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ゴジアオイ

僕がかつて生きていたのは

木漏れ日に揺れた

白い恋人のおかげでも

いつかと約束した

父との盃のおかげでも

頭をそっと撫でた

母の古びた手のおかげ

でもないのだ


さとったのだ、昨日に、僕は

むしろ生かされているのだと

透明な大気を伝わってくる

夕日の茜の輝きや

壊れたように廻り続ける

懐中時計の針の音が

優しく、入り込むように

僕を包み、抱いてしまうから


そして僕の骨は 

明日の明け方ごろにも

湿った土と木のなかへと

埋められてしまうのだ


けれどたとえ

そのそばにイトスギが咲いても

そしてそれが萎れたとしても

僕は決して悲しまないと誓う


弔う人よ、明日だけ、僕を

そんなあなたに

ゴジアオイを贈ろう

だがそれは囁きではない

むしろ啓示である


僕は、あなたに

咲き誇る白い慎ましさではなく

知らぬまに枯れる花を贈ろう





ゴジアオイ:花言葉で「私は明日死ぬだろう」。一日花です。

イトスギ:花言葉で「哀悼」。

どちらも白っぽい花です。

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