04
春日はその日から泊まり込みになった。
持病もちだったので、いっそのこと病院に搬送しようか、という話も内うちであったがそれは彼自身が
「オレ病院大きらい。だったら撃ち殺されたほうがマシ」
と断固拒否したせいもある。
サンライズともう四人が、三つに別れて周りの建物や施設を張り込むことになった。
「サンちゃん、一人で平気?」
春日は心配そうな顔をサンライズに向けた。
「顔も見られちゃったし、一番危なくね?」
「一番危ないのはオマエだ。ヤクルトおばさんに気をつけろよ」
ホルダの銃が背広の合わせからちらっと覗いたらしく、春日は眉をくもらせる。
「サンちゃん……銃が似合わないなあ」
サンライズは、ふっと遠くに目をさまよわせた。
焦点が合ってないまま、春日に目を戻す。
「ハルさん、これは……夢だよな」
そうだな、悪夢だよこれは、とつぶやいている。
「オレたちってさ、いったい何なんだろう?」
春日にも答えられなかった。
顔色を変えずにそっぽを向きながら、心の中でそっと呼びかける。
―― おい、サンちゃん。サンライズ。アオキカズハルくん、聞いてくれ。
オレっちは、ほんとに何なんだろう? シゴトのためだとか言いながらも、コードネーム? 会社名? そんなものにばっかり囲まれて、本名すらどこかに置き忘れてさ。
そんな顔するなよ。頼むよ、椎名。オマエを苦しめたくないんだ、本当に。