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結局、今回の事件ではサンライズも特別対策班に入れられてしまった。
もちろん、ハルさんもそうだけど、彼はデスクワークだし、結局外を駆けずりまわるのは、オレとかそのあたりなんだろうな。心の中でぶつくさ言ってみる、が飲み連れが狙われているのはやはり、かなり手痛い感じはある……そうとでも思わないと、何だか切なくて真面目に向き合えない。
「予告状がまた来るかもな」
言ってるうちに、数日後。もう一通がやはりメール便で届いた。
同じく黒い封筒に、黒カード。
「前回は失礼いたしました。明日以降から今週中に、貴方を殺害させて頂きますので……」
似たような文面だった。春日が、紙を鼻に寄せる。
「変なニオイ」
どれどれ、その場にたむろしているヤツらが次々と、紙の匂いをかぐ。
サンライズの番。くんくんとかいでみるが、これは紙の匂いじゃないのか? というくらい。しかし一瞬だけ、刺激の強い香辛料のような甘い香りがした。
「何となく、知ってるような」「くっせえな」「おめえの靴下の匂いだろが」
みな口々に色んなコメント。そこに総務課統括室の陳が通りかかった。
「あ、陳さんこの匂いわかる?」
通りかかった人間すべてに、香りあてクイズをさせるらしい。陳さんは相変わらずの無表情で紙を手に取って、少しだけ香りをきくと
「八角かな?」
ハッカク? 何それ、ロッカクバシじゃないの? と言ってるヤツもいる。
誰かが気がついて叫んだ。
「わかった、中華料理!」
ああ、みんな納得して、陳さんもうんうんと言いながら去ろうとした。去り際に、珍しくしみじみと言った。
「他にも、香辛料みたいなのが混じってるかも。何か懐かしい匂いだね」
そしたら陳さんも、忙しいのに特別対策班に引きずり込まれてしまった。