Ragazzo del cazzo (悪い子)
「クゥオイヴェステオゥカリーノォ」
「あはは!」
「笑わないでよぉ!」
「だ、大丈夫! 通じたよ・・・。 あははは!」
「どこが変だった? 正解を言ってよ!」
「タマちゃんが言いたかったのは この服かわいいでしょ? かな?」
「そうだけど?」
「タマちゃんが言ったのだと、その服、イカしてる。とか可愛い服だね。になっちゃうよ」
「最初にQuesto を入れるんだよ。次にvestito è carino。 最後にvero? 付ければ通じるよ」
「ヴェロって何?」
「本当? とかだけど、接続詞っていうか強調させるっていうか・・・。わかんない・・・」
「それじゃ私もわかんないじゃん!」
本日、俺はタマちゃん・・・麻ちゃんの家にお邪魔している。
今日は土曜日。午前中は部活動だったタマちゃんを俺は駅まで迎えに行き、そのままタマちゃんの家にお邪魔していた。
ついでにお昼ご飯もご馳走になってしまったのだ。
タマちゃんは部活後なので、シャワー後に私服に着替えてきた。
先ほどの会話は私服に着替えたので、イタリア語で俺に会話をしてきた訳である。
タマちゃんはたまにこうやって、イタリア語で話しかけてくる。
俺のイタリア語はシチリア北西部のアグリジェントにいたので、どうやら少し訛りがあるらしい。
多分、外国人が話す、関西弁のようなものだろう。当時、俺の事は少し面白い子に感じていたんだと思う。
「ところで、監督が変わったんでしょ?」
「うん、山岡先生の妹なんだって。 ヒーロ君のことも覚えていたよ。 授業を抜け出した悪い子ちゃんって言っていた」
「抜け出したって・・・。 裕一と少し遅れただけじゃん・・・」
「あと・・・。 シルビーさんとヒーロ君って仲が良いよね・・・って・・・」
あの女・・・。
「別に仲が良い訳じゃないよ。 同じ高校で、たまに学食で見かけるだけだよ」
「でも、休み時間の度にヒーロ君に会いに来てるって言っていたよ?」
「それって移動教室の時じゃないかな? 隣が二年生の教室だから、文系の人達が俺たちの隣なんだよ。 その時に挨拶をする程度だよ」
「麻子、嫉妬はみっともないわよ? ヒーロ君に嫌われちゃうよ?」
「もぉ、お母さんは私たちの会話に聞き耳立てないでよ!」
「それなら自分の部屋に行けば良いじゃない」
「部屋に行ったって、お兄ちゃんと一緒に私の部屋に来るじゃん! 狭くなるからリビングでいいの! ね、ヒーロ君」
「あはは・・・」
なんて言い返せばいいかわからない・・・。
てか、何で俺が悪い子なんだよ!
「そういえば美梨姉はもう来ないんでしょ? また事務仕事と販売かぁってグダグダと言いていた」
「そうなの? 何だか美梨姉のそういうところが想像つかないんだけど。 可愛らしいイメージしかないんだよなぁ」
「そうそう、美梨ちゃんって可愛いよねぇ・・・」
「俺の周りにも、ああいうタイプの人はいないな・・・」
姉さん、本田家に大人気だな、オイ!
てか、兄さんいつからそこに居た!?
「そう言えばタマちゃんって、佐藤と仲が良かったよね?」
「チカちゃん? うん、最近は連絡を取ってないよ。 チカちゃんもヒーロ君と同じ高校だよね?」
「そうなんだけど、一度も見かけないんだよね」
「私も中学に入ってからは別々になちゃって、それ以来は連絡とっていないよ。 ナッツはたまに見かけるって言っていたけど」
「中山が? 小学校と中学校も違ったのに知り合いなの?」
「そう言えばそうだね・・・。 不思議だね」
俺は違和感を感じた・・・。
何かを思い出しそう・・・。
嫌な感じがする・・・。




