表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/33

 03

「あれハルさん遅かったねえ」

「木曜は班会議があっていつもとっちめられるんだよ。サンちゃんこそ、ランチいくの? 珍しいじゃん」

「解析に一晩かかって作戦課で徹夜。シヴァがいてくれてたらオレがこんなことせずに済んだのにさ」

「あの小僧はいつこっちに戻ってくるんだ」

「知らねえ。向うでまた学校通うらしいしな」とにかくコンビニ飯に飽きたんだよ、とサンライズ。

「一緒に行ってやろうか、メシ」春日はなれ慣れしく彼の肩を抱いてから急に

「おい、気をつけろ」とこちらに引っぱり、車道に向かいきつい目を投げる。

 サンライズすれすれの歩道に乗り上げるようにして、タクシーが去っていった。

「何だか、混んでるなあ」他人事のように言うサンライズに、春日が言った。

「知らなかった?  駅前ですげえ事故があってさ、トラック同士の衝突」

「へえ? さすが総務だね、詳しいじゃん」

「おかげで抜け道もすごいことになってる。郵便はとりあえず来たけど、荷物とかメール便はまだ来てないし」

「ふうん、ま、いいや。何食べたい?」

 春日が腹を上から押さえて

「もたれっぽい……和食がいいなあ。ホテルの上はどう?」

 と言うので、金のないサンライズはあわてて(近頃電話なしで残業遅帰りが続いた罰として、小遣いを減らされた)こう提案した。

「ミナミビルの五階の、鴨志田に行こうよ。ランチ始めたけどまだ知られてなくて、客も少ないって。安くて早くていいってさ。よっちゃんの受け売りだけど」

「えええ、5階。階段きっついし」

「ホテルだって11階じゃんかよ、それにエレベータあるよ」

「オレが閉所恐怖症なのを知ってて、言うか。ミナミビルのエレベータ殺人機械並みだぜ」

「だいじょうぶ、オレが守って、あ、げ、る」

 ばーか、と笑いながら春日はサンライズと並んで歩いていった。


 その様子を、エリーは屋上からじっと見つめていた。

 今日は一人ではないのか。今まで見たことのない連れだった。

 しかしもう日は決まっている。

 彼は銃を取り上げた。


 場合によっては二人とも撃たねばならないだろう。しかし、彼にためらいはなかった。

 都合のよいことに、彼らはここのビルの前は行き過ぎたものの、次の角を左に曲がった。大通りを渡らなければ、次に、あの小路の隙間を通りかかるだろう。

構えて待つ。彼らが見えた。

 カスガが少し前になった。しかもこちら側にいる、ますます都合がいい。一人だけ殺れる。

 エリー、そっと引き金をしぼる。


 春日がふり返って

「でもさ、乃木さんみたいな上司だとさ」

 サンライズ、はっと立ち止まった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ