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器用な理沙

 ドン!


 釣られて空を見上げる。 花火が大好きだから。


 目の前の電柱なんて忘れてた。

 当然ころぶ。


「きゃ」


 予想外の声に驚き、さらにバランスを崩し……。


 気が付くと、僕は植え込みから浴衣姿の理沙を見上げてた。



「大丈夫?」


「……」

 彼女の、突然の登場に動揺した。


「破れてるじゃない。 縫ったげる」

 僕は、まだ呆然としていた。


「さ、出来た」


 その縫い目は『スキ』と読めた。


 そっと彼女を見る。



「なによ」


 真っ赤な理沙がそこに居た。



 理沙、器用なのもありますね。ちょっと大胆で、でも、やっぱり照れ屋で……。きっと可愛い子ですよ! なーんてね。

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