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悪魔少女の祓魔術《エクソシスム》  作者: 加賀谷紫苑
悪魔の右手と乙女の純情
1/6

遭遇

別に書いてる奴の、作者の息抜きみたいな連載なんで更新遅いと思います。場合によってはめっちゃ進みます

「あちー」

 黒宮煉くろみやれんは夏休みの後半、お気に入りの日傘を差して趣味の映画を見に行っていた。彼の容姿は目立つ。白い髪に赤い瞳、そしてこれまた白い肌。彼は日光に極端に弱い。いわゆるアルビノ、先天性白皮症せんてんせいはくひしょうという奴で、メラニンが他者より圧倒的に少なく、色素が薄いのだ。

 幼少期は元より、現在でもしばし女子と間違えられる容姿はある種のコンプレックスになっていた。

 日傘で若干顔を隠すようにして歩く。

 だから気づくのが遅れた。

 周りに人の気配が無い事に。そいつ(・・・)がそこにいる事に。

「グァァァ……ァァァ」

 荒く、大人しい息遣い。

 目の前の異形。

 毒々しい色合いを持った巨大な頭と小さな体。強靭な四肢と巨大な爪。鋸の様な歯。

「んだよ……これ……」

 そいつは、煉を見ていた。その一つしかない目で、煉をじっと見ていた。

「グギ……グ……ガガガガガガガガガガガガガガッ」

 声をあげて、こちらに向かってくる。

「うあっ」

 足が動かない。

 縫い付けられた様に動かない。

 日傘が落ちる。日光を浴びて頭が痛む。

「あっ……」

 目の前でそいつの口が開いて――吹っ飛んだ。

「は?」

 肉が弾けたそいつは後ろに吹っ飛んだ後、煉の背後を睨む。

 振り向いた煉の目に飛び込んできたのは、銀髪の少女。

 腰まである長い銀髪と胸元に十字架の付いた黒いマント。左手に銀の大型拳銃、右手に銀の細身の長剣。

「オラッ」

 少女はそう言うと引き金を引いた。

 パンッ、パンッ、パンッ。

 乾いた音がして目の前の異形の肉が爆ぜる。

 パンッパンッパンッ。

 なおも続く連射で、異形の肉が半分ほど無くなる。

「見えたっ」

 言って少女が駆け出す。

 見えたのは真紅の宝石だった。

 煉の頭ほどの大きさを持つそれは、異形の肉塊に半分ほど埋まっていた。

 肉が回復し、宝石が埋もれていく。

 少女は弾丸でその肉を削ぎながら接近し、その宝石に剣を突きたてた。

 パリンッと軽い音がして、宝石が砕ける。

 それと同時に、そいつの肉体は灰になった。

「大丈夫?」

 少女の美貌が覗き込んでくる。

 煉は最初、それが自分に向けられたものだと気づかなかったが、良く考えれば周りに人はいない。

「おーい」

「あ、ああ……」

 「大丈夫」そう言って立ち上がろうとして、煉の視界が回った。

「あ、あれ……」

「どーしたの!?」

 焦る少女を前に、煉は割りと冷静に現状を把握していた。

 ―ああ、日光浴びすぎたな。と。


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