Episode10 無口のくーるぼーい?
お久しぶりです
どーぞ☆
そして最後を飾るのは、
「……高杉晋作だ……」
鮮やかな金髪と獣のように鋭い瞳が印象的な怖面の生徒が前へ進み出た。
ゴクッと唾を飲む者や、目をハートにする者、キラキラした瞳で見つめる者、ビクビクする者など、クラスメートの反応は様々である。
龍高イチの不良が何を自己紹介するのか。
次に口を開く瞬間を待っていると……
「……何しゃべりゃいーんだよ」
予想通りのような、予想外のような、何とも言えない言葉が飛び出した。
「うーん、じゃあ、誕生日とか☆」
相変わらず語尾に☆マークをつける松陰が助け舟を出す。
「誕生日ぃ?はちが――」
「8月20日よ!!!!」
晋作本人が答える前に、『しんさま』大好きっ子、清原が大声を出した。
「君には聞いていないぽよ☆じゃあ……将来の夢とか☆」
「将来の夢ぇ?ほい――」
「保育士です!!!!!!!」
これまた、晋作本人が答える前に、晋作を神のように崇める、西郷が大声を出した。
「す、すいませんんんん!!!!!高杉さんが素敵すぎて、つい声を出してしまいましたあああ!!!!」
「もう少し意味のわかる言い訳をしようぱお☆」
「すいません、すいませんんんっ!!!!!!」
「西郷、もういいから顔上げろ」
高杉が声をかけると、
「た、高杉さんが僕を許してくれたあああ!!!!もう僕は死んでもいい!!!!!!」
と言って床を叩き始めた。
西郷が床を叩く度に学校全体がグラグラと揺れる。
「いいからとにかく落ち着くぽよ☆!!!!!」
松陰がバランスを取りながら叫ぶ。
結局、高杉はあまり自己紹介をしないうちに席に戻り、クラスの自己紹介タイムは終了した。
「これから体育館で始業式があるぱお☆各自体育館に集まるぽよ〜☆」
松陰が軽やかに教室から去ると、生徒はガヤガヤと廊下へ出た。