表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こどものなみだ  作者: 梅花
2/4

夜話2「イイコワルイコ」

「あらあら、今日も眠れないのですか? え? 僕の話が聞きたいって? ふふ、だめですよお嬢さん。ちゃんと寝なくては。どうしても、? 良いですよ。では、そんな悪い子には、こんなお話はどうでしょうか?」

 夕焼け小焼けのあかとんぼ。

 はないちもんめ。

 かごめかごめ。


 ・・・童謡なんて、いっぱいありますよね?


 ですが、こんな話は知っていますか?


「こどものキ」


 ある日のことです。イザーヤは今朝早くから町に出て、親に頼まれたおつかいを済ませにいきました。こ

 イザーヤはとても親思いで心の優しい町の人気者。町にいるみんなは彼のことが大好きでした。

 しかし。

 その日の町の雰囲気はいつもと何かが違っていました。イザーヤが前を通っても、みんなは知らんぷりです。その様子をおかしく不思議に思ったイザーヤは、いつもよくしてくれていたばあばに訊ねます。


「どうしてみんな、ぼくに気づかないの?」


 ばあばは知らんぷり。周りも知らんぷりです。

 ついにイザーヤは困り果ててしまいました。まるで、自分が透明人間にもなったかのようだと。


「だれか、ぼくに気づいてよ・・・。ぼくはここにいるよ・・・!」


 だれにも届かない言葉を発しながら、彼は町にあるものを片っ端から壊していきました。それは今まで町の人たちが大切に育ててきた花であったり、イザーヤよりも小さな子が作った創作物でもありました。

 普段そんな悪いことはめったにしない良い子のイザーヤ。

 しかし今回、イザーヤは町の人々の驚く顔や悲しむ顔が好きになっていました。


 それからというもの、その町では誰にも気づかれなくなったイザーヤが、町で大暴れ。あっというまにイザーヤは町のみんなからの嫌われ者です。









「・・・彼はついに自分の欲に呑まれて悪い子になってしまいました。キミもせいぜい、そうならないように注意するんだよ? これは僕からのささやかな願いだからね。約束、ですよ?」

 彼はそう言って、その場を誤魔化すかのようにこどもに約束を取り付けた。こどもが微かに頷いたのを見、

「良い子だね。それでは、お休み。良い夢を。」

 と言って、彼はその場を離れていったのでした――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ