表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/17

9話 選択

 陽に照らされて乾いた、ちょうど二人が座れるくらいの大きな石にアリーアが座るとルークもその横に座った。あの嵐で川の上流から流れてきたのだろうか。腕が触れるくらいの近距離。アリーアは自分の鼓動が早くなるのを彼に悟られないよう、少し体を離した。


 アリーアは湖を眺めながら、努めてゆっくり冷静に、ルークを意識しないように独り言のように言った。「湖で以前のように一人で暮らしてもいいし、これからも私の家で二人で暮らしてもいい、どちらを選んでもいいよ。ルーク、君の好きにして。私は家に戻るから。もし二人で暮らしたいと思えば、訪ねてきて。」と。彼女はルークを湖に残して一人家に戻った。


 どれ程時間がたっただろう。彼には家に来て欲しかったのに、どうしてあんな酷い言葉を言ってしまったのか。どうしてあんな選択をさせてしまったのか。素直に、なりふり構わず一緒に暮らして欲しい、と言えば良かったのだ。どうしてあんな意地を張ったのか。誠実であろうとして、誠実ではなかった。自分の本心を偽り、彼に選択させることで、より強く彼を縛ろうとしていた自分がいる。なんて浅ましい、本当に自分のエゴに嫌気がさす。カチカチという時計の音が耳障りだ。寂しい。窓から茜色の夕陽が差し込んでくる。寂しい。


 きっと彼は元の場所に戻ったのかもしれない。もうここへは来ないだろう。ただ涙が流れ続ける。また一人に戻っただけ。そう思っても寂しい。戸をノックする音が聞こえた。こんな最悪な時に誰が訪ねてきたのだろう。涙を拭き戸を開けると彼が立っていた。彼女の服から細く長い手足が窮屈そうに出ている。思わず、涙が溢れた。「ありがとう。」その言葉を言うのがやっとだった。彼は少し困った顔で彼女の体をそっと抱きしめてくれた。彼がいてくれるだけで、もう十分だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ