33 洗脳から解放されて
そうと知らずに教会の部隊を殲滅して。
コウサクは次々に教会を攻略していく。
その範囲は拡大の一途をたどり、教会はその分だけ統治範囲を失った。
同時に生き残った少数がコウサクの指導下におかれる。
農師の能力によるものだ。
支配ともいう。
コウサクの下におかれた農民は、コウサクの指示や指導に従わねばならない。
ただし、その分だけ農業についての行動に上昇補正がかかる。
同時に、彼らは教会の支配から外れる。
肉体的なものではなかったが、精神的な拘束から解放される。
その瞬間、農民達の意識が覚醒する。
今まで考えられなかった事が考えられるようになる。
すなわち、
「……なんで教会に従ってたんだ?」
女神が全て、女神が唯一の存在。
そんな思い込みが当たり前になっていた。
女神の、教会に従う事が正解だと思っていた。
それ以外の事など考えなかった。
他にもあったはずの様々な考え。
それらが一切出来なくなっていた。
その事にコウサクの指導下に入った者達は気づいた。
「なんでだ?」
洗脳されていたからである。
他の事を考えられない。
これが最もおそろしい。
考えが一つの方向に制限される事で、自動的に思考が誘導される。
他の道や可能性を考える事が出来ないのだ。
得られる答えは一つに決まってる。
女神と教会が全てであると。
そんな洗脳から、思考誘導から農民達は解放された。
その瞬間に疑問がわきおこってくる。
「なんで教会に従ってたんだ?」
6割を超える税金。
奉仕という名の強制労働。
奉仕という名の性行為。
その他、様々な教会によって奪われた数々の物や労力、尊厳。
これらに気づいていく。
税として奪われた作物。
臨時の寄付として奪われた物資。
恋人や女房を奉仕として奪われ、性行為に用いられた事。
はらまされた女を押しつけられ、自分のものではない子供の養育を強要された事。
収奪と強奪の日々。
この事に農民達は気づいていった。
今まで、それは当然と思っていた異常に。
それらは教会による洗脳によるものだと。
あちこちで農民達の怒りが爆発していった。
教会への怒りが噴出する。
ただ、既に直接虐げていた教会はない。
コウサクによって破壊されている。
なので、怒りをぶつける相手がいない。
これが農民達により大きな絶望となっていく。
「しくじったな」
これについてはコウサクも反省した。
今まではただただ教会を破壊していったが。
それでは虐げられていた者達が報われない。
彼らにも憤りを解消する機会が必要だ。
そのことに気づかず、コウサクは教会を破壊し続けた。
反省をしたコウサクは、農民達に語りかける。
彼らの憤りに行く先を与えていく。
「ならば、残ってる教会を破壊しよう。
今も苦しんでる他の人たちを解放するためにも」
この声に農民達は雄叫びをあげた。
以後、普段は田畑を耕しながら経験値を稼ぎ。
時にコウサクに従って教会に攻め込む者達が発生した。
屯田兵とでもいうべき戦闘集団。
彼らはコウサクの導きに従い、教会に向かって攻め込む。
農具を手に、聖職者と教会を耕していく。
また、教会を破壊する前に、その周囲にいる者達を指導下にいれていく。
教会の支配から解放する。
そうして正気に戻り、怒りをおぼえる者達に道を示す。
「おまえ達を虐げた連中をこれから成敗する。
一緒にやるか?」
「おう!」
怒号となる返事と共に、新たに加わった者達が自分たちを虐げていた教会の破壊へと向かう。
農民達が立ち上がっていく。
筵を旗に進撃をしていく。
その姿は、まさに一揆であった。
そんな一揆が各地で発生していく。
それらを農民から農家に転職した者達が率いていく。
上位職である彼らならば、戦闘職であっても古本色である者達はかなわない。
そんな農家を先頭に、解放された農民達は進んでいく。
教会を耕し、聖職者を土にすきこんでいく。
そうして各地で農民達が活躍するごとに、コウサクに経験値が入ってくる。
自分が何かしなくても、指導下にいる者達の働きが経験値になる。
ありがたい事だった。
コウサク自身も働いていく。
農家では手に余るような強力な敵。
これらを受け持っていく。
また、全体の進軍も決めていく。
どこに誰をどのくらい投入するのか。
これらを決めていく。
これも指導の一環として扱われ、経験値が入るからだ。
また、本業である農業の指導も忘れない。
土の作り方から、その土地にあった作物の指導。
これらを伝える事でも経験値が入る。
戦争よりもよっぽど。
職業に沿った行動だからだろう。
そんなコウサクの指導によって、農民達は次々に成果を出していく。
田畑からの収穫が増大し、農民から転職出来るほどのレベルになる者達も出てくる。
そんな者達がコウサクの下で輩出されるようになる。
コウサクの勢力は、規模だけでなく質も上がっていった。
教会とは反対に。
そんなコウサクのレベルも上がり。
次の段階へと進んでいく。
農師のレベルが最大値になり、更に上位の職業に転職する。
農王へと。




