ったことさ
僕らの愚かな罪が
本物の星空を覆った時だ
何も考えなかった人々が
本物の星空を煤で覆った時だ
罪に覆われた星空を人々はこう言った
「醜い」
醜い星空を生んだのは僕らなのに
僕らはそれを
思い出す事も無く
考える事を放棄して
ならば美しい星空を創ろうと
技術を進め
また星空を煤で覆った
ねぇ「醜い」のはどっちなんだい?
確かに美しいよ
本当に綺麗だよ
昔の偉人達の努力の結晶なんだろう
でも違うだろ
彼らがするべきだった事は
偽りの星空を生む事じゃ無い
偽りを見ないといけない現状を
罪に覆われた本物の星空を
復活させる事だったんだ
僕らは太古から
夜空を見上げてきたんだ
願いを乗せて見上げたんだ
本物だから意味があるのさ
フィルムなんて代物じゃ
偽りだから意味が無いのさ
偽りの夜空に光の筋が浮かんだ
人々が偽りの流星に願いを乗せる
偽りに願っても仕方が無いけど
僕も願ってみようか
この世界から
偽りの星空よ
消えてしまえ
届かぬ願いは偽りと共に消えていった