夜話2「イイコワルイコ」
「あらあら、今日も眠れないのですか? え? 僕の話が聞きたいって? ふふ、だめですよお嬢さん。ちゃんと寝なくては。どうしても、? 良いですよ。では、そんな悪い子には、こんなお話はどうでしょうか?」
夕焼け小焼けのあかとんぼ。
はないちもんめ。
かごめかごめ。
・・・童謡なんて、いっぱいありますよね?
ですが、こんな話は知っていますか?
「こどものキ」
ある日のことです。イザーヤは今朝早くから町に出て、親に頼まれたおつかいを済ませにいきました。こ
イザーヤはとても親思いで心の優しい町の人気者。町にいるみんなは彼のことが大好きでした。
しかし。
その日の町の雰囲気はいつもと何かが違っていました。イザーヤが前を通っても、みんなは知らんぷりです。その様子をおかしく不思議に思ったイザーヤは、いつもよくしてくれていたばあばに訊ねます。
「どうしてみんな、ぼくに気づかないの?」
ばあばは知らんぷり。周りも知らんぷりです。
ついにイザーヤは困り果ててしまいました。まるで、自分が透明人間にもなったかのようだと。
「だれか、ぼくに気づいてよ・・・。ぼくはここにいるよ・・・!」
だれにも届かない言葉を発しながら、彼は町にあるものを片っ端から壊していきました。それは今まで町の人たちが大切に育ててきた花であったり、イザーヤよりも小さな子が作った創作物でもありました。
普段そんな悪いことはめったにしない良い子のイザーヤ。
しかし今回、イザーヤは町の人々の驚く顔や悲しむ顔が好きになっていました。
それからというもの、その町では誰にも気づかれなくなったイザーヤが、町で大暴れ。あっというまにイザーヤは町のみんなからの嫌われ者です。
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「・・・彼はついに自分の欲に呑まれて悪い子になってしまいました。キミもせいぜい、そうならないように注意するんだよ? これは僕からのささやかな願いだからね。約束、ですよ?」
彼はそう言って、その場を誤魔化すかのようにこどもに約束を取り付けた。こどもが微かに頷いたのを見、
「良い子だね。それでは、お休み。良い夢を。」
と言って、彼はその場を離れていったのでした――。




