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 02

 カスガが一人の時は、いくらでもあったが、朝晩はなぜか、あまりチャンスがなかった。持病があって定期的に病院に行くためか、彼はよくタクシーを利用していた。タクシー運転手をひとり殺してそいつと入れ替わり彼を乗せる、という手も検討したが、入れ替わるには距離が少し足りないし、タクシー会社の周りも、彼の住居の周りも人通りがほどほどに多く、結局その方法はあきらめざるを得なかった。

 病院は殺害にふさわしいとも思えたが、エリーは病院が嫌いだった。できれば中に足を踏み入れたくない。

 ランチに出かける様子をみて、やるならここしかないだろうというポイントは案外簡単に見つけることができた。必ず通る路地の屋上。二ヶ所を同時に見張れる。

 周りに比べて少し背が高いのと、ビルの管理が行き届いてないため上にいても気づかれにくい。

 非常用外階段と中の階段とを何度か上り下りする。だいたいルートのめどがついた。

 あとは実効日を決めるだけだった。


 しかし、だいたいにおいてカスガは誰かと一緒だった。

 いつも三、四人でランチに出かけている。仲間とつるむタイプのようだ。

 いっぺんに片付けることも、できなくはなさそうだった。しかし、彼の仕事から考えれば、同僚も似たようなタイプだろうと想像できる。いくらデスクワークとは言え、どちらかというと非常事態には慣れている連中が多いだろう。手から洩れる奴もいるかもしれないし、できればそういう連中に顔を見られたくない。


 そのうち、木曜日は必ず一人でいることに気がついた。少し遅い一二時一五分くらいからオフィスを出て、一時ギリギリ少し前に、小走りで戻ってくることが多い。


「来週木曜、正午から一時までの間に決行」


 彼は、指定の連絡先にそれだけ伝えた。




 サンライズがオフィスから出て一ブロックほど行くと、

「サンちゃあん」珍しく、総務の春日、愛称ハルさんが後ろから追いかけてきた。

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