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木枯し

作者: 朔月

―――――貴女はいつ、目覚めるのでしょう。

冷たく眠る貴女は舞い落ちる雪の姫のようでございます。


目覚めぬ貴女をただ見つめる幾千年を過ごしました。貴女の声、仕草、表情――その全てを思い出す度に私は過去という楔を打ち付けられるのです。


先に進めぬ私と貴女だけを置いて時間だけが過ぎて行きます。

貴女と過ごした時を思い出す程に、あの時の記憶が寒風となって私の心を攫って行き、色褪せ、もう一歩たりとも動けぬのです。


もはや見る景色は変わりません。

私の心に映る景色は貴女の白だけにございます。かつての健やかな日々を私は木枯れてしまう。


この心の様は愛とはもはや形容できず、かつての日々へ捧げる信仰にございます。

あの日々こそが救いでした。あの日々こそが生きる理由でした。

あの日々だけを想い、私は未だここに立っております。


もう一歩たりとも動けぬ私と、目覚めぬ貴女――置いてゆかれた者同士、お揃いでございますね。


どうかご安心くださいませ。

私はあの、残酷な『時』のように貴女を置いては行きません。

貴女が目覚める時を、私はこの終わらぬ冬の世界で待ちましょう。

例え、どれだけこの心が凍え、霜に足を焼かれようとも――

いつか来る春を心待ちにして




永遠に―――――。

初投稿という事で短編です。

思いつきと勢いで投稿までしてしまいました。素人の稚拙な文章ですが、お読みいただきありがとうございます。

この話はこれでおしまいです。

「語り手」と「貴女」の過去に何があったのか。どういう関係性なのか。なぜ目覚めないのか。幾千年というのは比喩なのか実際の時間なのか。

そういったことは全てご想像にお任せします。

興が乗れば次回作も投稿するかもしれません。その時はまたお読みいただけると嬉しいです。

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