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異世界転生した農民、邪神も世界も耕す  作者: よぎそーと


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36 城塞、それすらも畑となる

「よくもまあ、集まったもんだ」

 聖堂騎士団の集まった城塞。

 それを見ながらコウサクは呆れた。



 教会の軍勢が集まってるのは、あちこちに出入りしてる商人や職人。

 そして、各地に送り込んだ隠密やスパイからの情報で把握していた。

 それを聞いたコウサクは、自ら城塞へと出向いていった。

 集まってる教会の軍勢は数万を数える。

 これらに後続が更に連なり、最終的には何十万にもなると考えられている。



 それはもう巨大な町、都市にも匹敵する規模になっていた。

 聖堂騎士団といった先頭集団だけではない。

 これらの生活を支えるための様々な職業が集まっている。

 料理人にテントを張る場所を作る作業員に、必要な道具を売りに来る商人に。

 更には、聖堂騎士団を相手にした女も。

 各地から集められた女は、聖戦の勇士の鋭気を養うとして体を提供していく。

 彼女らに恋人や婚約者、夫がいようとお構いなく。

 全ては女神と教会のためになされていく。



 そんな軍勢と駐留地を遠くに眺めながら、コウサクは呆れる。

 よくぞこれだけ集めたものだと。

 そして、いまだに学習をしてないのかと。



「集まってくれるのはありがたいけど」

 なにせ一網打尽に出来る。

 コウサクの能力をもってすれば造作も無い。

 だからこそ疑問を抱く。

 いままで痛い目にあってきたはずなのに、なぜ同じ事を繰り返すのかと。



 それだけ情報に乏しいのだ。

 各地の教会が破壊され、送り込んだ軍勢も殲滅され。

 何があったのかを誰も理解していない。

 だから対処が出来ない。



 だとしても、もう少し考えて行動するべきだろうとは思うのだが。

 この融通のきかなさ、改善をこれっぽっちもしない態度。

 そこに呆れるしかない。

「ブラック企業かよ」

 気合いと根性で乗り切ろうとする、頭を使おうとしない。

 そんな所は前世で見たブラック企業と何も変わらない。



 だからこそ呆れて。

 何一つ容赦をするつもりはなかった。

 八つ当たりではあるが、似たようなものを見て憤りを感じるからだ。

「前世では何も出来なかったけど────」

 無念が胸からこみ上げてくる、あふれてくる。

「────ここでは徹底的にやってやる!」

 せめてこの世界ではやれる事をやりたいと。



 その時、非番の聖堂騎士達は悦楽にふけっていた。

 謹厳実直を強いられ、日々鍛錬を繰り返す日々。

 その鬱憤をぶちまけるものが与えられてるのだから。

 その為のテントへと向かい、そこにあるものを楽しんでいく。

 各地から集められた女を。



 ある者はまだ10をいくらか出た程度の年齢だ。

 恋も愛も知らない。

 そんな少女が、筋骨隆々とした聖堂騎士の下で貫かれている。



 ある者は結婚を控えた恋人を持っていた。

 だが、教会からの招集を受けて聖女として城塞へとつれてこられた。

 聖堂騎士への奉仕のために。

 その奉仕として、騎士の下で犯されている。



 ある者は夫と子供を持つ身だった。

 これまでも何度か聖女としての奉仕を教会に命じられてきた。

 偏に、彼女がそれだけ魅力的だったからだ。

 ある時は領主である教会の神官に。

 ある時は近隣の教会を統治する大教会で。

 そして今回のような教会に連なる者達が集まる場所で。

 聖女とされて体による奉仕を求められていった。



 こうした奉仕によって聖堂騎士団は快楽の限りを楽しみ。

 聖女達は聖堂騎士団という権威と権力の象徴とのつながりを持つ。

 両者ともに得られる利益を求めて楽しんでいった。

 大事な何かを踏みにじってる事を無視しながら。

 あるいは、それすらも楽しみの材料にしてた。



 別のところでは、とある話がまとまっていた。

 それは上層部の会議で。

 また、一般騎士を相手にした説法の場で。

「邪なる異端は殲滅するべし。

 これが女神の教えである」

 そう宣う神官や司祭達は、更に続ける。

「奴らが持つ全ては諸君ら騎士に還ってくるべきもの。

 存分に手に取り給え」

 この言葉に騎士団は色めき立つ。



 それは略奪の許可であった。

 異端の持つ全ての財産。

 それはもともと聖堂騎士団のものであると神官は認めた。

 ならば、奪っても強奪や窃盗にはならない。

 なぜなら、元の持ち主のものとして帰ってくるだけなのだから。



「また、異端は女神への反逆者。

 あらゆる報いを女神に代わって与えねばならない」

 この言葉もまた騎士を奮い立たせる。

 つまり、そこにいる人間をどれだけ嬲ろうとかまわない。

 男は殺し、女は犯す。

 それで一切かまわない。

 むしろ、そうする事が女神の意向に従う事なのだと。



 これが聖堂騎士団上層部から一般的な騎士まで広く伝えられていく。

 彼らは侵攻先で得られる成果を夢見て楽しげに笑う。

 とてつもなく卑しく暴虐的な表情で。



 そんな女神の教えと教会の教義によって悪辣な暴行が認められた時。

 その全てが足下から崩れていった。



 分厚く高い城壁が。

 同じく堅牢な要塞が。

 その中と周囲に展開していた騎士団が。

 その騎士団を相手に商売や奉仕をしていた者達が。

 心から女神と教会に従っていた者達が。

 その全ての足下が急に柔らかくほぐれた。

 水のように柔らかく。



 城壁も城塞も土の中に沈んでいく。

 そこにいた女神の信者も。

 心ならずも連れられてきた者を除いて。

 多くが土の中に飲み込まれていく。



 一瞬の出来事だった。

 悲鳴を上げる事も出来ず。

 状況を把握する事も出来ず。

 城塞に集まっていた教会に連なる者達は瞬時に土の中に飲み込まれていた。



 ただ、完全に土の中に沈んだわけではない。

 頭だけを残して土にとらわれている。

 いわゆる生き埋めである。

 例外なく教会に連なる者達は土の中にとらわれた。



 例外的にこの場に心ならずもやってきた者達は

、そんな者達の中に立っていた。

 彼らの目にはそこまでの出来事がしっかりと映っていた。

 頭の中に突然、

「動くな、あぶないぞ」

という声が響き。

 それと共に、自分の意識を縛っていた何かが消えていくのを感じて。

 そう思った次の瞬間、回りの全てが土の中に沈んでいった。



「…………え?」

 何が起こったのか分からず。

 だが、自分が無事なのを確かめて。

 聖堂騎士団の城塞にて生き残った者達は驚きの声を漏らす。

 呆然としながら。



 こうして心ある者達を先に支配下において。

 コウサクは城塞を一気に殲滅した。

 農王となって強化された己の力を用いて。

 今まで通りに城塞と教会の聖職者を土の中にとらえ。

 救われるべき者達だけが生き残った。



 最前線に集まっていた聖堂騎士団は、こうして壊滅した。

 そして、生き残った協会関係者に向けて、恨みを持つ者達が集められる。

 各地からコウサクによって集められた者達は、協会関係者へと怒りの鉄槌をくだしていく。

 奉仕という名のもとに収穫や生産物を徴収された者が。

 聖女として娘や母や姉妹や恋人・婚約者を奪われた者達が。

 労役として強制的につれてこられた者達が。

 その恨みを、原因を作った教会の聖職者に向けていった。

 神官に、聖堂騎士に、聖女に。


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